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SF作品の原点!『2001年宇宙の旅』の物語を徹底解説

エンタミート編集部

更新日:2021-6-23

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『2001年宇宙の旅』はSF映画の金字塔と呼ばれるほど完成度の高い作品です。しかし、そのハードな世界観から難解なシーンが多く、解釈を視聴者に委ねるシーンが多いのも特徴となっています。

 

本記事では『2001年宇宙の旅』をまだ見たことがない方、一度見てはいるものの意味が分からなったという方に向けて、同作品をじっくり解説していきます。SF映画ならではの圧倒的スケールと魅力あふれるストーリーを詳しく知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください

 

『2001年宇宙の旅』のあらすじ

 

 

400万年前、人類最古の存在である猿人(ヒトザル)は、謎の黒い石板モノリスに導かれ、動物の骨を武器にして戦う知識を得ます。多くの生物を倒す術を使い、やがて生物界の頂点へと君臨します。

 

発達した脳によって劇的な進化を遂げていく人類は、街やコミュニティを作りそれが世界中に広がっていきます。そして、ついには地球外の宇宙へ開拓するまでに至ります。

 

月に居住することを可能にした人類は、木星でモノリスの真実が知れるかもしれないということを発見します。発達した技術を作り上げる元となったモノリスについて調査するため、2001年に人類は初の有人木星探査へと旅立つことになりました。

 

しかし、調査中に宇宙船の制御を行うHAL9000が暴走してしまいます。人工知能(AI)によって動くHAL9000が暴走を越えて反乱を起こした時、人類は一体どうなってしまうのでしょうか?

 

『2001年宇宙の旅』をネタバレありで徹底解説!

 

 

『2001年宇宙の旅』は至るところで謎に思えるシーンが散りばめられています。続いては各シーンの真相に迫り、同作品がリアリティ溢れる作品かつメッセージ性が強い作品であることもお伝えしていきます。

 

HAL9000が反乱を起こした理由

 

 

人工知能を有する宇宙船制御マシンHAL9000は作中途中になぜ暴走してしまうのでしょうか?その理由を解説し、暴走したHAL9000のその後についても説明していきましょう。

 

AIが精神的異常をきたす

 

HAL9000は宇宙船内の全ての制御を担うほどコンピューターで、人と会話しコミュニケーションできる能力も持ち合わせています。探索中はミッション遂行のため、乗員スタッフと話し合いするように命じられていました。

 

ただHAL9000は、極秘で遂行するモノリス探査の任務について船内では話してはならないとも告げられていたのです。上記2つの矛盾し合う考えにHAL9000は精神的異常をきたし、ついに暴走してしまいます。

 

暴走行為には最初は故障予知の間違いといった奇妙な言動だけでしたが、後に悪化します。自身の頭を混乱させる人間からの命令をなくすために人間を排除しようとするのです。

 

自分だけでもミッションは遂行できると考えたHAL9000は、冬眠装置に入っている人の命を奪うことを決行します。コンピューターが人に対して反乱する姿は多くの人を震え上がらせることになりました。

 

HAL9000のその後

 

思いもよらない虐殺シーンに驚く人はたくさんいたことでしょう。HAL9000はその後、宇宙船船長のボーマン氏によって暴走を止められることになります。まずはHAL9000の自立機能を停止させ、続いてHAL9000のモジュールを次々と引き抜いていきます。

 

その時HAL9000は「怖い」「やめてほしい」と訴えます。意識を混濁させながら気絶していく表現に視聴者は、コンピューターでありながら人工知能を有した生物的な存在であることに気づかされるでしょう。そんな切ない表現と共にHAL9000が稼働初期に教えてもらった思い出の歌を歌いながら機能が停止します。

 

『2001年宇宙の旅』では悲しい最期で終わってしまうHAL9000ですが、続編の『2010年宇宙の旅』という作品で再度その姿を見ることができます。『2010年宇宙の旅』では異常の原因が排除されており、あらゆる問題に直面しても正常に稼働しています。かつての異常も2つの命令が矛盾することによって起こしたものだとして、HAL9000には責任がない説明するシーンも描かれています。

 

モノリスとは何か?

 

 

続いては作中冒頭からも登場し多くのシーンに出現するモノリスについて迫っていきます。人類に大きな進歩を与えるきっかけとなったモノリスははたしてどのような存在なのでしょうか?

