長野県の精神科病棟には、死刑判決となりながらも生き延びてしまった梶木秀丸をはじめ、居場所がなく世間から遠ざけられた人々が入院しています。
閉鎖病棟は、そんな精神科病棟の患者たちの心の交錯を映した作品です。
『ディア・ドクター』以来、約10年ぶりの主演となる笑福亭鶴瓶が、綾野剛や小松奈菜など豪華キャストとともに熱演。
今回は、そんな閉鎖病棟のストーリーをネタバレありで考察・解説していきます。
更新日 : 2025年03月26日

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長野県の精神科病棟には、死刑判決となりながらも生き延びてしまった梶木秀丸をはじめ、居場所がなく世間から遠ざけられた人々が入院しています。
閉鎖病棟は、そんな精神科病棟の患者たちの心の交錯を映した作品です。
『ディア・ドクター』以来、約10年ぶりの主演となる笑福亭鶴瓶が、綾野剛や小松奈菜など豪華キャストとともに熱演。
今回は、そんな閉鎖病棟のストーリーをネタバレありで考察・解説していきます。
まずは、「閉鎖病棟 それぞれの朝」の作品概要からご紹介しましょう。
「閉鎖病棟 それぞれの朝」は2019年に公開されたヒューマンドラマで、数々の作品を手掛けた平山秀幸監督がメガホンを取りました。
精神科病棟に入院する患者の胸の内や、それぞれのストーリーが重なり合い、交錯していきます。
この作品は、元々は精神科医でもあった帚木蓬生の小説『閉鎖病棟』が原作となっています。小説は1994に刊行され、翌年の1995年には山本周五郎賞を受賞しました。
患者の立場となり精神科病棟内部の出来事を優しくも淡々と描いた作品は、多くの読者に感動を与え、ベストセラーとなっています。
「閉鎖病棟 それぞれの朝」は原作小説の映画化となりますが、実は映画化されたのはこの作品が初めてではありません。
2001年に『いのちの海 Closed Ward』というタイトルでも映画化されており、今回ご紹介するのは2度目の映画化となった作品です。
平山秀幸監督は、この作品を映像化するにあたり笑福亭鶴瓶の出演を熱望していました。
監督の熱い想いに応え、笑福亭鶴瓶は短期間で7kgもの減量に成功し撮影に参加。
たくさんのキャストが体当たりで挑んだ作品は、視聴者を引き付ける魅力がたっぷり詰まっています。
作品のあらすじやストーリーを解説するにあたり、まずは主要キャストについてご紹介します。
梶木秀丸は、妻や母親を殺害したことで死刑判決を受けた元死刑囚です。
とある理由で生き延びてしまい、現在は精神病院に入院しています。
梶木秀丸は、落語家やタレントなど多方面で活躍する笑福亭鶴瓶が務めました。
塚本中弥は同じく精神病院に入院する人物で、患者たちからチュウさんと呼ばれています。
彼は元サラリーマンで、幻聴によって暴れてしまうことがあり悩みを抱えていました。
塚本中弥を演じたのは、『クローズZERO II』や『そこのみにて光輝く』などにも出演している綾野剛です。
島崎由紀は、不登校がきっかけで精神病院にやってきた女子高生です。
義理の父親から性的虐待を受けたことで、心を病んでしまいます。
島崎由紀を演じたのは、『渇き。』や『黒崎くんの言いなりになんてならない』に出演した小松奈菜です。
重宗は薬物中毒患者で、同じく精神病院に入院しています。
気性が激しく、他の患者たちからも疎まれていることで、常にイライラしている暴力的な人物です。
重宗は、俳優の渋川清彦が演じています。
丸井昭八は人と話すのが苦手ですが、チュウさんのことを慕っています。
彼を演じたのは、近年若手俳優として注目を集める坂東龍汰です。
ムラカミは、死亡記事をノートに書き記すことが好きで習慣になっている少しばかり怪しい人物です。
奈良県出身の綾田俊樹が演じています。
キモ姉は感情の起伏が激しく、何かとすぐ悪態をついてしまう女性です。俳優の平岩紙がキモ姉を熱演しています。
キモ姉とは打って変わって、すぐに泣いてしまうほど涙もろい人物がダビンチです。
自分の髪の毛を抜いてしまう癖があります。森下能幸が演じました。
医師の資格を持っているハカセは、草花から薬を調合する腕前があります。
ハカセを演じたのは、俳優の水澤紳吾です。
チュウさんは、秀丸や由紀と共に六王子病院に入院しています。
任意入院のため自身の意思で入院していますが、一見すると他の人と変わらないような元気な姿をしているように感じられるでしょう。
しかし、時折発作が起きると、幻聴によって暴れまわってしまうチュウさん。
