【ネタバレなし】映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』あらすじを紹介
『アベンジャーズ』など様々なヒーローが世界観を共有するアメコミヒーローシリーズ、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)。
『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』は、『ブラックパンサー』の続編かつMCU30本目の映画作品として公開されました。
しかし、前作主人公であるティ・チャラを演じたチャドウィック・ボーズマンが2020年8月に大腸がんで死去。
多くのファンを悲しませた訃報を受け、今作は彼へのリスペクトを込めて代役を立てずに製作されました。
『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の作品概要
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監督
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ライアン・クーグラー
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脚本
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ライアン・クーグラー
ジョー・ロバート・コール
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製作
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ケヴィン・ファイギ
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出演
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レティーシャ・ライト
アンジェラ・バセット
ルピタ・ニョンゴ
ダナイ・グリラ
ウィンストン・デューク
ドミニク・ソーン
テノッチ・ウエルタ
マーティン・フリーマン
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音楽
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ルドウィグ・ゴランソン
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上映時間
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161分
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前作スタッフやキャストが、亡きチャドウィック・ボーズマンに捧げた『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』。
どんな物語が描かれたのか、振り返っていきましょう!
【ネタバレなし】『ブラックパンサー/ワカンダ・フェーエバー』のあらすじ
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ティ・チャラ王が死んだ。
慈悲深い若き王の死を受け、深い悲しみを受けるワカンダの人々。
ティ・チャラに代わり母であるラモンダ女王が国を取り仕切るが、ブラックパンサーという象徴的な存在を失ったワカンダは、他国から脅威を失ったと見なされヴィブラニウムを供給するよう迫られていた。
ティ・チャラの死から1年が経過したその日、ラモンダ女王と娘のシュリは、海面から浮上した足首に羽を持つ男に遭遇する。
強固なセキュリティを誇るワカンダの国境を越えてきたその男は、”ネイモア”と名乗りヴィブラニウムを身に着けていた。
海底都市タロカンの王であるネイモアは、米国が開発した探知機によって、自身の保有するヴィブラニウム採掘場が明かされたと語る。
探知機の製作者を引き渡す彼の要求を受け、シュリと国王親衛隊(ドーラミラージュ)隊長のオコエは米国へ。
しかし、探知機製作者のリリ・ウィリアムズは、まだ19歳の学生だった。
若き才能を摘むことはできないシュリは、彼女をワカンダで保護することを決めるが、道中でタロカンたちの襲撃に遭い、シュリとリリはタロカンへと誘拐されてしまう。
ネイモアは拉致したシュリを美しい海底都市タロカンへと案内する。
ここで暮らす民たちを守るという王の使命を理解するシュリであったが、リリを引き渡す条件を飲むことはできなかった。
そんな折、ティ・チャラの恋人であったナキアがシュリたちの居場所の特定に成功。
彼女の救出によって脱出したシュリとリリであったが、その際にタロカンの民を傷つけてしまう。
ネイモアは激しい怒りを燃やし、ワカンダへと侵攻を始めた…。
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ワカンダのみが保有していた万能金属、ヴィブラニウム。
今作では、今まで明かされていなかったもう一つのヴィブラニウムを持つタロカンが登場し、立場や考えから対立していく展開が描かれていきます。
【ネタバレあり】亡きチャドウィック・ボーズマンに捧ぐ!タロカンとの戦いと物語の結末
ブラックパンサーのいないワカンダにタロカンの王ネイモアの魔の手が迫る今作、ワカンダフォーエバー。
この先は物語の終盤から結末までを振り返ります。
まだ鑑賞していない方は、ご注意ください!
