映画『ロマンスドール』は、タナダユキさんが2009年に発表した小説が原作。ラブドール職人とその妻の出会いから、夫婦の愛を描いています。
冒頭から衝撃的な語りでスタートしていることや、ラブドール職人というアダルトな部分も含まれていますが、複雑な関係性が繊細に描かれたことで話題になりました。
この記事では『ロマンスドール』のあらすじを、ネタバレ込みで解説していきます。
更新日 : 2025年03月26日

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映画『ロマンスドール』は、タナダユキさんが2009年に発表した小説が原作。ラブドール職人とその妻の出会いから、夫婦の愛を描いています。
冒頭から衝撃的な語りでスタートしていることや、ラブドール職人というアダルトな部分も含まれていますが、複雑な関係性が繊細に描かれたことで話題になりました。
この記事では『ロマンスドール』のあらすじを、ネタバレ込みで解説していきます。
『ロマンスドール』は、2009年にタナダユキさんが発表した小説を原作とした映画です。
2020年1月24日に公開され、全編16mmフィルムを使用したことでどこか懐かしいアナログ感のある映像に仕上がっています。
実物の女性に近い形の人形を作るラブドール職人が主人公で、妻との10年間を描いた物語です。
2019年に公開予定でしたが、出演者が逮捕されたことで公開延期になったことでも知られています。
この映画の監督は、原作者のタナダユキさんが担当。
タナダユキさんは2006年公開『怪奇!!幽霊スナック殴り込み!』で主演を務めるなど、多彩な活躍をしています。
2007年には蜷川実花監督の作品『さくらん』で脚本を担当。2008年に公開された『百万円と苦虫女』では、第49回日本映画監督協会新人賞を受賞しています。
2009年以降は映画監督業を休止していましたが、2012年『ふがいない僕は空を見た』で復帰。これまでと同様に映画監督・小説家、脚本家として活躍している人物です。
今回の『ロマンスドール』はラブドール職人というアダルトなジャンルですが、職人という素晴らしい仕事にスポットライトを当てたストーリーにしたいとの思いが作品を作ったきっかけだとされています。
ここでは『ロマンスドール』に登場する、出演者について紹介していきます。
美大の彫刻家で学んだ後、先輩の紹介でラブドール工場に勤める職人。
ラブドールに対しての知識は全くなかったものの、働いていくうちに職人として成長していきます。
北村哲雄は、高橋一生さんが演じています。
タナダユキさんはキャスティングの際、密かに高橋一生さんを希望していたそうです。
高橋一生さんは1990年『ほしをつぐもの』で映画初主演。1995年には、ジブリ作品『耳をすませば』で天野聖司の声優を担当しました。
その後、2015年には第1回コンフィデンスアワード・ドラマ賞、第86回ザテレビジョンドラマアカデミー賞において助演男優賞を受賞した経歴の持ち主です。
元美術モデルとして久保田商会を訪れ、哲雄と結婚。旧姓は小沢で、とても気立ての良い妻として登場しています。
北村園子を演じているのは、蒼井優さん。1999年のミュージカル『アニー』でポリー役としてデビュー。
2001年に『リリイ・シュシュのすべて』で初主演して以降、様々なドラマや映画に欠かせない女優となりました。
2006年に公開された『フラガール』では、第30回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞や、第49回ブルーリボン賞主演女優賞など、多くの賞を受賞した実力派です。
久保田商会で働く、唯一の造形師。北村哲雄の師匠であり、相談相手として信頼されている人物です。
久保田と一緒に久保田商会を立ち上げ、30年に渡って究極の人形を作り出そうと常に探求しています。
新製品開発で医療用の人工乳房を作ると偽り、生身の女性から型を取ることを提案するほどの職人魂です。
相川金次は、きたろうさんが演じています。きたろうさんは、1971年に表現劇場を結成後、舞台や映画など多くの作品に出演。
インパクトがある重要人物や脇役としての登場が多く、バイプレーヤーとして欠かせない人物です。
久保田商会の古株であり、管理業務を一手に担うのが田代まりあです。
相川とは「キンキン」「おばちゃん」と呼び合う仲の良さで、常に社員のことを温かく見守る母親のような存在。
田代まりあは、渡辺えりさんが演じています。
高校在学中から演劇をしていて、蟹江敬三さんの芝居を見たのをきっかけに劇団を作ると決意したそうです。
1983年の『ゲゲゲのげ』では岸田國士戯曲賞を受賞し、演劇に対して精力的に活動しています。
映画やドラマでも味のある演技が話題で、面白くもインパクトのある人柄が人気です。
