映画『マレフィセント』概要
タイトル
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『マレフィセント』(原題:Maleficent)
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監督
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ロバート・ストロンバーグ
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脚本
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ポール・ディニ/リンダ・ウールヴァートン
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配給
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ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ
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公開
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2014年5月30日(アメリカ)/2014年7月5日(日本)
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上映時間
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97分
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映画『マレフィセント』は、1959年に製作されたディズニーのアニメーション映画『眠れる森の美女』が原作となっています。
主人公のマレフィセントを演じるのは、映画『17歳のカルテ』でアカデミー助演女優賞を受賞しているアンジェリーナ・ジョリー。監督は、『アリス・イン・ワンダーランド』や『アバター』などでプロダクションデザインを手がけ、アカデミー美術賞を受賞しているロバート・ストロンバーグが務めています。
アンジェリーナ・ジョリー扮する超リアルなマレフィセントはもちろん、本作で初めて監督に挑戦したストロンバーグによる美しい映像表現にも注目していただきたい作品となっています!
映画『マレフィセント』のあらすじを短く紹介【ネタバレなし】
ディズニーヴィランズを代表するマレフィセントの人生を描いた、名作「眠れる森の美女」の知られざる物語。
マレフィセントが純粋な心をかたく閉ざすようになったのは、過去にある人に裏切られたことがきっかけだった。
復讐心と自らが支配する地を守りたいという強い思いから、マレフィセントは無情にも王の娘であるオーロラ姫に、だれにも解くことのできない呪いをかけた。
成長したオーロラ姫は、愛する妖精界と、生まれ育った人間界の狭間で苦しむ。
世界に平和をもたらすカギを、オーロラ姫が握っているかもしれないと気づいたマレフィセントは、2つの世界を大きく変えてしまうような行動に出る。
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映画『マレフィセント』は、妖精の少女マレフィセントが人間の男の子ステファンに出会い恋をするところから物語が始まります。
本作は、ディズニー映画の王道である「プリンセスと王子様」の物語ではなく、悪役を主人公としてその心情を丁寧に描いたヒューマンドラマとなっています。
映画『マレフィセント』キャスト紹介
本作の主人公マレフィセントを演じるのは、実力派女優のアンジェリーナ・ジョリー。彼女は14歳でアメリカとヨーロッパを中心にファッションモデルとして活動を始め、16歳で初めて舞台に出演しています。
1999年公開の映画『17歳のカルテ』でアカデミー助演女優賞を受賞し、実力派女優としての地位を確立しました。
マレフィセントに呪われてしまうオーロラを演じるのは、アメリカの女優エル・ファニングです。2歳8ヶ月のときに女優デビューを果たし、幼少期から高い演技力を評価されてきた実力派女優のエル・ファニング。英語版『となりのトトロ』では、姉妹の妹メイの英語吹き替えを担当しています。
ドイツ系とアイルランド系の血筋を持つ彼女のヨーロピアンな雰囲気と透明感のある美しさは、オーロラのイメージにぴったりです。
そんなオーロラをマレフィセントと共に見守るのが、マレフィセントの相棒であるカラス・ディアヴァルです。
本作で大活躍しているディアヴァルを演じているのは、イギリスの俳優サム・ライリー。2007年に公開された映画『コントロール』で、イギリスの伝説的ロックバンド「ジョイ・ディヴィジョン」のイアン・カーティスを好演し、「ブリティッシュ・インデペンデント映画賞新人賞」を受賞したことで注目を集めました。
サム・ライリーは、「自分に訴えかけてくるものがあるかどうか」で出演作を決めているそう。『マレフィセント』出演の決め手は、アンジェリーナ・ジョリーへの尊敬だったそうです。作中では、いがみ合いながらも本心では信頼し合うマレフィセントとディアヴァルの仲の良さが伝わってくる演技を見せています。
『マレフィセント』を視聴するならディズニープラスがおすすめ!
『マレフィセント』のネタバレ解説を見ていく前に、本作をまだ未視聴の方やもう一度視聴したい方に向けて、本作を配信しているサービスをご紹介していきます。
『マレフィセント』を視聴できる主な動画配信サービスは以下の通り。
動画配信サービス
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配信状況
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月額料金
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Disney+
(ディズニープラス)
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見放題
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990円(税込)
(無料トライアルなし)
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プライムビデオ
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レンタル
400円(税込)
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600円(税込)
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dTV
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レンタル
330円(税込)
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550円(税込)
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music.jp
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レンタル
299円(税込)
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1,958円(税込)
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原作『眠れる森の美女』と『マレフィセント』のストーリーの違いを比較&ネタバレ解説!