※以下ネタバレ注意!※以下ネタバレ注意!※以下ネタバレ注意!※以下ネタバレ注意!※
【ネタバレあり】『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の結末
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水中戦を得意とするタロカンは、ワカンダを浸水させ甚大な被害を生み出す。
ワカンダ民は戦闘機で応戦するも、羽を使い高速移動するネイモアは、圧倒的な力でこれを鎮圧。
打つ手を失くしたワカンダに止めを刺すため、ネイモアは王座にいたラモンダ女王を殺害してしまう。
失意の底に落ちるシュリ。
彼女は、脱出以前ネイモアに友好の印として授かっていた装飾品や生前ティ・チャラのDNA情報を解析し、ブラックパンサーの力を宿すハート形のハーブを人工的に生み出すことに成功する。
ハーブを飲み力を授かろうとするが、効力で誘われる”祖先の平原”でシュリを待ち構えていたのは前作ヴィラン・キルモンガーであった。
ティ・チャラやラモンダ、家族を失ったシュリの心の奥底には、この世界そのものを憎む強い感情があり、復讐を果たせとキルモンガーに囁かれる。
負の感情を以て新たにブラックパンサーの力を授かったシュリは、ジャバリ族のエムバク、ナキアやオコエたちワカンダ民を従え、戦艦でタロカンのいる大西洋へ。
ワカンダとタロカンの一歩も譲らぬ民同士の戦いが勃発していく。
ワカンダと自身の技術を集結させた新スーツアイアンハートを纏うリリの助力もあり、ネイモアを弱体化させたシュリは、仇である彼との一騎打ちに。
激しい攻防の末ネイモアに止めを刺そうとするシュリだったが、祖先の平原にいる母ラモンダの諭しが聞こえ、彼女の復讐心を解きほぐす。
互いに多くの犠牲を負ったワカンダとタロカンの戦いは、終局へと向かうのであった。
戦が収束したワカンダでは、新たなブラックパンサーとなったシュリを王へと継承する儀式が行われる。
しかし、その場に到着したのはジャバリ族のエムバク。
シュリに頼まれたエムバクが新たな王座への挑戦を宣言する。
一方、シュリはナキアの住むハイチに向かい、兄を弔う儀式を行っていた。
脳裏にこれまでの兄の姿が浮かぶシュリは、風に吹かれ静かに涙を流す。
そこに現れたナキアは、ティ・チャラとの間に生まれた息子を連れていた。
息子の名は、ティ・チャラ。
そのことを聞いたシュリは目を閉じ、噛みしめるように微笑む。
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【解説】作品の意図を読み解く5ポイント
ここからは、作品の描写を踏まえて意味や意図を考えていきます。
勧善懲悪ではない立場や考え方の違いから生まれた戦いの中には、様々な読み解けるポイントが隠されているハズ。
一緒に見ていきましょう!
他国からヴィブラニウムの供給を迫られるワカンダ国
今作冒頭でラモンダ女王が議会に出席した際、ワカンダが他国からヴィブラニウムを狙われていることが描かれています。
莫大なエネルギーを秘めたヴィブラニウムを保有するワカンダ。
前作『ブラックパンサー』では、ティ・チャラがより良い世界を作るために全世界にその存在を公表しました。
しかし、悪用されないために目を光らせていた気高き王が世を去った今作では、それをワカンダの弱体化とみなし、隙を伺った先進国たちのヴィブラニウム争いへと発展。
この競争をリードしようとした米国が、探知機を開発しタロカンが保有するヴィブラニウムを見つけてしまったことをきっかけに、ワカンダとタロカンの戦いへと繋がってしまいます。
現実社会にも置き換えられるこの資源争奪戦は、近年アフリカの地域で多く起こっている現象です。
電子機器に必要なレアメタル、生活になくてはならない石油など豊富な資源を持つアフリカでは、世界中の企業から注目が集まりリード獲得の動きがあるだけでなく、地域によっては資源を巡り内戦や紛争に発展してしまったこともあります。
作中で医療や武器など様々な用途に加工でき、ワカンダのハイテクノロジーを支えるヴィブラニウムは正に万能資源。
現実にも起こりうる、資源争いを表象した描写と言えるのではないでしょうか。
ネイモアたちタロカンが生まれた背景
