アイアムレジェンドの作品情報
まずは、映画『アイアムレジェンド』の作品情報からご紹介しましょう。
『アイアムレジェンド』はアメリカで公開されたSF映画で、リチャード・マシスンの古典的傑作と称されている「I Am Legend」の実写化作品となっています。
メガホンを取ったのは、数多くの作品を手掛けてきたオーストラリア出身の映画監督、フランシス・ローレンスです。
フランシス・ローレンス監督は『コンスタンティン』で監督デビューを果たして以降、著名アーティストのミュージック・ビデオや『ハンガー・ゲーム』シリーズなど多くの作品に携わっています。
『アイアムレジェンド』は、公開から瞬く間に話題を呼び、多くの人々を惹きつけました。
それは原作の再現度や仕上がりだけではありません。
では、そんな魅力に溢れた作品のストーリーに迫っていきましょう。
ネタバレあり!アイアムレジェンドのあらすじ
アイアムレジェンドは、ニューヨークのとあるTVニュースの放送からストーリーが始まります。
ニュースでは、クリピン博士が癌の特効薬開発に成功したことが放送されていました。
その特効薬は既に1万9,000人に処方され、治療を続けているとのことでした。
しかし、そのうち5,000人には狂犬病のような症状が現れてしまったのです。
検査結果によると、治療薬に使用したウイルスが新種のウイルスへと突然変異したことが大きな要因でした。
そして、この新種のウイルスは博士の名前からクリピン・ウイルスと呼ばれるようになります。
クリピン・ウイルスの感染率は非常に高く、感染経路は空気感染が大半でした。
瞬く間に感染が広がり、ニューヨークはおろか世界中に流布していきます。
致死率も90%と非常に高く、住民はパニック状態に陥ってしまいます。
後に免疫を持つ人間しか生き残ることができないとわかると、感染検査を受け隔離が本格化していきました。
パニック状態にあるニューヨークで、ネビルは愛する家族をウイルスから守るためにヘリコプターに乗せて避難させることにします。
ネビルは軍に所属する科学者で、クリピン・ウイルスに対する免疫を持っていました。
彼は1人ニューヨークに残り、このウイルスを研究しようと考えていたのです。
危険区域に残るネビルを不安そうに見つめる妻をよそに、娘は「さみしくないように」とシェパードの愛犬・サムを託します。
しかし、混乱を極める状況だったためか、ヘリコプターは離陸直後に墜落してしまったのです。
ネビルの家族は、帰らぬ命となってしまいました。
クリピン・ウイルスに免疫を持つ10%の人口のみが生き残ったニューヨークでしたが、それでも人口のうち98%に異常が現れ始めます。
全身の体毛が抜け落ち、紫外線の影響で死亡していったのです。
死亡しなかった人たちも、人間性を失って凶暴化し、人間を大きく上回る身体能力を持ち、あろうことか人間を捕食し始めたのです。
その姿はまるでゾンビのようで、1度でも噛まれた人は同じようにゾンビ化していくのでした。
ゾンビ化した人はダーク・シーカーと呼ばれ、これにより人類は減少の一途をたどることになります。
それから3年後。
世界は荒廃し高層ビルが立ち並ぶニューヨークは非常に静かで、ゴーストタウンのようになっていました。
ネビルはそんな中でも愛犬・サムとともにどうにか生き残り、クリピン・ウイルスの研究を続けていました。
しかし、未だ治療薬の完成には至っていません。
ネビルは、サムとともにニューヨークで車を走らせ、動物園から逃げ出して野生化した動物を狩ったり、畑を作ったりして生活していました。
一方、ダーク・シーカーは紫外線を嫌うため、日中は暗い倉庫に身を潜めています。
