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【ネタバレあり】松坂桃李が主演の『娼年』ってどんな映画?

エンタミート編集部

更新日:2022-9-8

<プロモーション>

『娼年』は、松坂桃李が主演を務める2018年に公開された映画です。石田衣良が手掛けた小説が原作であり、2015年には監督・三浦大輔と主演・松坂桃李がタッグを組んだ舞台版が大きな反響を呼んだ話題作となっています。

 

当記事では、過激な性描写と濃密な人間ドラマが映し出されるR-18の話題作『娼年』についてネタバレありで詳しく解説していきます。実際に観た人の感想もご紹介するので、どのような作品か気になっている人は必見です。

ネタバレあり!映画『娼年』のあらすじ

 

まずは、『娼年』のあらすじからご紹介します。ネタバレを含むので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

 

名門大学に通っているリョウ(松坂桃李)は、つまらない日々を送っていました。特に興味がない相手と寝ては自己嫌悪に陥るという日々を繰り返していたのです。大学にはまともに行くことがなく授業に関しては同級生のメグミ(桜井ユキ)に任せっきりで、夜はバーでアルバイトをしていました。

 

そんな日々を過ごしていたある日、ホストクラブで働いている中学校時代の同級生だったシンヤ(小柳友)がお客さんを連れて来店します。お客さんの名前は御堂静香(真飛聖)という静かで美しい女性でした。お調子者のシンヤは彼女をもてなしますが、リョウはその雰囲気に乗ることができないどころか、「女なんてつまらないよ」と言ってしまうのです。

 

しばらくして2人が帰ったあと、コースターの下に静香の名刺が置いてあることに気が付きます。その裏には、「仕事が終わる頃に待っている」というメッセージが書かれていました。仕事が終わってから合流した2人は、静香の車の中で話をすることになり、セックスについて尋ねられます。

 

リョウの口からは、「セックスは決まった手順でするつまらない運動です」との答えが返ってきます。それを静香は聞き逃すことなく、「本当にそうなのか証明してもらいたい」とリョウを自宅へ連れていきました。リョウはてっきり静香とセックスをするのかと思っていたら、相手は耳が聞こえない咲良(冨手麻妙)という少女だったのです。

 

「あなたが思っているセックスを試してみて。私は見ているから。」と言われ、リョウは仕方なく行為をスタートします。すべてが終わると、静香はリョウに5,000円札を差し出しました。そして咲良も5,000円札を差し出します。それを見た静香は「咲良のおかげでギリギリ合格ね」と伝えました。

 

その言葉の意味を理解できなかったリョウですが、静香が会員制ボーイズクラブ「Le Club Passion」のオーナーを務めている人物だったことが判明します。つまり、先ほどのセックスは、ボーイとして働く素質があるか見極めるための試験だったのです。最後に渡された1万円は、彼の値段ということになります。

 

ボーイズクラブの最低料金は1万円なので、「ギリギリ合格」と言われました。ボーイズクラブで働くことの誘いに戸惑うリョウでしたが、退屈な日々に飽きていたので娼夫への転身を決意しました。

 

働き始めてから最初に紹介されたヒロミ(大谷麻衣)は、美しくておしとやかな女性だったため、コールボーイを呼ぶようには見えませんでした。呆気に取られてしまうリョウですが、初めての仕事は大成功に終わります。それは、彼自身が変わっていくきっかけにもなりました。

 

会員になっている女性には特殊な性癖の持ち主だったり、夫とのセックスレスに悩んでいたりするなど、様々な事情を抱えていました。最初から自分自身の欲望を表に出す人はほとんどいないため、リョウは寄り添いながら願いを叶えていきます。

 

多くの女性と関わっていく中で、とある夫婦から特別ボーナスが贈られることになりました。ボーナスを受け取るというとは、昇格することと同じ意味です。最低料金だった領ですがVIPクラスまで昇りつめることになり、ナンバーワンのアズマ(猪塚健太)と肩を並べるほどの人気を手にしました。

 

アズマはクラブのナンバーワンを得るほどの人気者ですが、お客さんの多くはお金持ちで変態な人ばかりです。アズマ自身は、体を傷つけられることで快楽を覚えるマゾヒストでした。傷がたくさんついた体を見せられてリョウは驚きますが、一般的には特殊な性癖を受け止めます。

 

話を聞き終わった時アズマは「お礼をさせてほしい」と言い、突然奉仕を始めてきました。女性と体の関係を持つことは幾度となくあったリョウですが、男性との行為は初めてです。「まだまだ知らない世界はたくさんある」と驚きを隠すことができませんでした。

