公開日:2019年3月6日
更新日:2022年3月9日
高速通信ができることで知られる光回線ですが、最近は一部回線や混雑する時間帯などで速度が遅くなる現象が報告されています。また、十分な速度が出ているという方の場合でも、もっと速くしたいと考える方もいるでしょう。そこで光回線がさらに速くなる接続方式として「IPoE接続」をご紹介します。
ここではNTTコミュニケーションズの「OCNバーチャルコネクト」を用いた「IPv6 IPoE + IPv4 over IPv6 接続方式」における、IPoE接続の仕組みやメリットについて解説していきます。まずは順を追って、これらの専門用語について説明していきます。
OCNバーチャルコネクトとはNTTコミュニケーションズが提供しているインターネットサービスです。OCNバーチャルコネクトは、契約しているプロバイダーがサービスを導入して提供していればフレッツ光や光コラボで利用できます。
具体的には、通常のインターネットで使用されているIPアドレスである「IPv4」と、次世代のIPアドレスである「IPv6」を、「IPoE」という接続方式で利用するサービスです。
次に、Pv4とIPv6の違いについてです。
インターネットに接続されているコンピュータなどの機器には、「IPアドレス」と呼ばれる番号が割り振られています。このIPアドレスでそれぞれのコンピュータは識別されています。ネットワーク接続機器の説明書で「http://192.168.1.1/」などと表示されている10進数で表された「192.168.1.1」の部分がIPアドレスです。
そしてこのIPアドレスには、これまでは長い間「IPv4」という方式が使われてきました。IPv4とはIP(インターネットプロトコル)のバージョン4という意味です。このIPv4では最大で約43億台のコンピュータを識別できます。
現在インターネットに接続されている機器の数は膨大で、しかも確実に増え続けているため、近い将来、IPv4だけでは数字が足りなくなることは容易に予測されます。そこで登場したのが、次世代の方式である「IPv6」です。
IPv6では2の128乗、約340澗(かん)個のIPアドレスが使用できるようになり、今後どれだけIPアドレスを割り当てようとも枯渇することはまずないだろうと考えられています。なお、「IPv6アドレス」はそのまま数字を羅列すると表記が長くなるので、通常はルールに基づいた省略形で表されます。
IPoEは次世代インターネット接続方式と言われる新しい接続方式です。企業内LANなどと同じやり方で直接インターネットに接続する方式で、IPv6に対応しています。フレッツISDNで常時接続サービスが始まった2000年から使われ始めた「PPPoE」という接続方式のようにプロバイダーごとにトンネルという経路を確立することなく、接続事業者(VNE=仮想通信提供事業者)を介して、シンプルにインターネットに接続できます。
問題はIPv6に対応しているサイトはまだそれほど多くないということです。Google、YouTube、Facebook、官公庁ホームページなどはIPv6に対応していますが、全体として現時点ではIPv4にのみ対応してるサイトのほうが多勢です。現在はまだ、IPv4からIPv6へと移行する中途にある段階だといえます。
そこで、DTIのIPv6(IPoE)接続サービスは、接続方式にIPoEを採用しつつ、IPv6とIPv4のどちらも利用できる仕様となっています。
まず、IPv6とIPoEを組み合わせた「IPv6 IPoE」という規格により、次世代型の快適なインターネット通信を実現しています。加えて、「IPv4 over IPv6」という方式で通信を行うことができます。
IPv4 over IPv6は、基本的な通信はIPv6で行いつつ、IPv6パケットの中にIPv4パケットを包含して利用する「カプセル化」と呼ばれる技術でIPv4にも対応する方式です。そのため、IPv4にしか対応していないサイトも、IPv6環境で閲覧することができます。
つまり、DTIのIPv6(IPoE)接続サービスは、IPv6 IPoEとIPv4 over IPv6という2つの技術を活用することで、IPv6対応サイトとIPv4にのみ対応するサイトの両方で、IPoE方式による快適なブラウジングが可能となっているわけです。そのためユーザーは、アクセスするサイトがIPv6とIPv4のどちらに対応しているのかを意識することなく、常に高速で安定したインターネット通信を利用することができます。
IPv6、IPoEについての詳しい説明はこちらをご覧ください
改めて、IPoEとPPPoEは何が違うのかを説明しておきます。
PPPoEはPPP (Point-to-Point Protocol)という通信方式の機能を、 イーサネット(オフィスや一般家庭で利用されているネットワーク)上で利用できるようにしたものです。
PPPという通信方式(プロトコル)は、もともと電話回線とモデルを使ってダイヤルアップでインターネットに接続していた時代に作られました。パソコンからインターネットに接続する際は、必ずIDとパスワードを入力するという決まりになっています。そしてその後、ADSLや光ファイバー回線が普及してからも、このPPPをベースとしたPPPoE方式が採用されました。
これに対しIPoEは、パソコンなどの端末とNTT東西のNGN網(次世代ネットワーク)など事業者側のネットワークとを直接接続してIP通信を行う通信方式です。PPPoEのような接続のためのIDとパスワードは不要です。このことから、IPoEは「ネイティブ接続方式」とも呼ばれます。簡単にいえば、IPoEはPPPoEよりもシンプルな接続方式なのです。
IPoEで接続すると、通常のPPPoEによる接続と比べて、回線速度とインターネットへのつながりやすさが改善する可能性があります。IPoEはPPPoEと違って、混雑しやすい箇所を経由しません。そのため、いつもは混在する時間帯でも極端に通信速度が低下するようなケースは減るはずです。
また、通信のやりとりにおける遅延指標であるレイテンシ(電話でいうところの「もしもし」「はいはい」の間隔)も非常に短時間で済むので、Webページの読み込みが速くなったり、動画をサクサクと快適に見られたり、ネットゲームのラグなどが解消されてストレスなく楽しんだりできるようになる可能性があります。これはIPoEというシンプルな接続方式だからこそなせる品質と言えるでしょう。
またIPoE接続方式は、導入し提供している多くのプロバイダーで、追加料金なしで利用できるようになっていますし、もちろんDTIも追加料金はいただいておりません(プロバイダーによって異なるので確認してください)。
一方、注意点もあります。まず、IPoE接続方式を利用するには対応するブロードバンドルーターが必要です。複数のメーカーからIPoE接続対応のルーターが発売されているので、それを購入してください。DTIでは対応したルーターの説明ページを用意しております。各ルーターがIPoEに対応したルーターの発表やファームウェアを更新しておりますので、DTIもなるべく新鮮な情報へアップデートしておりますのでこちらで確認していただければと思います。
また、固定IP、特定の通信プロトコル、特定の通信ポートが利用不可というのにも注意が必要です。このことにより、たとえば自宅サーバーを立てて外部から接続することができなくなる、050系の電話番号が付与されたIP電話機が利用できなくなる、パソコンに接続したWebカメラを外出先から視聴できなくなる、一部のオンライン対戦ゲームがプレイできなくなる……などが報告されています。
これらはケースによっては対応可能なものもありますが、IPoE接続環境下の注意点として憶えておきましょう。
IPoE接続方式とはどのようなものか、おわかりになりましたでしょうか。現在、光回線を利用していて速度に不満を持っている、あるいはもっと速くしたいと考えているなら、IPoE接続の利用を検討してみてください。注意点もありますが、IPoE接続はインターネットが速くなる可能性があり、おすすめできるサービスです。
ここでIPoE接続を検討している方に朗報です!
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