漫画『薬屋のひとりごと』2種類の違いは何?
出版社と作画担当が違う、ほぼそれだけ。
出版社が『小学館』か『スクエニ』か
『薬屋のひとりごと(漫画)』は小学館(サンデーGX)とスクエア・エニックス(ビッグガンガン)から、ほぼ同じ内容の漫画が、ほぼ同時期に出版されています。
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初版発行年月
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スクエア・エニックス版
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2017年9月
(雑誌:2017年6月号)
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小学館版
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2018年2月
(雑誌:2017年9月号)
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ちなみに、『次にくるマンガ大賞2019』受賞し話題となったのは『スクエア・エニックス(ビックガンガン)』の方の漫画です。
ピックアップの違いだけで内容に大きな差はない
内容の大きな流れに違いはないのですが、それぞれ原作の拾った部分と捨てた部分があり、構成も異なるので、見え方が若干異なってきます。
ざっくり分けると『スクエニ版(ビッグガンガン)』がミステリー要素を薄めたラブコメ主軸の万人受けしそうな作品、『小学館版(サンデーGX)』がミステリー要素主軸(原作イメージに近い)な作品、といった若干の違いがあります。
それぞれの特徴については別の項目で詳しく解説します。
アニメはどちらに寄せているのか
原作小説同様、肩ひじ張らず楽しめる後宮ミステリ風味ラブコメに仕上がっています。
ストーリーは、漫画では描かれていないモノがあったので、どちらかと言えば原作小説遵守、という感じでしょうか。
ただ、ノリとテンションは「スクエニ版」に近いモノを感じます。
動きと表情が少女漫画風味でコミカルに仕上がっているので、落ち着いた雰囲気の「小学館版」読者は、ノリとテンションの違いに少し戸惑うかもしれませんね。
中国の後宮と言えば、女同士が蹴落とし合い勝利の暁にはライバルに罪を被せ、目と耳と喉を潰し、髪を全部引き抜き、両手足を切り落とし、壺に詰めて豚小屋に放置して処刑(実話)…みたいな女の血で血を洗う陰険バトルロワイアルというイメージでしたが、『薬屋のひとりごと』はそんな血みどろ要素なんてない、至って綺麗なラブコメ。
ビジュも演出もオシャレで、頭空っぽ…とまでは行かなくとも、楽しい気持ちを維持したまま見られるミステリ風ラブコメです。
「不器用純情イケメン×クールドライ女」のラブコメに飢えてる方に是非おすすめしたい作品。
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ビッグガンガンの『薬屋のひとりごと』の特徴・オススメ
原作
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日向夏
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作画
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ねこクラゲ
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構成
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七緒一綺
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出版社
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スクエア・エニックス
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掲載誌
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月刊ビッグガンガン
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キレイ系でビジュアル美重視の人向け
少女漫画のようなキラキラとした美麗イラスト。
ストーリーはミステリーとして大事な部分が端折られ、そこまで謎解きに重きをおいていないだろうストーリー構成の仕方になっており、ミステリー要素は薄れ、ラブコメ要素が強めになっています。
原作そのままの雰囲気を楽しみたいという人には向きませんが、『絵を見て中華ファンタジーを楽しむ』という人にはこちらの方がオススメです。
『次にくるマンガ大賞2019』受賞作品
話題になっている方といえば、おそらくこちらの漫画版『薬屋のひとりごと』でしょう。
原作未履修で、話題作を読みたいという人は、こちらの作品がオススメです。
アニメの方も、デザインの大本は小説デザイン遵守ですが、キラキラ感はこの漫画の雰囲気を採用している感じがしますね。
サンデーGXの『薬屋のひとりごと』の特徴・オススメ
原作
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日向夏
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作画
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倉田三ノ路
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出版社
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小学館
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掲載誌
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月刊サンデーGX
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原作そのままの雰囲気を楽しみたい人向け
絵はスクエニ版と比べると結構シンプルです。
こちらはストーリーで魅せていくスタイルで、原作から改変されてはいるものの、しっかりと原作を読んだ上で、必要な改変をしていると感じられる良い再構成です。
ストーリーが原作のイメージに近いので、原作履修の方にも違和感なく読めるのはこちらではないでしょうか。
私は中国史に詳しくはないのですが、こちらの方が『スクエニ版』より「時代考証してるんだろうなぁ」という雰囲気があるのも好感が持てますね。
若干サンデーGXの方が出版ペースは早い
小説・漫画とそれぞれ構成が異なるので正確ではないですが、おおよその進みはこんな感じです。
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単行本
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ストーリー
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スクエニ(ビッグガンガン)版
『薬屋のひとりごと』
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13巻
2024年3月24日発売
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書籍版3巻
Web版宮廷編2ー21話あたり
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小学館(サンデーGX)版
『薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~』
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18巻
2024年3月19日発売
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書籍版4巻
Web版宮廷編2ー40話あたり
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初版発行はサンデーGX版の方が数ヶ月遅れでしたが、既に巻数がスクエニ版を追い越していますね。
スクエニ版は作画担当とは別に構成担当がついているので、その分サンデーGX版よりも進みは遅いのでしょうか。
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どちらの漫画が人気?売上部数とレビューで見る
どちらの漫画の方が売れているのか。
レビューから見るとどちらが面白いのか。
それぞれ見ていきます。
売上部数で見るならスクエニ版が人気?