タロカンの民のルーツは、1570年代のメソアメリカ文明にあると作中で語られました。
ユカタン半島の原住民であった人々は、海外から来た人々の病や言葉、異教徒に追いやられます。
これは史実と同様で、メソアメリカはスペインの侵攻を受けて文化を蹂躙され、カトリック信仰やスペイン語の普及によって、この地ではヨーロッパの文化が繁栄していきました。
水中でヴィブラニウムの影響を受けた草を見つけて摂取した原住民は、青い肌をもつタロカンとなり、地上での生活を終えています。
万能資源であるヴィブラニウムが、ワカンダで利用されているハイテクノロジーとは別の適応を遂げ、人々に海の活路を見出しているのが面白い点です。
しかし、これは自身の地を失った原住民たちが身投げをしたメタファーではないでしょうか。
タロカンは米国の戦艦を襲った際、催眠音波を用いて職員たちを海に誘い込んでいます。
このシーンでは、ひっそりとタロカンの軍勢が海面から浮かび上がるホラー映画さながらの演出が目を引きました。
また、オコエがシュリとリリを守るためにタロカンと対峙した際、止めを刺したと思っていたタロカンがぬるっと起き上がる描写も、恐怖を感じさせるシーンです。
以上のことから、タロカンの民は侵攻によって蹂躙されたメソアメリカの原住民たちの怨念が亡霊となって顕現したという側面も持ち合わせているように感じます。
自らのルーツである大地を失ったタロカンは、歴史の中で端に追いやられてしまった人々たちの代弁者なのかもしれません。
シュリの前に現れた前作ヴィラン・キルモンガー
新たなブラックパンサーとなったシュリ。
しかし、力が与えられる試練で祖先の平原を信じていなかったシュリがその儀で出会ったのは、ティ・チャラでもラモンダでもなく、キルモンガーでした。
前作でティ・チャラから王座を奪い、世界にワカンダの力を思い知らせる悪政を掲げていたヴィランのキルモンガー。
しかし、愛する父をワカンダに殺され、外で苦しむ同胞たちを救うという復讐からくる大儀を持ち合わせる人物でもありました。
今作においてティ・チャラを失い、タロカンに母を奪われ、タロカンの世界侵攻が始まろうとしている状況下にいたシュリは、まさにキルモンガーとリンクした心境を持っていると言っていいでしょう。
平和的解決ではなく力の行使を求めたシュリの元に、彼が現れるのは必然。
若く成熟した思考ではないシュリが復讐を求める展開は、改心した彼女がネイモアに伝える「私たちの復讐に民を巻き込んではいけない」というセリフに綺麗ごとだけではない、痛みを伴う説得を感じさせる描写ではないでしょうか。
ワカンダとタロカンの対比構造
ヴィブラニウムを用いて、独自の技術や文化を形成してきたワカンダとタロカン。
しかし、今作ではそんなヴィブラニウムに影響を受けた2文明がぶつかり合うこととなります。
ワカンダとタロカンには、ヴィブラニウム以外にもそれぞれの国を愛する王や王を慕う民といった多くの共通項がありますが、決定的に違う点が2つあります。
それは、
・大地の有無
・王の継承の有無
にあります。
ワカンダはアフリカの地で獲得したヴィブラニウムが悪用されないように、隔絶した生活を送り自身のルーツである大地に根付き、守り通してきました。
一方、タロカンは水に適応したヴィブラニウムを得たことで、海底という新天地を見出しますが、この流れの中には海外からの侵攻によって自分たちの大地が奪われ、余儀なくされた経緯があります。
また、ワカンダが代々王の継承をしていくのに対して、タロカンはネイモアが長い年月を生き、誕生以来、彼が唯一の王として崇められているという違いもあります。
ネイモアをマヤ文明の神である”ククルカン”と呼んでいる点も印象深く、最早ネイモアはタロカンの民にとって、神に近い存在ではないでしょうか。
以上のことを踏まえると、代々守り抜いた王家であるワカンダと奪われた唯一の存在であるネイモアのいるタロカンでは大きく考えの違いが生まれる構造となっています。
ブラックパンサーの力を継承するワカンダでは、過ちを犯しつつも良くしていくという流れが生まれ、世界を導き”守る”という考えが根付いてきていますが、大地を追いやられた消えない過去を持つネイモアは反対にその他の世界に疑問を持っていました。
被害者が加害者になるように、ネイモアたちタロカンは奪われた過去があるから”奪う”という悲しい性を持ってしまっているように思います。
