Web小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿され大人気の『薬屋のひとりごと』。
ノベライズ、コミカライズ×2に、2023年10月には待望のアニメ化。
なろう系アニメの中でも珍しい、非転生の知識無双主人公。
『薬屋のひとりごと』は、薬屋の娘・猫猫(マオマオ)が、無理矢理連れてこられた後宮で、薬学の知識を用いて様々な問題を解決したり、巻き込まれたり、ラブコメの波動を向けられたりする、中華ファンタジー。
しかし、中国史に馴染みがないと後宮事情はいまいち分かりにくい…。
この記事では、そんな主人公・猫猫を取り巻く人間関係や、後宮での序列、出生秘話など、猫猫について解説していきます。
「薬屋のひとりごと」あらすじ
▼あらすじ
【宮中に名探偵誕生!?】中世の宮中で下働きをする少女・猫猫(マオマオ)。花街で薬師をやっていた彼女が、帝の御子たちが皆短命であるという噂を聞いてしまったところから、物語は動き始める。持ち前の好奇心と知識欲に突き動かされ、興味本位でその原因を調べ始める猫猫の運命は――…!?
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薬師の娘・猫猫(マオマオ)
小柄で痩せぎす(胸もない)、無口無愛想、腕には他傷と思われる無数の傷跡がある、自称醜女。きっと大変な過去をお持ちなのだろうと思わせる少女だが、その実態は…。
色恋よりも薬物が好き
興味本位(知的好奇心)で自分に毒を盛るほどの薬物オタク。
腕に残っている傷跡も、薬や毒の効能を確かめる実験でついた自傷行為から出来たのもの。
コレのせいで地元では、養父である「おやじどの」が虐待を疑われ誹謗中傷を受けていた。シンプルにかわいそう。
マッド染みているが、薬物関連の事件を解決するだけの良心は持ち合わせている…か?
気になったら調べたい
美男子を見るより薬物を見て大興奮の薬物オタク猫猫。
事件を調べるのは、単純な探究心から。
美男子から問題解決を依頼されて快くうなずくのも、大好きな薬物の調合が出来るから。
宦官の壬氏にいいように使われていることを理解つつも、薬物への魅力が勝って「唆るぜ、これは!」とばかりに結局思惑通りに動いてしまう。そこに正義感とか、良心とかは…たぶん、あんまり…。ないわけじゃないけど、無理してまで手は出さないかなぁという感じ。ムリのない範囲なら助けてしまうお人好しではあるけど。
なお、花街で揉まれて生きてきたので、本来の口調は結構乱暴。
後宮編|猫猫を取り巻く環境と序列を解説
小説でもサラッと流される後宮事情。たぶんアニメで見たらもっと分かりにくい。
そんな猫猫が巻き込まれた後宮の状況を、もう少しわかりやすくなるよう、作中に登場する必要最低限の「後宮事情」を、元となったと思われる「隋唐王朝」の資料を参考に解説。
そもそも「後宮」って?
後宮は一言で言えば「妃たちの住まう超広い宮(皇帝専用ソープランド)」です。
後宮のトップが皇后(正室)なのは言うまでもないですが、規模がデカいので側室の中にも序列や位などいろいろとありました。
また、作中のように女性を誘拐して後宮に連れてくるということも、実際にあったようですね。
後宮の品階(位階)表
隋唐王朝の資料を参考に書いています。
品階
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役職
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備考
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后妃
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正室
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正室の定員は一人
全ての側室を束ねるトップ
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正一品
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四妃(貴妃・淑妃・徳妃・賢妃)
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側室四天王
例:楊貴妃
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正二品
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九嬪
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四妃に次ぐ側室9人
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正三品
正四品
正五品
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二十七世婦
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27人いる側室
それぞれの品階に3人ずつ
例:虞美人
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正六品
正七品
正八品
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八十一御妻
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81人いる側室
それぞれの品階に27人ずつ
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・
・
・
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侍女