夜にだけ行動する特性を知っていたネビルは、これまでなんとか生き延びることができていたのです。
日没が近づきネビルのアラームが鳴ると、彼は家中のドア・窓の強化扉を二重に閉めます。
夜になると、この世のものとは思えないような不気味な物音がするため、サムとともに怯える日々を送っていました。
ネビルは、自宅の地下室でクリピン・ウイルスの特効薬を開発すべく、実験にマウスを使いながら研究を続けていました。
そしてある日、1匹のマウスに投与した薬が凶暴化を抑えられていることに気付きます。
次は、ダーク・シーカーを捕獲して試してみなければなりません。
その後DVDショップへと足を運んだネビルは、お気に入りのDVDを探し始めます。
このショップでは人間がいる雰囲気を出すために、数々のマネキンが置かれていました。
ネビルはDVDを借りては返してという行動を繰り返すことで、日常を楽しんでいたのです。
また、ネビルは自分以外に人間の生き残りはいないと思いながらも、毎日同じ時間に港にあるラジオ放送を使い、生存者に向けたメッセージを送り続けていました。
そのメッセージは「サウス・ストリート・シーポートに毎日正午にいる。君は1人じゃない。」という内容です。
しかし、3年間続けても港に生存者が訪れることはありませんでした。
ある日のこと。愛犬のサムは獲物を追いかけていく中で、ネビルの「行くな」という叫びをよそに危険な建物の中に入ってしまいます。
そこは暗闇の雑居ビルで、ネビルはダーク・シーカーがいる可能性を考え慎重に銃を構えながら先へ進みました。
地面には、おびただしい血の跡があります。
ようやく机の下で怯えるサムを見つけると、「早くここから出よう」と語りかけます。
その直後、血走った形相のダーク・シーカーが襲ってきました。
ネビルとサムは必死で逃げ出しますが、機転をきかせたネビルは命がけで罠をしかけ捕獲することに成功します。
しかし、奥にはそれを威嚇するように見ていた別のダーク・シーカーがいました。
その場では何も起こりませんでしたが、まるで感情や意思を持っているかのように思えたネビルは、そのダーク・シーカーを「アルファ・メイル」と名付けます。
捕獲に成功したのは、女性のダーク・シーカーでした。
地下室で薬剤を投与するも、結果は失敗に終わります。それでも経過観察を続けようとそのまま拘束し、眠らせるのでした。
ネビルが誕生日を迎えた日、DVDショップに置かれているはずのマネキンがいつもとは違う場所に置かれているのを見つけます。
何者かが動かしたことを察したネビルは、警戒しながらマネキンを銃で撃ち、近付いていきます。
しかし、それは他でもないダーク・シーカーの罠だったのです。
マネキンに近寄ったネビルは、頭部を強打し片足を吊られ、宙吊りの状態で失神してしまいます。
日没のアラームで覚醒するも、暗闇からアルファ・メイルとダーク・シーカー化した犬2匹が現れます。
ネビルが襲われそうになったところを、愛犬のサムがかばい負傷してしまいます。
サムには空気感染への免疫はあっても交配・接触の免疫がなかったため、噛まれた状態ではダーク・シーカー化してしまうことが明らかでした。
ネビルは急いで自宅に戻り薬を投与しますが、既に毛が抜け落ちており、自我がなくなって凶暴化します。
ネビルは涙をこらえ、サムを絞め殺すのでした。
唯一の家族であるサムを失った悲しみは、ネビルにとって想像以上に辛く悲しいものでした。
自暴自棄になったネビルは死ぬ気でダーク・シーカーと戦おうと決心し、港に罠を仕掛けます。
日が暮れてから足を運びダーク・シーカーと対峙しますが、車は大破されネビル自身も意識を失いそうになります。