 

1つ目のモノリスはヒトザルの知性を発達させる

 

2001年宇宙の旅で登場するのは1種類のモノリスだけではありません。実は3つの違うモノリスが登場しています。最初に登場したモノリスは、400万年前ヒトザルに知識を分け与えました。

 

実はこのモノリスはヒトザルの肉体や反応から優れた潜在能力を備えている動物なのかを確認していました。ヒトザルに可能性を見出したモノリスは精神構造に干渉することによって、知性を発達させることを可能にしたのです。

 

モノリスの教えによってヒトザルができるようになったのは道具を使って戦うことです。ある一匹のヒトザルは死骸から骨を取り、あらゆる生物を倒せる術を身に付けました。

 

その後の姿は作中の仕様で詳しく描かれてはいません。しかし最初に出現したモノリスによって人類が大きく発展していったことは、監督であるスタンリー・キューブリックが見せたかった重要な要素となっています。

 

人類の進化のはてに今の私たちが生きる発展した世界があります。人類そのものの姿形にあまり変化が見られない今の世の中だからこそ、どのように進化を遂げてきたのか表現したと考えられます。

 

2つ目のモノリスはなぜ月で発見されたのか?

 

 

作中2つ目のモノリスは現代月にも到達することを可能にした人類が発見したものになります。つまり400万年の時の違いにより、おそらく別のモノリスだろうと推測されています。

 

このモノリスは月の地中に埋まっており、月面を探査している途中で発見されました。地中に埋まったものモノリスを掘り起こしたところ、なんと突如強烈な電波が本体から発射されたのです。

 

その強力な電波が飛んでいく先は宇宙でした。後々電波が向かった先を調べると木星であることが分かり、新たな発見があるかもしれないとして木星の調査団を組むことになります。そしてAI搭載の制御マシンを備えた宇宙船ディスカバリー号によって木星探査のシーンへと話は進んでいきます。

 

どうしてモノリスが月にあったのかというと、この時点で月にしか到達していなかった人類に新たな可能性を与えたかったからだと推測されています。1つ目のモノリス同様に人類に進化に、大きな期待を寄せているモノリスが見せた一つのメッセージだったのです。

 

また、このモノリスは太陽光を浴びた瞬間に起動するようになっており、電波を発信させるようにセットされていました。そして月面の地中に埋まり続けていたのも理由があるとされています。いつか知的生命に発見され掘り起こされることを思って埋まり続けながら月に居座ったのです。

 

かつて何もできなかったヒトザルが、進化を遂げて月に到達することも可能になったということを告げるためのセンサーだったのでしょう。そう考えるとモノリスは、遥か昔からヒトザルが大きく進化していくことを予知していたことが分かります。

 

そしてHAL9000と同じように知能があることが分かるでしょう。モノリスの姿はどれも厚みのある鉄板のようなプレートです。無骨で無機質な姿からは感情といった意識はまったく感じられない物質にしか見えません。

 

しかしこうした機械的なものにも、AI技術によって意思を芽生えさせられるということも監督のキューブリック氏は見せたかったのだと考えられます。

 

モノリスは地球外知的生命体が作った?

 

 

モノリスは地球外知的生命体が作った可能性が非常に高いと推測できます。進歩が見られない地球生命へのお告げとして、地球外生命体がモノリスを制作したのではないでしょうか?

 

ただし、400万年も前からその技術を兼ね備えていたとなると、実際に存在していたら大変危険な生物だということが分かります。現実世界では地球外生命体の存在は依然未知のままです。しかしフィクションならば、いとも簡単にあらゆる生命体を作れてしまいます。

 

こうした、モノリスが誰によって作られたのかという観点まで見ていくと、大変考察が楽しいと思える作品です。未知の物体の出現であえてナレーションを挟まないからこその、作品の楽しみ方と言えるでしょう。

 

3つ目のモノリスとスターゲート

 

3つ目のモノリスは作中終盤に登場します。あらゆる難を経て木星に到着した船長のボーマンは、3つ目のモノリスに導かれていきます。まばゆい光とカラフルな空間であるスターゲートに包まれ、謎の部屋へと到着するのです。

 

スターゲート(ワームホール)とは?