ワカンダの世界を”守る”と、タロカンの世界を”奪う”、相反する考えは、彼らが鼓舞する「ワカンダ・フォーエバー」や「立て タロカン」のポーズにも現れている描写になっていると感じました。
ラストシーンの追悼とMCU史上異例のポストクレジット
科学者であるシュリはワカンダの中でも伝統や儀式に対して懐疑的であり、ティ・チャラを失った際には、儀式をしても意味がない、私の技術で助けられたと激しく自責の念を浮かべるだけでした。
葬儀中のシュリの表情が、このことを物語っています。
しかし、物語終盤で祖先の平原にいるラモンダの存在を感じることができたシュリは、ナキアの住むハイチで、弔いの儀式を行いました。
生前ラモンダは、シュリにティ・チャラの死について以下のように言及します。
私はそよ風の中にあの子を見つけた
私を優しくしっかり揺らしてた 肩に手を置いてね
時間はかかったけど あの子はいたわ
引用:ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー
タロカンとの戦いを経て精神的に成長したシュリは、今は亡き母の言葉に耳を傾け、涙します。
風が吹きティ・チャラの過去の映像が流れますが、おそらくシュリは吹かれている風の中に母であるラモンダも感じているのでしょう。
また、その後のポストクレジットシーンでは、ナキアが自身とティ・チャラの間に生まれた息子を連れて現れます。
幼い子どもの彼がティ・チャラと名乗ったときのシュリの驚きの表情は、亡くなっても尚、兄の意思が受け継がれ生きている、母の言うように本当に現れたという印象深いシーンでした。
今作でシュリを演じたレティーシャ・ライトはインタビューで、撮影中にティ・チャラ役の故チャドウィック・ボーズマンの存在を感じたと答えています。
彼の意思を受け継ぐシュリを演じるという難題に葛藤した彼女を、天国で見守ってくれていたのかもしれません。
撮影の裏側でレティーシャが感じていた想いが伝わる素晴らしい演技となっていました。
その他の作品につながることの多いMCUのクレジット後のシーン。
今回のクレジットシーンは、ティ・チャラとチャドウィック・ボーズマンに捧げる今作を完結させるためだけに用意された異例かつ、饒舌に尽くしがたい描写だと言えるでしょう。
ライアン・クーグラー監督の過去作から本作における「死」と「継承」を考える
前作『ブラックパンサー』と今作でメガホンをとったライアン・クーグラー監督は、人の死や受け継がれるものに注力をおいた作品を過去に手がけています。
監督の初長編映画作品『フルートベール駅で』は、2009年の元旦にカリフォルニアで実際に起きた警官による市民射殺事件を描いた作品。
この作品では、『ブラックパンサー』にてキルモンガーを演じたマイケル・B・ジョーダンが射殺されたオスカー・グラント三世を演じており、凄惨な事件となってしまった悲しみや痛みを感じることのできる映画となっています。
また、次に手がけたのは言わずと知れたボクシング映画『ロッキー』の正統派続編『クリード チャンプを継ぐ男』。
ロッキーの永遠のライバルであるアポロの息子アドニスが、ロッキーの元で修行を重ねボクサーになる展開が描かれていきます。
血や意思といったものの継承がテーマとして描かれ、往年のロッキーファンからも評価の高い人気作です。
以上の作品からライアン・クーグラーは、「死」や「継承」から何が生まれていくのかをテーマにする特徴がある監督となっています。
『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』にて、実際に主演俳優であったチャドウィック・ボーズマンを失った彼が、どのように今作を捉え物語ったか。
監督の過去作を見ることで、より解像度の上がった見方ができると思うので上記2作品の視聴もオススメです。
【伏線考察】『ブラックパンサー/ワカンダフォーエバー』で描かれた今後のMCU注目ポイント
『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』では、今後のMCU作品につながりそうな、気になる設定や描写が登場しました。
それぞれ注目して、見ていきましょう!
