光回線の工事では、室内に光ファイバーケーブルを引き込み、部屋に「光コンセント」を設置することが一般的です。この光コンセントとはどのようなものなのでしょうか。アパートやマンションなどでは光コンセントではなく、LANコンセントやモジュラージャックを使うこともあり、その違いも気になります。さらに、光コンセントの種類や探し方、新たに光コンセントの設置工事を依頼するときの流れや注意点などについても解説していきます。
光コンセントとは、光回線とONU(光回線終端装置)の接続箇所となる差込口のことです。言い換えれば、電柱から引き込んだ光回線を使ってインターネットを利用するときにつなげる、光回線専用のコンセントです。
「ONU」というのは、光信号とデジタル信号を相互変換し、インターネットに接続するために必要となる装置です。光コンセントに接続する装置としては、ほかにもひかり電話を使うときに必要となる「ONU機能付きホームゲートウェイ」があります。このONUまたはホームゲートウェイと光コンセントとは、光ファイバーケーブルを使って接続します。
なお、NTT東日本・西日本の光コンセントは、フレッツ光か光コラボの光回線サービスでのみ利用できます。そのほかの光回線事業者のサービスを利用するときは、別の光コンセントを設置します。
一戸建てで光回線を使う場合は、光回線を家屋に引き込んで壁に光コンセントを設置するという方法で提供されるのが一般的です。しかし、マンションやアパートなどの集合住宅の各部屋に設置されるのは光コンセントとは限りません。集合住宅では接続方式が主に3つあり、そのことによりLANコンセントもしくはモジュラージャックが設置されることがあります。それぞれどう違うのかを説明します。
光コンセントは「光配線方式」という配線方式のときにのみ、設置されます。光回線(光ファイバーケーブル)が光コンセントまでダイレクトに届く方式なので、回線速度は他の接続方式に比べて最も速くなるとされています。
LANコンセントが設置されるのは「LAN配線方式」の場合です。共有スペースまでは光回線を引き込み、そこから先は有線LANを各部屋に配します。光コンセント/光配線方式ほどではないものの、それなりに回線速度は速くなります。LANコンセントの形状は、LANケーブルを接続するLANポートと同様のものです。
共有スペースまで光回線を引き込んで、そこから先はVDSLと呼ばれる電話回線用ケーブルを各部屋まで配する「VDSL方式」で設置されるのが、光回線用のモジュラージャックです。電話回線用ケーブルなので光コンセントやLANコンセントと比べて速度は劣ります。形状は通常の電話用のモジュラージャックと同じです。
光コンセントには一体型タイプと分離型タイプがあり、どちらも光ファイバーケーブルを差し込むようになっています。両者に性能の違いはありませんが、形状が異なります。
最もよく見かけるのが、この一体型の光コンセントです。多くは電気用のコンセントや電話用のモジュラージャック、テレビ用のアンテナ端子などとワンユニットになっており、情報コンセントとして壁に埋め込むように設置されています。光コンセント自体は大抵、この一体型ユニットの中の右端か左端に配置され、縦長の凸状部分の下端などに光ファイバーケーブルを差し込む箇所があります。
一体型は最初から壁や天井裏の電話線と共通の配管を通して光回線を部屋にまで引き込んであるような、光回線によるインターネット環境が整備された物件に多く設置されています。とくに最近の新築マンションでは一体型が主流になってきています。
あとから工事をして光回線を引き込んだ場合などに見られるのが分離型タイプです。分離型タイプは箱型やもっと簡易な形の光ローゼットと呼ばれるケースに入れられて壁にネジ止めされているか、床に置かれていることが多いでしょう。
分離型の光コンセントはエアコンのダクトや壁に開けた穴から引き込んだケーブルに繋がれています。壁にケーブルを這わせる露出配線で設置されているケースも多く、見栄えは一体型に比べると劣るかもしれません。
賃貸マンションなどでは、前の住人が光回線を使っていて光コンセントが設置されたままになっていることがあります。
引っ越した先にすでに光コンセントがあれば、無派遣工事でインターネットが使える可能性が高くなります。無派遣工事ではNTT側で局内工事が行われますが、ユーザー側は光コンセントとONU(またはホームゲートウェイ)を繋ぐ作業だけです。工事担当者が派遣されることもなく、立ち会いの手間もかかりません。工事費用は2,000円程度必要ですが、派遣工事が必要な場合は通常、15,000円~30,000円程度かかるので、かなり安くすみます。
