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【ネタバレ】『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』あらすじを解説!

エンタミート編集部

更新日:2021-6-30

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2017年公開の映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は、難解なストーリーや謎の残るラストシーンが話題となった作品です。

 

1993年に公開された原作をリメイクしたものではなく、リスペクトしながらもオリジナリティ溢れるアニメになっているため、内容に関して様々な考察がされています。

 

今回はそんな本作について、作中に散りばめられた謎を考察しながら、あらすじを解説していきます。

 

 

・映画を観たけどよくわからなかった

・あの謎が気になっている

・原作との違いが知りたい

 

という人はぜひ目を通してみてください。

「最後はどうなったのか」のも解説しているので、読み終わる頃には本作の謎がスッキリ解けるはず!

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?か』ネタバレあらすじ

 

 

映画『打ち上げ花火下から見るか横から見るか』がどんなあらすじなのか、まずはみていきましょう。

 

プール掃除から始まるストーリー

 

中学生の典道は夏休みの登校日、学校へ向かっていました。途中で海岸にたたずむ同級生のなずなを見かけます。密かになずなに思いを寄せていた典道の気持ちは友人である祐介にはバレており、この日もからかわれていました。

 

教室内は今夜行われるお祭りと花火大会の話で盛り上がっていましたが、なずなはどこか暗い雰囲気で典道は気になってしまいます。実は、なずなの母が再婚したことで夏休み中に引っ越すことが決まっていたのでした。

 

掃除当番のため、祐介とともにプールに向かった典道はそこに水着姿のなずなを見つけます。祐介が気を利かせてトイレに行ってしまったため、典道は平常を装ってプール掃除を始めました。

 

すると、座っていたはずのなずながプールサイドに寝そべっており、そばにガラス玉があることに気づきます。典道は思い切ってなずなに話しかけ、ガラス玉のことを聞いてみました。

 

「今朝、海で見つけた」となずなが答えたところで祐介が戻ってきて、勝負を持ちかけられます。

 

祐介はプールで50m勝負をして「自分が勝ったらなずなに告白しろ」と言い出し、典道は悩んでしまいます。すると、自分のことが話題に出されていると気付いたなずなが私も参加すると言い、さらに自分が勝ったら何でも言うことを聞くように言ってきたのでした。

水泳勝負はなずなが勝利します。

 

なずなは2着でゴールした祐介に対して「今夜行われる花火大会に一緒に行こう」と誘い、17時に迎えに行くと告げました。

最後にゴールした典道はその会話を聞いていません。なぜなら、なずなと目が合ったことで25mの折り返しを失敗し、その拍子に先ほどのガラス玉がプールに落ちていたのです。典道はきれいに輝くそのガラス玉から目が離せなくなってしまっていたのでした。

 

なずなは典道からガラス玉を受け取ると帰ってしまいます。典道と祐介が教室に戻ると、友人たちが「打ち上げ花火は横から見たらどう見えるのか」という話で盛り上がっていました。灯台からなら花火を横から見られるのではないかとなったことから、今夜みんなで見に行こうという話になります。

 

待ち合わせの神社でさらに盛り上がるなか、祐介は典道の足のケガに気が付きます。このケガは典道がプールでターンした時のものです。祐介は破傷風になってしまうのではないかと心配になりました。

 

そして、自身の父が経営する病院に行くよう勧め、その際、もしもなずながいたら行けなくなったことを伝えてほしいと頼みました。

 

なずなは祐介を迎えに来ていました。典道は、祐介は来ないと告げます。

なずなは浴衣姿にキャリーバッグを持っていました。不思議に思った典道が尋ねると、なずなは家出をしてきたと答えます。その時なずなの母親が現れ、強引に彼女を連れ帰ってしまいます。強く抵抗し典道に助けを求めたなずなでしたが、典道はどうしたらいいのかわからず、眺めていることしかできませんでした。

 