現在確認できるそれぞれの売上部数はご覧の通り。
※公式からの情報が確認できなかったため正確ではない可能性あり
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各漫画累計
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2023年2月時点
全シリーズ累計部数2100万部
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スクエニ(ビッグガンガン)版
『薬屋のひとりごと』
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2021年11月:700万部
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小学館(サンデーGX)版
『薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~』
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2023年6月:850万部
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現在の売上部数は「シリーズ累計部数」しか公式発表されていないので、それぞれの漫画が現在どれくらい売れているのかまでは調べるが出来ませんでした。
単純に考えて、この売上ペースであればスクエニ版が小学館版を超えている可能性が高そうですね。
原作ファンにも支持される「小学館版」
評価★5:こちらの方が好きな読み味
コミカライズが2種類あるので、それぞれ1巻を読んでこちらが気に入りました。同じストーリーなのに描き手さんが違うと押さえどころが違って、読んだ味わいも違いました。小学館版のこちらは話が理解しやすく引きが上手いです。絵もミステリー物ですがドロドロせず綺麗な感じが好感が持てました。
引用:https://booklive.jp/review/list/title_id/493435/vol_no/001
評価★5:人物もストーリーも素敵!
コミカライズされた2作品のうち、こちらの方が好きです。登場人物の表情が様々に変わり、心情がよく伝わってきます。登場人物のやり取りもテンポよく、真剣な場面・コミカルな場面それぞれによく描き分けられていて、とても面白いし読みやすい(内容を理解しやすい)です。
引用:https://booklive.jp/review/list/title_id/493435/vol_no/001
評価★5:
原作の流れをふまえた上での展開のアレンジが読みやすく、次のページを繰りたくなるテンポ感やキャラの表情など漫画としての面白さが加わった良コミカライズ。
中国風の世界観が相まってキャラクターを際立たせる美しさがある絵で原作イメージ通りなのも良いと思う。
引用:https://booklive.jp/review/list/title_id/493435/vol_no/001
●原作の補強が上手い改変
そもそも原作(Web小説)は地の文が足りないんです。
「必要な情報が書かれておらず、状況把握がしにくい」というのが、Web版を読んだ時の私の感想でした。
「なろう」の傾向を考えると、地の文にごちゃごちゃ書かれているよりも「セリフ」と「雰囲気」と「俺TUEEE」で演出するくらいシンプルな方が受けがいいのはよく分かりますが、いかんせん後宮ミステリと考えると、もう少し詳しい描写が欲しいところ。
小学館版の漫画は、そういった「原作のちょっと足りない描写」を上手く補強してくれていると感じる良い改変なので、原作ファンから、またはミステリを楽しみたいファンから支持されているのではないでしょうか。
もちろん、原作と同じだけのラブコメも、きちんとあります。
過度な美化がされていない落ち着いた描かれ方なので、「夢見がちな少女漫画はキツイ」と感じる大人向けとも感じます。
ビジュアル重視&女性に支持される「スクエニ版」
評価★5:絵もストーリーも良い
絵が凄く綺麗です。主人公の性格も好きだし、ストーリーも面白いです。
ストレートな恋愛要素は今のところあまりないのですが、この微妙な関係が良いです。
主な内容は宮中での毒事件など薬屋(女中だけど)として活躍するストーリーなのですが、最近の話は薬とはあまり関係のない謎解き系が多いです。
ですが、ちゃんと話は繋がっており、違和感なく読めます。伏線もあり、続きが楽しみです。」
引用:https://mechacomic.jp/books/113140/reviews?sort=helpful
評価★5:2作品あります
同じ小説が、2人の作家さんによってそれぞれ漫画家されてます。
もう1つの方(小学館版)を先に読みました。
あちらはサクサク進みます。
こちら(スクエニ版)は進むのが遅い。
ただその分、心理描写や周りの状況を細かく書かれています。
先に読んだ漫画で、少し疑問に思ったところが解決しました。
ただ、絵的にはあちらの方が好きですし、サクサク進む方が好きです。