ただし、光コンセントがあれば必ず無派遣工事になるというわけでもありません。光コンセントが設置されたのがかなり前だった場合や、マンション内の光配線が撤去されていた場合、壁の中でケーブルが断線していた場合などは派遣工事が必要になることがあります。さらに、インターネットと同時にフレッツ・テレビを申し込んだときは、テレビの信号が届いていることを確認する必要があるため、派遣工事をすることになります。
引っ越し先のマンションなどにすでに光コンセントがあれば、大抵の場合はフレッツ光や光コラボの申し込みをして無派遣工事の手配をし、届いたONUと光コンセントを接続すれば光回線を使えるようになります。そこでマンションなどに光コンセントがあるかどうかを確認するときのコツを説明します。
光コンセントには一体型タイプには「光」、分離型タイプには「光コンセントSC」という文字が書かれています。また、NTTの文字とロゴも見つかるはずです。これらを目印にして探してみましょう。
部屋のどこかに電話のモジュラーケーブルを接続するための「TEL」と書かれたモジュラージャックがあるはずです。一体型タイプの光コンセントは、そのモジュラージャックがあるのと同じユニットに納められているケースが多いでしょう。この一体型のユニットは情報コンセントと呼ばれます。
モジュラージャックはなく、情報コンセントに光コンセントと電気用のコンセント、またはテレビ用のアンテナ端子が納められていることもあります。電話のモジュラージャックを探しても見つからなければ、コンセントやテレビの端子も探してみてください。
ちなみに、もしもこの情報コンセントに「LAN」と書かれたコンセント(LANポートのような差込口)が設置されていたら、光コンセントではなく、その部屋にはLANコンセントが設置されているということになります。
分離型の光コンセントはエアコンのダクトを使って部屋に引き入れられていることがよくあります。エアコンのダクトの近くを探すと光コンセントが見つかるかもしれません。
また、分離型は大抵、露出配線されているので、壁をケーブルまたはモール(ケーブルの配線カバー)が走っているはずです。それらしいものを探してみてください。
見つからない場合は、通常の電気用のコンセントの近くにさり気なく光コンセントが設置されていることもあります。また、居間だけではなく、キッチンなど意外なところに付けられていることもあるのですべての部屋をチェックしてください。
部屋に光コンセントがない(LANコンセントやインターネット用のモジュラージャックもない)場合、光配線方式で光回線を利用するには光コンセントの設置工事が必要になります。
光コンセントの設置工事を依頼するには、NTT東日本・西日本、光コラボ業者のいずれかに光回線の開通を申し込みます。ただし、マンションやアパートでは建物の構造上の問題や、管理会社や大家さんが許可しないなどの理由で、光配線方式による光回線の引き込み工事ができないこともあります。
また、光配線方式がOKでも、光コンセントが一体型タイプになるか、分離型タイプになるかは建物の構造などによって変わります。基本的に電話線の配管を使った設置が可能であれば一体型になりますが、それ以外の場合は分離型になることがあります。
光コンセントの設置工事(派遣工事)は通常、15,000円~30,000円程度の費用がかかりますが、プロバイダーによっては、新規開通の場合は工事費用が無料になることがあります。光コンセントの設置工事が必要な場合は、工事費無料の特典を設けているプロバイダーを探せば導入コストを大幅に減らすことができます。
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マンションやアパートなど、引越し先の集合住宅に光コンセントがあるかどうかを確認するには、管理会社や大家さんに問い合わせをするのが確実です。その際は、同じ光回線が使えるにしても、配線方式が光コンセント(光配線方式)なのか、それともLANコンセント(LAN配線方式)またはモジュラージャック(VDSL方式)なのか、という点もしっかりとチェックしておきましょう。光コンセントの設置場所も内見のときに確認しておいてください。
さらに、新築マンションなど建設時から光コンセントが設置されているような場合でも、まだ誰も光回線を使っていない状態だと壁の中の光ファイバーケーブルが接続されていないケースがあります。こうした場合も設置工事を依頼しないと光回線が使えません。そのため、光コンセントがあったとしても、はたして無派遣工事ですむのかどうかも確認しておくべきポイントです。