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部屋持ちの側室の世話係
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下女
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女の雑用係、一番下っ端
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番外
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宦官
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去勢した男の雑用係、または後宮の取り纏め役
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●序盤の大躍進
猫猫が物語序盤で玉葉妃の侍女となり「金字塔ピラミッドの底辺にいた官位は真ん中くらいまで上がっている。」といっていたのは、この玉葉妃が四妃の一人・貴妃だったからですね。
四妃の世話係となれば、侍女の中でもエリートです。
四妃(四夫人)の序列
皇后が最高位であるこというまでもないが、その下に、貴妃・淑妃・徳妃・賢妃それぞれ一人(以上を夫人と称し、正一品に叙せられる)
引用:楊貴妃とは【ようきひ】2008年10月12日(日)更新-意味・解説:考古用語辞典 Archeology-Words
先述した通り、後宮には「四妃(作中では上級妃または四夫人と表記)」と呼ばれる、数ある側室の中でも上位の存在がいます。
そしてその4人には、彼女たちの才能を表す「貴」「淑」「徳」「賢」の位がそれぞれ与えられます。
後宮の妃の序列は「どれだけ皇帝に愛されているか」=皇帝が部屋に訪れる回数(意味深)で決まります。
そのため、この中では「一番美しい女性」とされる貴妃が序列一位だったのではないでしょうか。
かの有名な「楊貴妃」もこの四妃の一人、「貴」の位を与えられた貴妃でした。
【参考資料】
『後宮(こうきゅう)』の意味と定義(全文) – 辞書辞典無料検索JLogos
加藤徹 KATO Toru’s Webpage
役職で見る登場人物
ある程度後宮の役職の上下関係がわかったところで、後宮編に登場するキャラクターを紹介していきましょう。
●賢妃:梨花妃(リファヒ)
男児(東宮)を産み、後宮ヒエラルキーのトップになれたものの、猫猫の忠告(を受けた玉葉妃の忠告)に耳を貸さず、自分の使っていたファンデーションで息子を死なせてしまう。そのせいで一時期皇帝の足が遠のき、さらにファンデーションの毒で美しかった容姿がみるみる萎びていった。
東宮を死なせ、美しさも衰えた自分に自信を失っていたところ、猫猫から遊女が使う技を教わり、帝からの寵愛を再び受けるようになる。(帝、梨花妃のパイズリお気に召す)
●貴妃:玉葉妃(ギョクヨウヒ)
最も皇帝の寵愛を受け、美人の称号「貴妃」の位を与えられた四妃の一人。
赤子不審死事件では、猫猫の忠告をしっかりと聞き、娘(公主)の命を守った聡明な人物。
のちに猫猫への恩返しとして自身の侍女の立場を与える。…残念ながら猫猫にとってはありがた(くもない)迷惑(行為)だった。
猫猫に「あなたは私の侍女だからね」と言い聞かせるも、薬師として有能な猫猫がモテモテでちょっとジェラシー。「私の侍女なのに…。」
●徳妃:里樹妃(リーシュヒ)
14歳、最年少の幸薄ツルペタ妃。
ペド野郎こと先帝に9歳のときに嫁がされるわ、即未亡人となって尼寺に行けばエロジジイと結婚させられそうになるわ…。そんな彼女の現状を憂いた現帝に助けられ後宮に戻るも、今度は幼さと「夫の息子に嫁ぐ尻軽」といわれなき誹謗で侍女から舐められ、陰湿なイジメを受ける。あまりにも不憫。
●淑妃:阿多妃(アードゥオヒ)→楼蘭妃(ロウランヒ)
中性的な顔立ちの男装の麗人。
四妃の中でも最年長の35歳。多くの侍女や下女、そして里樹妃から慕われる人物。
現帝の最初の妃であり、10年以上連れ添った特別な存在。しかし、不幸な事故で子を産めない体となり、しばらく四妃の位にいたが、のちにその座を楼蘭妃へと明け渡す。
●宦官:壬氏(ジンシ)、他多数
女の園である後宮に滞在し、彼女たちを取りまとめるため、去勢された男たち。後宮にいる女性は全て皇帝のための女なので、間違いが起こらないよう、こうなった。
なお、宦官は現代の「パイプカット」とは違い、ガチでジョイスティックが切り落とされていた。
壬氏は宦官の中でも美男子だと後宮の女の間で噂されており、色恋に興味のない猫猫のところにまでそれが届いていたとくれば、その美形レベルが伺えるというもの。女性からだけでなく、男性からもよくおモテになる美形男子。
頭の回転もよく、「2年バイトして帰ろう」と端女に順じていた猫猫の能力を最初に発見した人物。彼に見つかったのが猫猫の運の尽き。松茸は土瓶蒸しが好き。
●侍女:紅娘(ホンニャン)、他多数
紅娘は貴妃・玉葉妃(ギョクヨウヒ)の侍女たちをまとめる侍女リーダー。猫猫の現状の直属の上司に当たる。
部下の話に耳を傾け、融通をきかせるなど、柔軟な対応ができる良き上司。
「自分を誘拐したクソに自分の給料を数%でも渡したくない」という猫猫の、目上から見れば生意気とも取られそうな主張にも、しれっと抜け道を作ってあげた、アメの名手。
宮廷編|猫猫の出生の秘密?両親・血縁について解説
※こちらは宮廷編のネタバレを含みます。
(◞≼◉≽◟ ;益;◞≼◉≽◟)
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実父を見た猫猫
後宮での活躍を経て、後宮を解雇され宮廷女官へと出世(?)した猫猫。そこで出会った、軍部の高官・羅漢が、彼女の実の父親だった。
敵か味方か、猫猫の母親を無理矢理孕ませたかのような発言をするこの男の本心とは?