久保田商会の社長。警官時代に留置所に入れられた相川と出会い、会社の設立に至ります。
職人の想いやこだわりに対して理解を示している人物。
わいせつ物頒布等の罪に触れるような製品を売り出し、逮捕されることも恐れていません。
久保田薫を演じたのは、ピエール瀧さんです。
テクノバンド『電気グルーヴ』のメンバーであり、音楽活動以外にも俳優やナレーターなどもこなす人物。
2000年以降、俳優として作品に登場することが多く、2013年公開の『そして父になる』では、第56回ブルーリボン賞助演男優賞を受賞しています。
相川の後、久保田商会に入社した人物。哲雄の助手でしたが、実用に結び付けた新素材のデータを盗んでしまいます。
両角は、浜野謙太さんが演じています。在日ファンクというバンドのボーカル兼リーダーを務め、愛称はハマケン。
またジャズバンドのNewdayのトロンボーンを担当し、多彩な人物です。
キャラクター性が感じられることで、俳優としても多くの作品に出演。
NHKのEテレ『ムジカ・ピッコリーノ』シリーズではドットーレ・マルコ役として登場し、子どもから大人まで親しまれています。
哲雄がゲーセンで出会った女性。一夜限りですが、哲雄の浮気相手となった人物です。
ひろこは、三浦透子さんが演じています。
三浦透子さんは、2021年に公開された『ドライブ・マイ・カー』で寡黙な運転手として出演。2022年第45回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しました。
久保田とは長い付き合いの、内偵調査官。原田は、大倉孝二さんが演じています。
劇団ナイロン100℃所属の俳優で、舞台や映画など多くの作品で活躍中です。
『ロマンスドール』では、哲雄が最後に園子のことを「スケベでいい奥さんだった」と懐かしんでいます。なぜ哲雄はこのような言葉を言ったのか気になるかもしれません。
それは、自分しか園子のすべてを知らないという意味で発した言葉ではないかと考察できます。
病気で弱っている中、何度も2人で体を重ねることを単に性欲で済ませれば「スケベな奥さん」止まりでしょう。
しかし、園子の願いは自分の分身をラブドールで再現してほしいというもの。
何度も哲雄と一緒になることで、忘れないようにリアルに再現してほしいと思っていたのかもしれません。
その気持ちを知っている哲雄は、園子の願いと哲雄に忘れてほしくない気持ちを汲み取って「スケベでいい奥さんだった」と言ったのではないでしょうか。
『ロマンスドール』では、哲雄の浮気相手として登場しているのはひろこです。
哲雄は園子がいなくなったことを理由に浮気をしてしまいますが、園子も同じような理由で同級生と浮気してしまいます。
園子は日頃の寂しさを埋めるために、同窓会で知り合った人と一夜の過ちを犯してしまいます。
哲雄がそのことを責めますが、自分も浮気していることには変わりないのです。
浮気と言いつつも、お互いに一夜限り。浮気相手との継続的なやりとりはありません。
『ロマンスドール』は、ラブドール職人の哲雄と園子の夫婦の愛について描かれていますが、タイトルにはどのような意味が込められているのでしょうか?
考察になりますが、ラブドール職人の哲雄が作り出す人形には自分のロマンスを詰め込んだと想像できます。
ただラブドールを作るのではなく、園子の想いを汲み取って最終的に『そのこ』を誕生させていること。
園子との出会いがラブドールの乳房の型取りだったことなど、様々なことがラブドールをきっかけに起こっています。
また、ラブドール職人だと打ち明けるまでの葛藤やラブドールを通じた様々な感情が含まれていることが、恋から愛まで含まれている=ロマンスになったと考えられます。
そして、哲雄にとって園子が特別なこと、園子との出会いから恋愛が生まれたこと、すべて含めた想いが“ロマンスドール”に込められていると考察できます。
『ロマンスドール』は、主題歌にもこだわりが込められています。主題歌を歌うのは、never young beachというバンド。
『ロマンスドール』のために書き下ろされた『やさしいままで』は、タナダユキさんからのオファーがあって完成したものです。
さらに、メンバーの安部勇磨さんは高橋一生さんの弟であり、兄弟がコラボした作品としても注目されました。
劇中歌の『ららら』もnever young beachの曲なので、気になる方はチェックしてみてください。
今回は『ロマンスドール』のあらすじをネタバレありで紹介してきました。また作品内で気になる点についても考察しています。
美しくも夫婦の形となるラブドールを中心にした内容であり、エッジの効いた作品です。気になる方はU-NEXTで配信されているのでチェックしてみましょう。