※以下、その他公開・配信済みのMCU作品のネタバレを含んでいます。未見の方はご注意ください。
アイアンハートことリリ・ウィリアムズの所在
今作でMCUに初登場したリリ・ウィリアムズ。
物語終盤では、ワカンダと自身のテクノロジーを集結させたアイアンハートとなり、ワカンダの危機に立ち向かっていきました。
決戦後のエピローグでは、リリが米国に戻ることやスーツをワカンダに置いていくことが描かれていきましたが、MCUでは今後ドラマ作品『アイアンハート』がディズニープラスで配信することが決定しています。
(※『アイアンハート』は2023年秋配信予定でしたが、大規模ストライキの影響を受け現在無期限延期中)
その名の通り、原作では2代目アイアンマンとして活躍しているアイアンハート。
MCUにおいて始まりを意味する超重要なキャラクターの後継ということもあり、今後彼女がどのようなポジションに位置づけられていくのか、非常に気になる点です。
『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』では、継父との関係が彼女のルーツとなっていることを示唆していました。
また、天才的な頭脳を持つリリが通っているMIT大学は、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』にてトニー・スタークが若き才能を支援するための支援基金制度を発表した場であり、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』では今後ピーターと同級生のMJやネッド、フラッシュが通う大学でもあります。
リリのルーツやMITに集まりつつある若き才能、以上の2点が今後描かれていくことに期待しましょう!
ネイモアがミュータントであることの真意
今作のヴィランにして、タロカンの王であるネイモア。
彼は通常のタロカン民の特徴である水中での活動が可能な他、足首に羽を持ち飛行が可能なことや、青色の肌にならないという特別な存在として描かれていました。
その理由は、ネイモアの母親が彼を妊娠中にヴィブラニウムの影響を受けた草を飲みタロカンの能力を授かり海中でネイモアを生んだことが起因していると語られます。
この時にネイモアは自身のことをミュータント(突然変異)と言っていました。
マーベルにおいてミュータントと言えば、X-MENを彷彿とさせる重要なキーワード。
生まれながらにして特殊な能力を持つ人々たちを呼ぶこの総称は、一般的な人間とは違うことで悩み、虐げられてきた過去を持っているということも意味しています。
ドラマ作品『ミズ・マーベル』では映画に先駆けて、カマラ・カーンがミュータントである示唆がありましたが、MCUの映画作品においてミュータントの言及がされたのは今作が初。
ネイモアとカマラは全く異なる出自を持ちますが、それぞれの能力は、しっかりと理由付けがされており、今後登場するであろう人気X-MENキャラクターが能力を得た経緯が描かれることに期待が高まります。
徐々にミュータントが、存在感を増してきたMCUの舞台。
X-MENのスピンオフ作品として人気を誇り、MCUの世界に合流するデッドプールの公開も控えており、今後どのような形で本格的にMCU版X-MENが始動するかに注目していきましょう!