 

 

木星にいたはずのボーマンをスターゲートの大空間移動によって、謎の部屋へと移動させたことについて解説していきましょう。スターゲートは別名ワームホールと呼ばれており、実在可能になるかもしれないと言われるものです。

 

ワームホールはトンネルのような通り道を持つ穴で、別空間に空けた穴と結びつくような性質を持ちます。例えてご紹介するならば、リオオリンピック閉会式で見せた安倍前首相の演出です。日本とその裏側のブラジルを一本の土管でつなげた演出は、実際には可能ではないものの、まさしくワームホールと同じと言えます。

 

そんなワームホールはブラックホールとホワイトホールをつなげている時空のトンネルであるとも言われています。つまりボーマンはブラックホールが可能にするタイムトラベルを行った可能性もあるのです。

 

吸い込まれた先がホテルの一室だった理由

 

 

あらゆる次元を超えた移動を可能にするスターゲートですが、なぜボーマンはホテルの一室に吸い込まれてしまったのでしょうか?理由はモノリスを作ったとされる地球外生命体が、地球人の暮らしを再現できるホテルに移動させ、ボーマンのこれまでの生活を再構築させたからです。

 

モノリスや地球外生命体は地球人に危害を与えることはありません。現実世界でももし地球外生命体が存在していた場合は、とっくに人類もやられているはずでしょう。

 

そんな優しき地球外生命体が安全で落ち着ける場所にボーマンを移動させ、今後人類がどのような進化を可能にする力を秘めているのか、伝えたかったのです。

 

ボーマンを連れてきた“彼ら”の目的

 

ボーマンがスターゲートで移動させられ、目が覚めたらベッドの上に寝ていました。長い眠りから覚めたようにボーマンは老体となってしまい、手をあげることもままなりません。

 

そんな時、目の前にモノリスが出現します。モノリスはボーマンをなんとお腹の中の赤ちゃんのように、小さな体に変化させ不思議な膜に包み込みます。そしてカメラはモノリスにどんどん近づいていき、モノリスの黒い本体がカメラを包んだ後に人類が住んでいた星と地球が映し出されます。

 

このシーンもナレーションがあるわけではないため意味が分からないという人は多くいます。結局モノリスや地球外生命体である彼らは、ボーマンを過去の姿に変えたように、タイムスリップできる進化を身に付けるべきだと伝えているのでしょう。不明瞭さが残る最後のシーンに、実は優しき彼らが人類に伝えたかった最後のメッセージが隠されているのです。

 

1968年公開の映画でここまでリアリティを出せた理由

 

 

『2001年宇宙の旅』は上記で説明してきたように、現代発展してきたばかりのAI技術が登場してきました。また、地球外生命体が人類を襲ってこない優しさを持つといった長年の研究に末に出たような答えがありながらも、実はかなり昔に作られた映画です。

 

公開されたのは2001年ではなく1968年です。なぜこんなにもリアリティ溢れる作品に仕上げることができたのでしょうか?

 

科学考証には多くの科学者が参加

 

『2001年宇宙の旅』を制作では多くの科学者が参加したことで有名です。SF小説界の第一人者であるアーサー・C・クラーク氏の『前哨』を元にストーリーを考え、各科学分野の有識者を集めて作品を完成させていきました。

 

参加した企業や研究機関はなんと40社です。それだけ多くの人の科学的交渉があれば、ここまでリアリティを出せるのも納得がいくでしょう。B級SF映画で留まらないというのが『2001年宇宙の旅』の魅力です。

 

NASAが開発したあるアイテムも登場!

 

 

『2001年宇宙の旅』では、当時NASAが実際に開発していたアイテムも登場していました。そのアイテムとは宇宙食です。宇宙食は映画のために提供されたもので、映画に見合う宇宙食を提供していたと考えられます。

 

他にも本作で登場するコンピューター画面はIBMが全面協力しているなど、随所にまでこだわりが見られる作品となっています。

 

『2001年宇宙の旅』の解説まとめ

 

 

『2001年宇宙の旅』を解説なしで1回見ただけでは監督のキューブリック氏が伝えたかったメッセージを理解することは難しいです。しかし、見れば見るほど味のある作品に仕上がっており、最初は意味が分からないと感じる表現も2回目以降は「こういう意味があったのか」と感じられるかもしれません。人類の進化という可能性にSF映画ならではのワクワクを感じられるはずです。

 

ただし、同時にAIによって人類が滅んでしまうかもしれないという危険性を呼びかけるメッセージも見られます。一見謎で難解なシーンばかりですが、こうした複数のメッセージがあることを知れば、より作品を楽しめるでしょう。

 

1968年に公開ながらも圧倒的スケールのストーリーと、それを再現するほどのこだわり抜いた表現やセットなど見どころは満載です。最優秀監督賞、最優秀作品賞にも輝いた『2001年宇宙の旅』を、ぜひ各動画配信サービスで視聴してみてください。

 

 

※本ページの情報は2021年6月時点のものです。最新の配信状況は各動画配信サービスサイトにてご確認ください。

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