こちらは心理描写とか、状況をもっと詳しく知りたいときに読んでます。
引用:https://mechacomic.jp/books/113140/reviews?sort=helpful
評価★3:
別の人が描いてる漫画を先に読み、こちらが無料だったので読み比べてみました。
表紙だけ見て、こっちの絵が好みかと思ってたら、別作品の方が良かったです。
猫猫が壬氏を見て嫌悪する表情が結構好きなんですが、こちらの作品ではそんなに表現されておらず、物足りなさ(何のだw)を感じてしまいました。
他にも、中国語で書かれてるはずのとこが普通に日本語で書かれてるとことか、こちらの作品を後に読んでしまったので、細かいところの違いが気になってダメでした。
あくまでも私個人的な意見です。
引用:https://mechacomic.jp/books/113140/reviews?sort=helpful
●美しいビジュアルとイケメンの「おもしれー女」
「薬屋のひとりごと」はミステリだけでなく、王道なシンデレラストーリーも楽しめる作品です。
後宮の最底辺から、イケメンに薬学の知識があることがバレて「おもしれー女」と目を付けられ、望まぬシンデレラストーリーが始まり、クールドライ薬学オタク・猫猫と純情恋愛初心者・壬氏の、なんだか噛み合わない恋模様(一方通行)を楽しむのも、この作品のポイント。
そこを楽しむ方たちにとっては、ラブコメ主軸で美しいビジュアルの「スクエニ版」が人気なようです。
少女漫画に親しんできた人には、この王道的とも言える王子様描写にはキュンと来るものがあるのではないでしょうか。
なんで同じの2つ出してるの?→原作者「わかんない…」
作者の何らかの意図かなと思えば、まさかの原作者も困惑。
となれば、2つの出版社に許可を出したのは、小説の出版社『主婦の友社』の方なのか…?
スクエニの3ヶ月後に小学館、オファーはほぼ同時期
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初版発行年月
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スクエニ(ビッグガンガン)版
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2017年9月
(雑誌掲載:2017年6月号)
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小学館(サンデーGX)版
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2018年2月
(雑誌掲載:2017年9月号)
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雑誌の掲載時期を見れば、小学館版が3ヶ月ほど後に出ています。
たった3ヶ月のラグですから、コミカライズのオファーはほぼ同時期に行われていたと見ていいでしょう。(そしてどういう意図か両方ともOK出したと…)
ヒーロー文庫さん何考えてるの?
原作者が何も知らないとなると…株式会社ヒナプロジェクト(小説家になろう)が介入するとは思えませんし、許可を出したのは小説の出版社でしょうか?
●読者層が違う雑誌での掲載で新規獲得狙った?
これは素人目の憶測になりますが、
・内容も一緒
・絵柄も小説遵守でほぼ同じ
…と、漫画の中身に違いがほぼなく、そこからメリットを汲み取れないとなると、2つの雑誌の読者層の違いに着目するしかなさそうです。
『ビッグガンガン(スクエニ)』は青年向け雑誌で、『薬屋のひとりごと』は後宮ラブコメ(女性向け傾向)が主軸に見える構成。
対して『サンデーGX(小学館)』も青年誌ですがまぁどちらかといえば少年(心)向けで、『薬屋のひとりごと』も恋愛よりも後宮ミステリーが主軸に見える構成。
そうした読者層の違いと、若干の構成の変化で、幅広い読者の獲得を狙ったのではないかなー…と、思うのです。真実は闇。
アニメ化した『薬屋のひとりごと』のデザインはどっち?
漫画の読者としてはアニメのデザインは気になるところですが、そもそも漫画は小説版のキャラクターデザインが元となってますからね。正確には「漫画のイラストが元」とは言えません。
キャラクター原案しのとうこさん描く小説のデザインが元になる
アニメ版のデザインも、漫画版デザインも、キャラクター原案担当のしのとうこさんが描いたデザインが採用されています。
キラキラした感じはスクエニ版を彷彿とさせるものの、どちらの漫画を読んだ読者にも、ビジュアルで強く違和感を感じることはないと思います。
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まとめ
「薬屋のひとりごとって漫画2種類あるんですよ。」
って聞いた時、まさか普通に両方とも本編とは思わないですよ。どっちかスピンオフか番外編だと思うじゃないですか。
案の定、レビュー見てたら「続き買ったらなんか内容違っておかしいなって思った。」という人が一定数いて…そらそうよ。みんな、気をつけようね!