ガラス玉をきっかけにタイムリープ

 

怪我をした典道を心配した友人たちが祐介とともに病院に来たのはその直後でした。典道はなずなとの約束を守らなかった祐介に殴りかかります。その場にはなずなのキャリーバッグの中身が散乱しており、あのガラス玉もありました。

 

タイムリープする前、なずなが実はクロールで勝った方を花火に誘うと決めていたことを典道に話していました。そして、典道に「君を誘っていたらどうしてた?」と聞いていたのです。

 

キャリーバッグの中身とガラス玉を目にした典道は水泳勝負を思い出し、自分が負けてしまったことやなずなを助けられなかった後悔の気持ちからガラス玉を投げます。すると、プールで水泳勝負を始める前に時間が戻るのでした。

 

タイムリープにより水泳勝負に勝った典道は、なずなから花火に誘われます。待ち合わせた二人は駆け落ちをするため駅に向かいますが、なずなの両親に見つかってしまいます。

 

if(もしも)の世界を繰り返す 

 

必死に抵抗した二人でしたが、典道はなずなの父親に殴られ、彼女は再び連れ戻されてしまいます。電車に乗れたら駆け落ちは成功していたと考えた典道がもう一度ガラス玉を投げると、場面はなずなの父親に殴られる前に変わります。

 

典道はまたタイムリープしたのでした。なずなの両親から上手く逃げ出した二人は無事電車に乗り込みます。電車の中でなずなは自身の生い立ちや境遇を話し始めました。なずなは母親と浮気相手の間に生まれた子どもだったのです。「このまま東京に行き、二人で暮らそう」となずなは言います。

 

そんな時、線路を走って追いかけてきた祐介たちの存在に気付いた典道は、ふと車道に目を向けると、なずなの両親が車で追いかけてきていることを知り焦ります。ついに次の駅で追いつかれてしまい、ガラス玉が輝くと典道はまたもif(もしも)の時間へタイムリープしたのでした。

 

なずなと灯台に登り、二人だけで花火を見ていた典道でしたが、やがてなずなの両親や祐介たちに見つかり追い詰められます。逃げ場をなくした二人が海へ落ちる瞬間、典道はなずなと二人だけの世界を願ってガラス玉を投げました。再びタイムリープした典道が目を覚ますとそこは電車の中で、なずなの両親も祐介たちも追いかけてこない、海の上の線路を走っていました。

 

ガラス玉とともにif(もしも)の世界が消えてしまう

 

典道はなずなにガラス玉とタイムリープについて告白し、なずなは典道の言うことなら信じると返します。典道が望んだ世界にたどり着いた二人は電車を降り、海辺を歩き出しました。

 

この世界でなずなとずっと一緒にいたいと思った典道でしたが、酔っぱらった花火師がガラス玉を打ち上げてしまいます。ガラス玉は無数のかけらとなり、その一つひとつに二人の記憶が映っていました。

 

次の世界を想像し、キスを交わした二人の頭上では花火が上がります。夏休みが終わり、新学期が始まりましたが、教室になずなと典道はいません。出欠をとる先生からなずなは呼ばれることはなく、典道の名前は何度か呼ばれるものの返事がないという場面で物語は終わります。

 

 

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』解説 

 

不思議なガラス玉によって何度もタイムリープを繰り返すストーリーの『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は、その難解さから評価がわかれる作品でもあります。ここからは元ネタとなった作品についてご紹介するとともに解説していきます。

 

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』元ネタはテレビドラマ「if もしも」

 

2017年に公開された本作には元ネタがあります。1993年に放送されたテレビドラマ「if もしも」です。一話ごとにストーリーが異なるオムニバス形式を取ったこのドラマでは「もしもあの時、別の選択をしていたら?」という共通のテーマがありました。

 