しかし、ネビルは何者かに救われていました。
翌朝自宅のリビングで目覚めたネビルは、足の傷が治療されていること、近くに見知らぬ女性と幼い少年がいることに気が付きます。
自分以外の人間が生存しているとは思っていなかったため、ネビルは戸惑いを隠せません。
女性はアナ、少年はアナの息子でイーサンと呼びました。彼女たちは、ネビルのラジオ放送を聞いてメリーランドから訪ねてきたのです。
そして、ニューヨークよりもさらに北にある山村・バーモントに向かう途中だということもわかりました。
アナによれば、バーモントでは寒さが厳しいためウイルスの生存が難しく、クリピン・ウイルスに感染した人がいなかったため、コロニーができているということでした。
突然の展開と情報量の多さに戸惑いを隠せないネビルに、アナは一緒にバーモントへ行こうと提案します。
しかし、ネビルは感染源であるニューヨークに留まり、クリピン・ウイルスの研究を続ける道を選択しました。
日没が近づき、ネビルはいつものようにドアや窓の二重の強化扉を閉めようとします。
しかし、外の様子がいつもと違っていました。
ネビルが覗き窓から外を見ると、ダーク・シーカーの大群が家に押し寄せてきています。
前日、夜のうちに帰宅したことでダーク・シーカーたちに自宅を知られてしまったのです。
ネビルはアナとイーサンを連れて地下室に逃げ込むと、薬を投与した女性のダーク・シーカーが人間に戻りつつあることに気付きます。
そんな時、アルファ・メイルとダーク・シーカーの襲撃が始まってしまうのでした。
ネビルは彼らに向かって人間に戻る手立てがあると叫び続けますが、知能が低下し狂暴化したアルファ・メイル達には届きません。
今にも破られそうな強化ガラスを見たネビルは、治療を繰り返していた女性ダーク・シーカーの血液を採取します。
これで血清を作れと採取した血液をアナに託すと、アナとイーサンを隠し通路から逃がすのでした。
残ったネビルは手榴弾を手にし、強化ガラスを突破したアルファ・メイル達を道連れに自らも命を落とすのでした。
翌朝。なんとか生き延びたアナとイーサンは、生存者の村に辿り着きます。
ネビルが命を懸けて守り抜いた血清は生存者に希望を与え、やがて彼は伝説(レジェンド)と語り継がれるのでした。
登場人物(キャスト)
ドキドキ・ハラハラする展開に、多くの人が作品の虜になりました。ここでは、そんな『アイアムレジェンド』に登場した人物をご紹介します。
ロバート・ネビル(ウィル・スミス)
『アイアムレジェンド』の主人公。ニューヨークにたった1人残されてしまった男、ロバート・ネビルです。
軍の科学者を務めており、クリピン・ウイルスの研究を続けています。ネビルを演じたのは、俳優のウィル・スミスです。
アナ(アリシー・ブラガ)
ロバート以外に生き残りがいないと思われた中で出会った、数少ない生存者の1人。
神への信仰心が強く、ケガの処置など的確な対応ができる人物です。
アナは、俳優のアリシー・ブラガが演じています。
イーサン(チャーリー・ターハン)
アナの息子。クリピン・ウイルスの猛威から逃げ続けてきた、数少ない生存者です。
まだ幼いイーサンを演じたのは、チャーリー・ターハンです。
アルファ・メイル(ダッシュ・ミホク)
アルファ・メイルはダーク・シーカーのボス。
他のダーク・シーカーのようにゾンビのような姿をしていますが、感情を持っているように思わせるシーンもありました。アルファ・メイルを演じたのは、ダッシュ・ミホクです。
作中の気になる謎に迫る
作中では、気になる部分が登場します。ここでは、そんな誰もが疑問に思う点について解説していきましょう。
涙を誘った愛犬のサム!