猫猫の父は軍部の高官、母は妓女
●父親:羅漢(ラカン)
すぐ裏切りそうなキツネ顔の軍師。位は大尉。
家のランクが地位決定に多大に影響する宮廷にて、その実力のみで大尉にのし上がった実力者。
自分の力のみでのし上がり実力は認められているものの、どの派閥にも属していないため、制御が効かない厄介な人物と見られている。
裏切りそうな見た目だが、彼の性格は一途。家のゴタゴタのせいで「半年後に迎えに来る」という鳳仙との約束を反故にしてしまうも、紆余曲折ありちゃんと迎えに来た。
猫猫を引き取るために10年賠償金を支払い続け、支払いが終わりようやく愛娘を引き取れると思えば、壬氏に取られてしまったため、彼を敵視している。
そんなふうに想い人の忘れ形見を引き取ろうと頑張っていたのだが、とうの愛娘からは毛嫌いされている。(パパくしゃい)
猫猫は恨んでいる訳では無いが、どうにも一途すぎる彼の愛が、生理的に受け付けないらしい。
●母親:鳳仙(フォンシェン)
好いた男に初めてを明け渡した結果、身を滅ぼしてしまった妓女。
囲碁がめっちゃ強い妓女。軍部で負けなしの羅漢に勝つほどの凄腕。
囲碁を通して羅漢と交流(純愛)を続けるも、身請けの話がきっかけで羅漢と体の関係を持ってしまう。そして猫猫が生まれた。
そのせい(自分で仕組んだことだけど)で身請け話も破談となり、信用と価値を失い、多くの客を取るうちに性病を移され、苦労が耐えず、廃人同然の状態となる。
子をはらめば身請け話も破断となり、半年待てば約束通り羅漢が迎えに来る。そう思っていたのに、彼は家のゴタゴタでその後3年は店に来ることができなくなっていた。
そんなことは知らない彼女は、まだ幼かった猫猫の小指を詰め羅漢へと送った。
羅漢がようやく迎えに来たときには末期梅毒で、顔も中身もボロボロで、かつての美しさも囲碁の強さもなかったが、羅漢は迷わず彼女を身請けした。
●大叔父(養父):羅門(ルォメン)
花街で薬屋を営む薬師で、猫猫の養父。羅漢とは叔父と甥の関係。
●兄弟(父の養子):羅半
羅漢の養子で、数字オタク。彼の前では不審な金の流れが即座にバレる。
【余談】オタク気質は父譲り
原作小説2巻の描写から、父親はサヴァン症候群だったことが伺える。
まぁ別にこれは遺伝するモノではないですが、どうにも彼の子供は血縁も養子もどちらもオタク気質をいかんなく発揮しており、なんだか血と類友みを感じずにはいられない…。
猫猫の薬物に対する執着然り、羅半の数字に関する高い関心然り、好きな物に対する粘着質なところが、10年以上猫猫を引き取ろうと執着し続けた羅漢によく似ている。
まとめ
そばかすとしみを持った特に特徴のない顔の女。
だから醜女しこめと呼ばれていた。
小説を読むと猫猫って、地味なそばかす顔で、欠食児童みのある痩せぎすで、貧乳で、オンナとしての魅力は薄い、(自称)醜女…。のはずなんですけど、スクエニ版とアニメの猫猫、非常に可愛い女の子ですね…。
いや分かるんですよ。わざわざヒロインをブサイクに描く必要なんてないですもんね。あとブサイクって、美人描くよりも難しいし描き込み多くて手間なんですよ。でも、美人の称号を持つ玉葉妃と大差ないビジュアルに見えるのは、なんだかなぁって思ってしまうんですよね。
しかもこの作品の主人公、逆化粧してるわけで、それが落とされた時の驚きとか、壬氏が猫猫に逆化粧を続けるように言う描写とか、そのギャップも小説ではおもしろポイントだったと思うんですよ。最初から可愛く書いてたら、その描写の味も薄れるってもんです。
と、オタクは思うわけです。