『打ち上げ花火下から見るか横から見るか』はその中の一つでしたが放送と同時に大きな話題となり、原作者で監督も務めた岩井俊二氏は「日本映画監督協会新人賞」を受賞、1995年には実写映画化もされています。そんな経緯のある本作では、元ネタの片りんを見ることができます。

 

「if もしも」では“もしも”がメインキーワードでした。そのため、本作でも“もしも”が頻繁に登場します。典道はタイムリープする際には必ず口にしていますし、話の舞台がそもそも茂下(もしも)町です。そのため、セリフなどは原作をかなり忠実に再現しています。

 

テレビドラマと違った設定

 

原作を忠実に再現した本作ですが、変更された設定もあります。まずは登場人物の年齢設定です。本作では典道をはじめとした男子中学生が登場しますが、すぐに下ネタで盛り上がったり、必要以上に異性を意識したりと少し幼い印象が目立ちます。それもそのはずで、本作では典道やなずなは中学生ですが、テレビドラマでは小学生でした。思春期を迎えた子どもの1歳2歳の年齢の違いは本来とても大きいものですが、セリフや心理描写は原作に沿っているため、中学生にしてはやや幼い印象を与える結果となってしまいました。

 

また、テレビドラマ「if もしも」でメインキーワードとなっていた“もしも”とは、“AかBか”の二択を問うものでした。実際に原作ではガラス玉は登場せず、タイムリープも水泳勝負前に戻る一度だけです。タイムリープによって水泳勝負で祐介に勝った典道がなずなと花火大会に出かける“もしも”のストーリーが始まる原作では、駆け落ちの話は出るものの実行はせず、忍び込んだプールで遊ぶにとどまっています。

 

その後、二人は打ち上げ花火を真下から見ます。時を同じくして、祐介たちは灯台に登り花火を真横から見ていました。そこで彼らは下から見ても横から見ても花火は丸いのだと知る、というのが原作のラストでした。キーワードとなる“もしも”は、“水泳勝負で祐介に勝つか負けるか”の二択だったわけです。

 

 

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』ラストはどうなった? 

 

 

映画『打ち上げ花火下から見るか横から見るか』のラストについて、説明的な描写がないため、様々な解釈がされています。ここでは意見の多い二通りのラストをみていきましょう。

 

結末①二人だけの世界に駆け落ちした

 

一つ目は、本当に二人だけの世界を望み、駆け落ちを成功させるというラストです。明確には描かれていない新学期のシーンでは、なずなの名前は呼ばれません。それは引っ越しによる転校のためと考えられますが、典道の名前は呼ばれます。

 

名前を呼ばれるのにいないということは二人だけの世界に行ってしまったと解釈した人が多いようです。何度もタイムリープを繰り返した結果、なずなの両親も祐介たちも追いかけてこない世界にたどり着いた二人ですが、そこにはガラス玉を打ち上げた花火師がいました。
 

二人きりの世界ではないことを知った典道は本当に二人だけの世界を望み、さらにタイムリープしたと想像できます。

 

結末②最後は現実世界に戻った 

 

二つ目は、二人とも現実世界に戻ったというラストです。実はラストシーンの最後は二人の思い出の場所である花畑の風景で終わっています。これにより、ガラス玉の打ち上げとともに“もしも”の世界も消えてなくなり、二人は現実の世界に戻ったと解釈できます。

 

新学期のシーンについても、もともとなずなは転校予定だったため名前を呼ばれなくても不思議ではありません。典道の名前が呼ばれるもの当然でしょう。

 

ではなぜ典道の姿がないのか、それは学校をサボり、二人の思い出の場所である花畑で過ごしているためと考えられます。最後に花畑の風景が描かれているのはそういったラストを想像させます。

 

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』考察

 

 

見る人によってラストの解釈が異なる本作ですが、共通した謎が存在します。ここからは『打ち上げ花火下から見るか横から見るか』の謎について考察していきましょう。

 

ガラス玉の謎

 

ガラス玉が輝くことでタイムリープを繰り返した典道ですが、単純に時間が巻き戻っているわけではありませんでした。典道が入り込んだ世界は「こんな世界だったらいいな」という彼の想像する“もしも”の世界です。

 

何度もタイムリープをしていくうちに典道の想像は膨らみます。最初は水泳勝負で祐介に勝ちたいと思っただけだったはずが、最終的にはなずなと二人きりの世界を望むようになりました。

 

風力発電のプロペラがヒントになっている?