ディズニーの名作アニメ映画『眠れる森の美女』を原作とした映画『マレフィセント』のストーリーは、原作とは異なる部分が多くあります。
ここからは、マレフィセント視点で描かれる物語の魅力を、原作との違いを比較しながらご紹介していきます。
描かれるマレフィセントの子供時代とステファン王との関係
『眠れる森の美女』では、ステファン王と王妃の間にオーロラ姫が誕生し、祝賀会が開かれるところから物語が始まります。
それに対して『マレフィセント』では、純粋無垢な妖精の少女マレフィセントが、人間の少年ステファンに出会い恋に落ちるという過去が描かれています。
原作では描かれなかった過去のステファンとの因縁が理由で、マレフィセントは邪悪な魔女へと変貌するに至ったことが、本作で明らかになるのです。
マレフィセントの心優しい少女時代を描くことで「悪役は生まれたときから悪役というわけではない」ということを巧みに表現した本作は、マレフィセントに対する悪役のイメージを覆す作品となっています。
マレフィセントがオーロラ姫を呪うのはなぜ?
『眠れる森の美女』と本作では、マレフィセントがオーロラ姫を呪う理由が違います。
『眠れる森の美女』のマレフィセントは「祝賀会に呼ばれなかったことに腹を立てて」オーロラ姫を呪います。しかし、本作では「ステファンへの復讐」を理由にオーロラを呪っているのです。
そのことは、原作と本作との呪いの内容の微妙な違いに注目することで分かります。
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『眠れる森の美女』
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『マレフィセント』
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呪いの内容
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16歳の誕生日の日没までに、
糸車の針で指を刺して死ぬ
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16回目の誕生日の日が沈む前に、糸車の針で指を刺して、死んだように永遠の眠りにつく
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呪いを
解く条件
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【善き妖精によって】
・死ぬのではなく眠るだけ
・真の恋人のキスによって目覚める
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【マレフィセントによって】
王女を目覚めさせることができるのは“真実の愛のキス”だけ。
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『眠れる森の美女』では、マレフィセントはオーロラ姫に「死ぬ」という呪いをかけており、その後の「死ぬのではなく眠るだけ」「真の恋人のキスで目覚める」という善き妖精のまじないによって、呪いが軽くなるという展開になっています。
一方『マレフィセント』では、マレフィセント自身が「死んだように永遠の眠りにつく」という呪いをかけています。また、「“真実の愛のキス”で目覚める」という条件を加えたのもマレフィセント本人です。
なぜ本作のマレフィセントは「死んだように永遠の眠りにつく」という内容の呪いにしたのか、それは自分を騙し睡眠薬で眠らせて翼を奪ったステファンへの、当てつけだったのではないでしょうか。
また、目覚めの条件である「真実の愛のキス」も、かつてステファンがマレフィセントに対して言った「真実の愛のキス」からとったものです。
そして、この「真実の愛のキス」をステファンがマレフィセントに贈ったのが16回目の誕生日だったので、呪いもまた「16回目の誕生日の日が沈むまで」を指定しているのです。
『眠れる森の美女』では「祝賀会に呼ばれなかった」という理由だけで“死”の呪いをかけるマレフィセントに違和感を抱く方も多いのではないでしょうか。しかし、本作では「ステファンへの復讐」を目的としていることがしっかりと描かれているため、マレフィセントに共感することができる作品となっています。
実写『マレフィセント』では相棒のカラスが大活躍!
原作『眠れる森の美女』では、森の中で隠れて暮らすオーロラ姫を見つけ出しマレフィセントに伝えるという役目を果たしていたカラス。このカラスに名前はありませんでした。しかし、本作のカラスにはディアヴァルという名前があります。
ディアヴァルは、人間に捕まり殺されそうになっていたところをマレフィセントに助けられ、彼女に仕えることになります。
マレフィセントの魔法によって人間やオオカミに姿を変えたディアヴァルが、本作では大活躍しています。
オーロラを追うために、マレフィセントは馬に変えたディアヴァルにまたがり城へと向かいます。また、物語の終盤、『眠れる森の美女』ではマレフィセントがドラゴンに姿を変えていましたが、本作ではディアヴァルがドラゴンに姿を変えて、襲い来る兵士たちと戦っています。
ディアヴァルは『マレフィセント』において、欠かせないキャラクターと言っても過言ではないでしょう。
マレフィセントとディアヴァルが、強い信頼関係で結ばれていることが分かるシーンがあります。それは、オーロラが妖精たちと一緒に泥遊びをするシーンです。
妖精がオーロラに向けて投げた泥がマレフィセントに当たってしまった時に、妖精たちは焦り静まり返ります。妖精たちはマレフィセントに対して、冷酷な女王というイメージを持っていたからです。しかし、静寂の中で1人、ディアヴァルだけは声を大にして笑っていました。
ディアヴァルは、マレフィセントが本当は優しい妖精だと知っているので、大声で笑っているのです。そんなディアヴァルに、マレフィセントは魔法を使って泥を投げつけます。
このシーンで、マレフィセントとディアヴァルが、ただの「主人と召使い」という関係ではないことが分かります。
【ネタバレ】マレフィセントとオーロラ姫の関係がまったく違う!