シェパード犬でネビルの愛犬・サムの死は、誰もが深い悲しみを覚えたことでしょう。
そんなサムですが、映画の撮影では実は1匹だけではなく、3匹で演じていたのです。
メインの演技は2匹のシェパードが演じたため、エンドクレジットでは2匹の名前が掲載されています。
俳優犬は数ヶ月前から特別な訓練を受け、本番に挑戦。サムの名演技は、トレーナーとの練習の積み重ねによって実現していたのです。
ゾンビ?ダーク・シーカーの正体とは
ダーク・シーカーは、元々人間だった人たちがクリピン・ウイルスに感染したことで凶暴化し、知性の代わりに並外れた身体能力を得た状態のことを言います。
クリピン・ウイルスに感染すると90%以上が死亡。その中で免疫を持った人は、非常にわずかでした。
そして、免疫を持った人のうち5%はダーク・シーカーに変貌しています。
ダーク・シーカーは、罠を仕掛けてネビルを捉えることに成功しています。
終盤にネビルの家を大群で襲ってきたことも踏まえると、彼らは独自のコミュニケーション、意思疎通を図ることができていたのだとわかります。
知性が退化したと思われていたダーク・シーカーは、人間が想像するよりも衰えているわけではなかったのです。
KV(クリピン・ウイルス)について
元々は癌の特効薬として開発されたものが、突然変異したことでクリピン・ウイルスという危険な存在になってしまいました。
致死率が90%以上と非常に高く、人類滅亡の危機に直面してしまったのです。
免疫を持つ人の中には、ダーク・シーカーに変貌してしまう人もいました。
ダーク・シーカーにならなかった人は彼らに襲われ、同じようにダーク・シーカー化、もしくは死亡することになります。
【考察あり】アイアムレジェンドの別エンディングとは
『アイアムレジェンド』には、別エンディングというものが用意されています。ここでは、別エンディングがある理由や、内容の違いなどをご紹介します。
なぜ別エンディングがある?
別エンディングがある理由は、観客による意見・感想です。
アイアムレジェンドでは、アクションホラーならではの派手でわかりやすい結末を望んだ観客が多かったのです。
特にハリウッド映画は、完成後に試写会で観客の反応を調査することで追加撮影が必要か判断します。
そして、調査結果を元に追加撮影・細部変更などが行われることも少なくありません。
『アイアムレジェンド』もそのケースの1つであり、監督が急遽別エンディングを作ることにしたのです。
別エンディングとの違い
劇場版と別エンディングの違いは「ネビルの生死」「どちら側の伝説になったのか」です。
劇場版では、自らの命を犠牲にして生存者の伝説に。
別エンディングでは、生存したままダーク・シーカー達の伝説になっています。
2つのエンディングの分岐点は、ダーク・シーカーが「ネビルの家を襲った目的」そして「ネビルが取った行動」です。
劇場版では、ダーク・シーカーの襲撃は「生存者への攻撃」が目的でした。
しかし、別エンディングでは「治療中の女性ダーク・シーカーを連れ戻す事」が目的として描かれています。
真の目的を知ったネビルは、女性ダーク・シーカーを開放。すると、ダーク・シーカー達は攻撃を止めて帰っていくのでした。
この件から、アルファ・メイルだけでなく他のダーク・シーカーにも知性があると考えられます。
そんなダーク・シーカーに治療を行い、何十と失敗(殺人)を繰り返したネビル。
ダーク・シーカーにとっては、彼こそが脅威であり恐るべき伝説(レジェンド)だったのです。
そして、ネビルは自ら命を落とすことなく、アナとイーサンと共に生存者の村へ向かう…というのが別エンディングの結末になります。
どちらのエンディングも、配信・レンタル等で鑑賞できるので気になる方はぜひ。
別エンディングは、タイトル部分に「アイアムレジェンド 別エンディング」と記載されていることが多いですが確認は必須です。
続編であるアイアムレジェンド2は公開される?
『アイアムレジェンド』の公開から15年経った2022年、ついに続編制作の発表が報じられました。
ウィル・スミスの続投が決定し、さらに新キャストを迎えるなど盛り上がりを見せています。
2つのエンディングがある中、どのように物語が展開されていくのか気になるところ。
しかし、現段階ではストーリーや監督等の詳細は明かされていません。
続編に関して、当初は2008年に続編を制作するという情報や2012年には前日譚ではない形で制作する等…。今まで様々な情報や憶測が飛び交いました。
加えてウィルは以前に続編を否定していましたが、サンタバーバラ国際映画祭のインタビューにて前向きな発言をしているので今回は期待したいですね。
まとめ
今回は、世界的に愛されているSF映画『アイアムレジェンド』のストーリーをネタバレありで解説してきました。
ニューヨークにたった1人残されたネビルが、自身の目的を達成するために体を張る姿は、観る人を夢中にさせてくれます。
アイアムレジェンドはU-NEXTでも視聴できます。まだ観たことがない方や、もう1度観たいという方は、チェックしてみてください。