公開日:2019年3月19日
更新日:2022年4月8日
IPv6を利用しているはずなのにインターネットの回線が遅いと感じてはいないでしょうか。ここでは単にIPv6にしただけでは回線速度の改善が図れないケースをいくつか取り上げて、回線が遅くなる原因について解説しています。また、回線が遅い場合の対処法についてもご紹介します。
IPv6はIPv4に代わる新しいバージョンのIPです。1990年代後半から広く普及してきたIPv4に代わり、今後主流になっていく次世代のプロトコルと言われています。IPv6ではIPアドレスを128ビットのデータとして表現します。そのためアドレス総数は3.4×10の38乗個、つまり約340澗(かん)個となります。これは事実上無限と言える数であり、IPv6によって現状のIPv4におけるIPアドレス枯渇の問題が解消できるとされています。
また、IPv6を使用できるIPoEという通信方式を利用すると、インターネット回線が速くなる可能性があります。これはIPv6だから速くなる、というお話ではありません。
IPoEでは、PPPoEとは異なる次世代ネットワークと通信設備を経由してインターネットに接続します。そのため混雑しがちなPPPoEネットワークを避けられ、安定した速度を確保できます。いわば渋滞しがちな道路ではない、高速道路のような別の道路を使って通信ができるようなものです。
IPv6、IPoEについての詳しい説明はこちら
IPv6にすればインターネット回線が速くなるという話を聞いてひとまずIPv6の契約をしたのに、いっこうに通信速度が速くならないという場合があります。その原因としてまず考えられるのは次の3つです。
上でも説明していますが、IPv6はもともとIPv4における「IPアドレスの枯渇」という問題を解決すべく開発された新しいIPです。通信速度を速くするために作られたものではありません。
IPv6にすると通信速度が改善すると言われているのは、あくまでIPoEと組み合わせた場合です。プロバイダーによって、IPoE方式ではなくPPPoE方式で接続されていると通信速度は以前と変わりません。
IPoE方式とPPPoE方式のどちらで接続されているかは、ご利用のプロバイダーに問い合わせ、契約状況を確認すればわかると思います。
Google、YouTube、Facebook、Instagram、NetflixなどはIPv6に対応済みですが、まだIPv6に対応していないサイトも数多くあります。今後、IPv6対応サイトが増えていくと思われますが、現在ではまだまだ少数派だといえるかもしれません。未対応のサイトが多いのは、ユーザーのIPv6に対する認知度や理解度がまだ低く、まだそれほど需要が高くなっていないからという理由があげられます。
本来、IPv6の通信方式では、IPv6に対応していないサイトには接続できません。しかしそれでは不都合が生じるため、未対応のサイトにも接続できるようにしたのが「IPv4 over IPv6」という通信方式です。この方式でIPv6未対応のサイトに接続すると、技術的な問題から速度が遅くなることがあります。
プロバイダーがIPv6に対応していても、使用しているルーターとパソコンの設定がIPv6を使用する設定になっていない場合にはIPv6で通信できていません。そのため通信速度が遅くなっている可能性があります。
IPv6でインターネットに接続できているかどうかは、IPv6接続テストができるサイトにアクセスして確認するのが簡単です。「IPv6接続テスト」という言葉で検索するとテストできるサイトがみつかりますので、試してみるとよいでしょう。
Windows (R) 10では、最初からIPv4よりIPv6を優先して使う設定になっています。ただ、パソコンの設定を変えていたり、Windows(R) 7以前のOSを使用していたりする場合は、IPv6を使用しない設定になっていることがあります。
ここでは、IPv6を使用する際のルーターやパソコンの設定について詳しくみていきましょう。
まずは、現在使用しているルーターの取扱説明書や型番などをチェックして、IPv6に対応しているかどうかを確認します。もし、対応していないようであれば、ルーターを新しく用意する必要があります。
IPv6に対応しているルーターが用意できたら、以下の手順でルーターとパソコンの設定を行いましょう。
ここでは、パソコンを使った一般的な設定手順をご紹介します。詳しくはルーターの説明書をご確認ください。
また、ハブ(スイッチングハブ)やLANケーブルの通信速度が最高100Mbpsに対応しているなど、適切なものを使っていることも確認してください。
続いて、パソコンの設定を行います。Windows(R) 10の場合の手順です。
IPv6が遅いときには、次のような対応が必要になります。
利用しているプロバイダーがIPoE方式での接続をサポートしていないなら、プロバイダーを変更する必要があります。IPoE方式で接続できるはずなのにPPPoE方式で接続されているなら、プロバイダーへのオプションサービスの申し込みなどが必要かもしれません。サポートデスクに問い合わせてみましょう。
DTIのIPv6(IPoE)接続サービスについてはこちら
IPv4 over IPv6は、IPv4通信でもIPv6(IPoE)の経路を通れるようにする技術です。 これを活用すればIPv4通信でも高速通信が可能になります。IPv4 over IPv6接続が可能なプロバイダーのサービスを利用してみましょう。
IPv6は回線速度を改善できる可能性があります。しかし、利用を始めても遅いと感じたときは上記を参考に対処しましょう。
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