『眠れる森の美女』と『マレフィセント』のストーリーの最も大きな違いは、「マレフィセントとオーロラ姫の関係」です。
『眠れる森の美女』でオーロラ姫とマレフィセントが関わるのは、マレフィセントが呪いを成功させるためにオーロラ姫を糸車のもとへと導くときだけです。以降オーロラ姫は、マレフィセントを倒したフィリップ王子にキスをされて目覚めるまで眠ったままなので、2人が会うことはありません。
それに対して『マレフィセント』では、オーロラとマレフィセントは深く関わりを持つことになります。
オーロラはステファン王によって妖精たちに預けられ、森で育てられます。原作では16歳になる直前までマレフィセントから身を隠すことに成功していますが、本作のオーロラは早々にディアヴァルに見つかってしまいます。これが原作とは異なるストーリーとなっていくきっかけになるのです。
育児に向いていない妖精たちを見かねたマレフィセントは、魔法を使ってオーロラを陰から見守り、成長したオーロラはマレフィセントと出会い「フェアリー・ゴッドマザー」と親しみを込めて呼びます。
マレフィセントが、呪った相手であるオーロラをわざわざ見守っていた理由は、マレフィセントが元々優しい心の持ち主であったことと、オーロラに呪いをかける際に口にした「あらゆる人から愛される」というまじないが、マレフィセント自身にも影響したからだと考えられるでしょう。
作中、印象的なシーンとしてマレフィセントがオーロラにかけた呪いを取り消そうとするシーンがあります。
ステファンへの憎悪に駆られオーロラを呪ったことを後悔したマレフィセントは、呪いを取り消そうとしますが、「いかなる力にも変えることができない」呪いをかけてしまったので取り消すことができません。この時の呪いを取り消そうと必死になっているマレフィセントの姿は、いつものクールな雰囲気とは違っていて印象的です。
オーロラ姫を救うために城へ向かうマレフィセント
原作では、オーロラ姫を救うために城に向かって馬を走らせるのはフィリップ王子。そんなフィリップ王子を魔法で邪魔するのがマレフィセントでした。
しかし、本作ではマレフィセントが馬に変えたディアヴァルに跨り、魔法で眠らせたフィリップ王子を連れてオーロラが眠る城へと向かいます。マレフィセントは、フィリップ王子のキスがオーロラを目覚めさせるためには必要だと思い、彼を城へ連れていくのです。
原作でフィリップ王子の行く手を拒むためにマレフィセントが作った“茨の森”は、本作でも別の形で登場しています。それはマレフィセントが城の中に入っていく際に障害となる、茨のような形をした無数の“鉄”です。これは“鉄”がマレフィセントの弱点だと知っていた、ステファン王が用意したものです。
本作は、ストーリーこそ原作と大きく異なりますが、細かな部分で原作のシーンを再現しています。
【ネタバレ】なぜオーロラ姫は王子のキスで目覚めない?
「『眠れる森の美女』ってどんな話?」と聞かれた多くの方は、「眠らされた姫が王子さまのキスで目を覚ます話」と答えるでしょう。しかし、本作のオーロラはフィリップ王子のキスでは目覚めません。
なんと、マレフィセントのキスで永遠の眠りから目を覚ますのです!
そもそも、出会って間もない王子とオーロラの間に“真実の愛”は生まれるのでしょうか?
“真実の愛”とは、同じ時を過ごすことで少しずつ育まれていくものであって、「“運命の王子さま”なんて都合のいいものは存在しない」と、この作品は示しているのだと思います。
オーロラを思いやるマレフィセントの母性のような愛情こそが、“真実の愛”だったのです。
【ネタバレ】マレフィセントとオーロラ姫は最後どうなる?