 

本作には度々、風力発電機が登場します。3枚のプロペラがついた大きな発電機は一定の速度で回転していますが、タイムリープした世界では回転の向きが逆になってしまいました。

 

さらに、典道となずなが駆け落ちに成功した世界ではプロペラが止まってしまいます。ところが、酔っぱらった花火師がガラス玉を打ち上げると再びプロペラが回り始めるのです。プロペラが正しく回転する世界だけが現実だと考えると、ガラス玉が壊れたことで二人は現実世界に戻ってきたのではないかとの予測が立ちます。

 

花火の形も読み解くポイント

 

タイトルにもなっている花火の見え方も、ストーリーを読み解くポイントの一つです。そもそも、友人たちが「打ち上げ花火は下から見た時と、横から見た時とでは見え方が違うのか?」という疑問について盛り上がっていたことから花火を見に行くという流れになっており、花火の形は重要なキーワードです。

 

実際、タイムリープした世界では平べったく見えたり、花の形をしていたりと、現実的な見え方はしていません。これもやはりタイムリープした世界は典道の想像する“もしも”の世界に過ぎず、実際に時間が巻き戻っているわけではないことがわかります。

 

実際の打ち上げ花火は横からどう見える?

 

では実際の打ち上げ花火は横から見るとどんな形をしているのでしょうか?正解は「どこから見ても丸く見える」です。最近は特定の角度から見た時に限り、文字やマークが浮かび上がるような花火もあり、その場合は横から見ると平べったくなります。

 

一般的に、球体状の打ち上げ花火には星と呼ばれる光る火薬と、その星を飛ばすための割薬と呼ばれる火薬が詰まっています空中に打ち上げられると星と割薬に引火し同心円状に爆発するため、花火はどこから見ても丸い形をしているのです。

 

『打ち上げ花火下から見るか横から見るか』というタイトルにもなっていながら、実は本作では「どう見えるのか」についての答えを最後まで示していません。確かに例外はあるものの、明確な答えは存在します。

 

何度目かのタイムリープでなずなと二人で花火を見た典道は、変な形の花火を見て「違う」と言いますが、なずなは典道と二人でいられる世界ならいいのだと、“もしも”の世界を受け入れます。多感な思春期の主人公たちが選んだ答えを否定するつもりはない、とでもいうようなこのシーンに、ある種の優しさを感じられます。

 

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』ネタバレまとめ 

 

今回は映画『打ち上げ花火下から見るか横から見るか』について、ネタバレあらすじや見解が分かれるラストシーンなどの考察をしてきました。本作は中学生男子が描く“もしも”の世界にタイムリープを繰り返す、という難解なストーリーのうえ、説明描写がなく、謎の多いラストは公開当初から議論を呼び起こしました。

 

しかし、一方では異なる解釈ができる柔軟な作品ともいえます。花火師が打ち上げたことで壊れてしまったガラス玉のかけらたちには、二人が描いた“もしも”の世界の断片が映し出されていました。

 

それは二人きりの世界だけでなく、友人と過ごす世界も含まれており、二人には無限の可能性があることを示唆していると受け取れます。見た人がそれぞれに納得できる最後を描ける作品である、という解釈をすれば十分に楽しめるのではないでしょうか。興味があればU-NEXTなどの動画配信サイトから視聴してみましょう。

 

 

※本ページの情報は2021年6月時点のものです。最新の配信状況は各動画配信サービスサイトにてご確認ください。

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