光コンセントの設置工事は、フレッツ光ならNTT東日本・西日本に申し込みます。その際は先にプロバイダーも決めておいてください。光コラボの場合は光コラボ事業者に連絡します。光コラボではプロバイダーもセットになっていて窓口が統一されています。
注意したいのは、一戸建ての場合の申し込みはユーザーの一存でできますが、マンションやアパートなど集合住宅の場合は管理会社や大家さんに確認を取る必要があることです。賃貸か分譲かにもよりますが、いずれにしろ自分の都合だけで光コンセント設置工事を進めることはできません。
申し込みが受け付けられると工事日の日程を調整し、当日は工事に立ち会います。設置工事は次のような流れで行われます。
光ファイバーケーブルが通っている近くの電柱から、家屋まで回線を引き込みます。電話線と同じように、家の外壁まで架け渡します。
外壁から室内へと回線を引き込みます。その際、電話線かエアコン用の配管を利用しますが、どちらも使えなければ壁に直径1cm程の穴を開けて引き込むことになります。
室内まで引き込んだ回線を情報コンセントにまとめるなどして光コンセントとして設置します。ONUやホームゲートウェイとの接続はユーザーが行うのが一般的です。
マンションなどの集合住宅には大抵、「MDF室」と呼ばれる建物全体の電話線・光回線をまとめて管理する共有スペースがあります。光配線方式ですでにMDF室まで光ファイバーケーブルが引き込まれている場合は、次のステップ2へ進みます。まだの場合はまずMDF室まで回線を引き込みます。
ただし、小規模なアパートなどMDF室が設置されていない場合や、光配線方式以外の配線がされているけれども特定の部屋のみに光コンセントの設置工事をする場合は、直接部屋に回線を引き込むこともあります(管理会社や大家さんの許可を得ている場合)。工事内容も一戸建てのときと同様になり、多くは電話線かエアコン用配管を利用、もしくは壁に穴を開けて回線を引き込みます。
MDF室がある集合住宅の場合は、MDF室から部屋まで回線を引き込みます。その際は電話線と共用など専用の配管が使われます。
MDF室があれば、すでに室内に光コンセントがあることも多いようです。ない場合は、モジュラージャックやテレビ端子などの近くに新たに設置します。ONUやホームゲートウェイとの接続はユーザーが行うのが一般的です。
光コンセントとONUまたはホームゲートウェイとは光ファイバーケーブルで接続します。光ファイバーケーブルの両端にはSCコネクタという端子が付いています。LANケーブルと少し似ていますが、SCコネクタはLANケーブルのコネクタと形状が違うので間違うことはないでしょう。
光コンセントとONUまたはホームゲートウェイとの距離が遠い場合は、光ファイバーケーブルの延長ケーブルを使うことで解決できます。
集合住宅では退去するときに部屋を入居時の状態に戻す「原状回復」を行うことが基本となっています。そのため、ユーザーが自分で工事を依頼して光コンセントを設置した場合、引っ越し時に光コンセントを撤去しなければならないケースがあります。
そこで引っ越しをするときには、まず管理会社か大家さんに撤去が必要かどうかを確かめてください。ただ、「撤去してください」と言われたときでも、光コンセントを設置したままにしておけば次の入居者がすぐに光回線を使えるというメリットがあるので、その点を伝えてみてもいいかもしれません。
また、NTT東日本・西日本や光コラボ事業者から撤去工事が必要と言われることもありますので、必ず各社に確認しましょう。確認を怠ると撤去しないことですぐに引越しができず、引越しが遅れた日数分、家賃を請求されることもあるので注意が必要です。
光コンセントを設置して光回線を利用する際は、その速さを十分に活かすために「IPv6(IPoE)接続」でインターネットに接続するのがおすすめです。
IPv6(IPoE)接続は、NTT東日本・西日本の次世代ネットワーク(NGN)を使用した新しい接続方式です。IPv6(IPoE)接続ではこれまで混雑が発生しやすかった「網終端装置」を経由する必要がないため、同じ光回線でも、より安定した高速通信が期待できます。とくに夜間や休日などの特定の時間帯に通信速度が不安定になるという方は、その効果を感じられる可能性があります。
IPv6(IPoE)接続を利用するには、対応しているプロバイダーと契約し、IPv6(IPoE)対応のルーター(もしくはルーター機能付きのホームゲートウェイ)を用意する必要があります。対応ルーターの無料レンタルを行っているプロバイダーもあるのでチェックしてみましょう。
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