原作ではマレフィセントはフィリップ王子に倒されます。オーロラ姫はフィリップ王子のキスで目を覚まし、2人が結ばれることで物語は終わります。
しかし本作の最後は、まったく異なる終わり方となっています。
マレフィセントの“真実の愛のキス”で目を覚ましたオーロラは、マレフィセントと共に妖精の国に帰ることを望みます。しかし、マレフィセントを捕まえて殺すために、ステファンが現れて戦いとなります。
戦いの中でステファンが死んだため、妖精の国と人間の国の争いは終わり、2つの国は1つになります。そしてオーロラが1つになった国の女王となったところで、物語は終わります。
『眠れる森の美女』では、フィリップ王子と戦い死んでしまったマレフィセントでしたが、本作ではオーロラをそばで支えていくことが想像できる最後となっていました。
『マレフィセント』の見どころをネタバレ解説
ここまで『眠れる森の美女』とのストーリーの違いを比較しながら映画『マレフィセント』の魅力をご紹介してきました。
ここからは、映画『マレフィセント』を視聴するうえで、特に注目してほしい点をご紹介します!
実写でも違和感なし!アンジェリーナ・ジョリーが演じるマレフィセント
アンジェリーナ・ジョリーが演じるマレフィセントは、アニメ版のイメージをそのまま再現したようで全く違和感のない見た目となっています。
極端に飛び出した頬骨や、マレフィセントの象徴でもある頭のツノは特殊メイクによって再現されており、そのメイク時間は3時間を超えるとのこと。
そんな“リアルすぎる”見た目以外にも注目してほしいのが、アンジェリーナ・ジョリーの繊細な演技です。
アンジェリーナ・ジョリーは慈善活動を積極的に行っており、これまでに3人の養子を引き取っています。実子を合わせると計6人の母親であるアンジェリーナ・ジョリー。その溢れる母性は、本作のマレフィセント役でも遺憾なく発揮されています。
オーロラが妖精たちと泥遊びをするのを眺めるマレフィセントのまなざしは、オーロラが純粋で優しい少女に成長したことを喜んでいるように感じられます。
また、眠りから目覚めたオーロラを見てこぼれた微かな笑みからは、マレフィセントのオーロラに対する深い愛情が伝わってきます。
このようにアンジェリーナ・ジョリーは微妙な表情の変化だけで感情を表現しています。本作は、繊細で母性溢れるアンジェリーナ・ジョリーの演技を味わうことができる作品となっているのです。
ロバート・ストロンバーグ監督が魅せる映像美!
神秘的で美しい色彩で妖精の国を見事に描いたのは、本作『マレフィセント』が初監督作品となったロバート・ストロンバーグ。
ロバート・ストロンバーグは、映画『アバター』や2010年公開『アリス・イン・ワンダーランド』などでプロダクションデザイナーを務めており、これまでにアカデミー美術賞を2度受賞しています。
妖精の国の幻想的な景色などは、監督自らがデッサンを書いてデザイナーに指示を出すこともあったそうです。
映画の冒頭、マレフィセントが大きな翼で神秘的な妖精の国を飛び回るシーンは迫力満点で、一気に『マレフィセント』の世界に引き込まれること間違いなしですよ!
続編『マレフィセント2』のあらすじを紹介【ネタバレなし】
2019年には、『マレフィセント』の続編『マレフィセント2』が公開されました。
永遠の眠りから目覚めたプリンセス、オーロラ姫とフィリップ王子の結婚は人間と妖精の間に平和をもたらし、世界を幸福に導くはずだった。
しかしその婚礼には、マレフィセントとオーロラ姫の絆を引き裂き、妖精界を滅ぼそうとする恐るべき罠が隠されていた…。
迫り来る危機から愛するオーロラ姫を救うために、マレフィセントが背負った驚くべき運命とは—。
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成長したオーロラはフィリップ王子のプロポーズを受け入れ、2人は結婚しようとしていました。しかし、フィリップ王子の母であるイングリス王妃は妖精を絶滅させようと企んでいました。婚約を祝う晩餐会に招待されたマレフィセントは、イングリス王妃の策略に嵌ってしまい…という内容となっています。
ディズニープラスなら、もちろん『マレフィセント2』も見放題で視聴することができます。まだ鑑賞していない方は、ぜひディズニープラスで『マレフィセント』『マレフィセント2』をまとめて鑑賞してみてください!
『マレフィセント』ネタバレ解説まとめ
今回は映画『マレフィセント』をネタバレありで解説してきました。
『マレフィセント』は、ディズニーの名作アニメ『眠れる森の美女』を原作としながらも、そのストーリーは大きく異なります。誰もが知る名作を、悪役であるマレフィセントの視点で描き直したことによって、まったく違った印象を受ける作品となりました。
今回ご紹介したポイントを踏まえつつ、原作と比較しながら改めて映画を見返してみるのもおすすめですよ!
また、マレフィセントとオーロラのその後が描かれた続編『マレフィセント2』は、ファン必見の作品となっています。ぜひディズニープラスやU-NEXTなどの動画配信サービスを利用して、『マレフィセント』の世界を堪能してみてください!
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