暗躍するヴァルの目的
フェーズ4から登場している謎多き女性ヴァレンティーナ・フォンテーヌ、通称ヴァル。
これまでエレーナやジョン・ウォーカーなどの超人的存在たちに歩み寄り、その都度裏で何かを画策している人物です。
今作では、CIA長官の座についており、ワカンダに恩義のあるCIA捜査官エヴェレット・ロスと婚姻していたことが明らかになりました。
米国が大西洋でヴィブラニウムを発見したのは、海軍とCIAの合同作戦によるものであったと今作作中で語られています。
ということは、CIA長官であるヴァルの命令である可能性が非常に高く、ワカンダとタロカン対立の裏で糸を引いていたのは彼女なのかもしれません。
ロス捜査官との対話シーンでは、アメリカがヴィブラニウムを手に入れることを夢に見ていると意味深なセリフを残しています。
そんな彼女は、今後公開予定のMCU映画『サンダーボルツ』にて再登場することが決定済み。
これまでヒーローたちを苦しめた強敵たちが一同に集結する、ヴィラン版アベンジャーズチームを取り仕切ることが予想されます。
未だ情報の少ない『サンダーボルツ』ですが、今作のヴァルの描写を踏まえると、ヴィランチームが狙うのはヴィブラニウム…?
続報を待ちましょう!
シュリと新たに王の座についたエムバク
伝統と歴史を重んじるワカンダでは、これまで国王がブラックパンサーとなり政治力と武力の2つを行使することが描かれてきました。
しかし、今作でブラックパンサーとしての力を授かったシュリは、女王としての儀式に参加せず、代わりにエムバクが王座につくことが示唆されて幕を引いています。
エムバクは王家と距離を置き、山奥で生活するジャバリ族のリーダーで、気性が荒く前作『ブラックパンサー』ではティ・チャラと対立していた部分も印象に残る人物。
そんな彼が王座につくのは意外でしたが、よくよく考えると彼は王家の独裁に最も注力していた人物だったのかもしれません。
というのも、今作でティ・チャラやラモンダを失ったシュリに対して、エムバクは聡明な諭しや寄り添う心を持っている描写が多く描かれています。
前作のイメージと少し異なる印象を受けますが、これが本来のエムバクなのではないでしょうか。
今作で博識さも感じさせるエムバクは、これまで王家の独裁に否を唱える役割を買って出ていたように感じます。
そんな彼が統治することとなった、ワカンダ。
そして新たなブラックパンサーとなったシュリ。
政治力と武力が分極化され異例の体制となった、ワカンダの今後とエムバクのさらなる活躍に期待がかかります。
ティ・チャラの息子トゥーサンの今後
亡き父であるティ・チャラとハイチの英雄であるトゥーサン、2つの名前を冠するナキアの息子。
ティ・チャラの息子は、原作コミックではアザリという名のミュータントとして登場しているので、トゥーサンというキャラクターは今作で初登場のオリジナルキャラクターとなっています。
今作でネイモアがミュータントについて言及したこともあり、このタイミングでの登場は何やら意味深…。
ヴィブラニウムで超人的な力を持つティ・チャラの息子であることを考えると、突然変異で何らかの能力を持っていてもおかしくありません。
原作の息子アザリは母がX-MENのストームであるため、雷を操ることができるキャラとなっていました。
活躍するとなれば、まだまだ先の話となりますが若きヒーローたちの芽が生まれて生きている現在のMCUにおいて、トゥーサンの今後は非常に注目したいポイントです。
映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』のネタバレ解説まとめ
マーベル映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』について解説してきました。
最後に記事をまとめていきます。
『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』ネタバレ解説まとめ
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・『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』は『ブラックパンサー』の続編作品
・前作で主人公ティ・チャラを演じたチャドウィック・ボーズマンが死去したことにより、前作主人公が同様に亡くなるという異例のマーベル映画となった
・ティ・チャラの母であるラモンダや妹シュリに焦点が当たり、海底に住む未知の種族、タロカンとの攻防が描かれていく
・全編に渡り、チャドウィック・ボーズマンへの敬意を込めたレクイエム的作品
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前作の主人公が亡くなるという異例の展開が描かれた今作。
描かれた物語に注力したり、制作背景に着目したりすることで、より強いメッセージ性が感じられる作品となっています。
亡きチャドウィック・ボーズマンに敬意を表す『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』、その意味を何度でも噛みしめてみてください!
ワカンダ・フォーエバー!
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