作中でも何度か発作が起き、駆け付けた看護師に鎮静剤を打たれる場面があります。
チュウさんは病気からくる幻聴によって発作が起き、父親に手をかけてしまった過去があるのです。
実際に精神分裂病と診断されていて、30年以上にわたり入院生活を送っていることがわかっています。
精神分裂病は、現在統合失調症と呼ばれている病気。
脳神経のネットワークがうまく働かなくなることで様々な情報・刺激を統合しにくくなり、幻聴や興奮して叫んだり暴れたりするなどの症状が出るのが特徴です。
原因は不明で、ストレスや遺伝、環境因子といった様々な要因が重なることで発症するのではないかと考えられています。
罹患率は100人1人と言われ、早期の治療が重要です。
作中、チュウさんは発作を抑えようと苦しみながらも平静を取り戻そうとするシーンがあります。
これは、治療を続けてきたことによって症状が軽くなり、コントロールできるようになってきているからと考えられるでしょう。
映画で登場したのは長野県の六王子病院でしたが、ここは精神病院で患者や面会者が自由に出入りできない構造になっていました。
こうした状況は、映画のタイトルにもなっている『閉鎖』をイメージさせるものかもしれません。
しかし、自由に病院を出入りできるチュウさんの存在をはじめ、外出制限をかけているシーンはほとんどありません。
症状が激しい患者や危険が及ぶ恐れがある場合は、保護室に入れられることになりますが、それもチュウさんは“お仕置き”とみなしています。
『閉鎖』をイメージするような、厳重な空間や鍵付きの部屋、拘束衣などは登場していないのです。
ただし、病院の中には医師・看護師・患者しかいません。
特に六王子病院は精神病院であるため、精神病を患っている患者、そして精神病患者を知る人しかいないことになります。
それは毎日知っている相手、何度も繰り返すルーティーンをこなしていくある種の『閉鎖性』と受け取ることもできるのです。
閉鎖病棟で描いている閉鎖は、“狭い毎日”のことを言っているのかもしれません。
そもそも「閉鎖病棟 それぞれの朝」は、実話なのでしょうか?また、原作との違いについても見ていきましょう。
冒頭でもご紹介したように「閉鎖病棟 それぞれの朝」は、帚木蓬生の書き下ろし小説『閉鎖病棟』が原作となっており、ミステリーとは大きく異なる群像ドラマです。
今回は、平山秀幸監督が帚木蓬生の『閉鎖病棟』に感動したことで自らメガホンを取った作品。
そのため実話ではなく、完全なるオリジナルフィクションとなっています。
原作と異なる点としては、時代設定の違いが挙げられます。
原作が描かれたのは20年以上も前のことであり、舞台もその時代をフォーカスしています。
しかし、映画版の閉鎖病棟は精神科治療を取り巻く環境や変化を現代に近づけるべく、2006~2008年に変更しているのです。
現代は、スマホ・パソコンなどが普及したことで利便性が向上した一方、心の病にかかる人が増えていると言われています。
そんな時代だからこそ、平山秀幸監督は秀丸が見せた自己犠牲を映画で描きたいと考えたのです。
また、映画での主人公は秀丸となっていますが、原作ではチュウさんが主人公になっています。
原作の『閉鎖病棟』は、第8回山本周五郎賞を受賞したベストセラー作品です。
累計販売は90万部を超えるほどの人気作品ですが、著者である帚木蓬生は法廷のシーンを執筆しながら泣いたことがわかっています。
自身も精神科医としての経験を持つからこそ、心の中に秘めた想いをこの作品に詰め込んだと考えられるでしょう。
六王子病院は長野県の山中にある病院と紹介しましたが、閉鎖病棟のモデルとなったのはどこなのでしょうか?
六王子病院のモデルとなったのは、長野県小諸市にある小諸高原病院です。
この病院は独立行政法人国立病院機構が運営する病院で、国立の精神科病棟を映画撮影したのは初めてだと言われています。
また、冒頭で登場する刑務所は、長野県松本市にある旧松本少年刑務所独居舎房となっています。現在は、史跡として公開されている場所です。
今回は、映画「閉鎖病棟 それぞれの朝」のあらすじ・ストーリーをネタバレありで解説してきました。
閉鎖病棟は、精神病院に入院する患者たちの様々な想いや過去が交錯しながらも、1つの物語につながっていく魅力的な作品に仕上がっています。
そんな「閉鎖病棟 それぞれの朝」は、動画配信サイトU-NEXTでも配信されています。この記事を読んで興味を持った方は、ぜひチェックしてみてください。