 

そんな出来事もありながら、仕事自体は順調に進んでいました。しかしある時、シンヤが恵にクラブでどのような仕事をしているのかバラしてしまいます。恵は「汚い」と罵倒し、シンヤは「お前は普通に生きられるのにどうしてそんな仕事をするんだ」と詰められ、唯一あった昼のつながりが絶たれてしまいました。

 

女性が心に秘めている欲望を開放していく中で、リョウの胸には秘めた思いがありました。それは、静香に対する恋心。リョウは幼い頃に亡くした母親の面影を静香に感じていたのです。静香から「ご褒美を上げるから何でも言ってちょうだい」と言われた際、「僕と付き合ってくれませんか?」と告白します。

 

しかし、静香から前向きな返事をもらうことはできません。その出来事に追い打ちをかけるかのように、同級生の恵がお客さんとしてやってきました。恵はリョウに対する恋心を抱いており、1ヶ月分のバイト代をはたいて店にやってきたというのです。

 

恵の気持ちを仕事と割り切る中で受け止め、行為がスタートします。プレイが終わると、恵は以前のような関係に戻れないと悟って涙しますが、リョウは「またいつでもバーに来てほしい、恵はいつだってあの店ではタダだから」と伝えます。

 

そして迎えに来ていた静香の車に乗り込むと、彼女自身が娼婦として働いていたことや咲良が自分の娘でお客さんとの間にできた子どもだということ、静香自身がエイズに感染していることなど、これまで隠していた事実を明かされました。静香もリョウのことは好きだけれど、事情が事情なだけにセックスができないことを知り、「あの時からどのくらい成長したか見てください」と咲良を相手にして行為を行います。最初の頃とは見違えるようなセックスで、静香とも心でつながることができました。

 

それから間もなく、静香が経営するボーイズクラブが摘発され営業停止処分となります。静香も逮捕されてしまいました。

 

さらに1年ほど経った頃、アズマが再開したクラブでリョウは働いていました。「女なんてつまらない」と言っていたのが嘘のように、生き生きと働く姿がそこにはあったのです。

 

『娼年』の登場人物とキャスト

 

『娼年』には、物語を彩る魅力的な登場人物が出てきます。続いては、登場人物とキャストについてご紹介します。

 

森中領 / リョウ(松坂桃李)

 

リョウは、平凡な日々がつまらないと感じている名門大学の学生です。序盤は死んだような目をしていますが、ボーイズクラブで働くようになってからは男性として成長していきます。娼夫という仕事を経て、大きく変わっていく様子は必見です。

 

リョウ役を務めている松坂桃李は、雑誌の専属モデルとして芸能界デビューしました。その後、様々なドラマ・映画などで活躍し、日本アカデミー賞の受賞実績などもある実力派俳優です。

 

御堂静香(真飛聖)

 

御堂静香は、会員制ボーイズクラブのオーナーを務めている人物です。リョウとは最終的に両想いになりますが、自身がエイズに感染していることから体の関係を持つことはありませんでした。

 

御堂静香役を務めているのは、真飛聖です。元々宝塚の花組トップスターとして活躍していましたが、2011年に退団してからはテレビや映画などに出演しています。

 

咲良(冨手麻妙)

 

咲良は、リョウがボーイズクラブに入れるかどうか決めるための試験で相手をした少女で、オーナーである静香の娘です。咲良が気に入ったことでリョウは合格となりました。

 

咲良役を務めているのは、冨手麻妙です。2009年にAKB48の研究生オーディションに合格し研究生として活躍していたのですが、女優を目指して卒業します。卒業後は、園子温監督の作品でデビューし、2017年に同監督の作品である『アンチポルノ』で初のヘアヌードを披露しました。

 

平戸東 / アズマ(猪塚健太) 

 

アズマは、傷つけられることで快感を覚えるマゾヒストです。リョウが働き始めたクラブで働いている先輩でもあります。

 

平戸東役を務めているのは、猪塚健太です。大学在学中に芸能界デビューし、『紫陽花物語』では主演となりました。それからも、ドラマや舞台などで主演を務めるなど活躍しています。

 

白崎恵(桜井ユキ)

 

白崎恵は、リョウと同じ大学に通っている友人です。リョウに対して好意を抱いていますが、娼夫として働いていると知った時は蔑みました。しかし、その後お客さんとなってリョウを指名しています。

 

白崎恵役を務めているのは、桜井ユキです。2011年には舞台、2012年には映画、2013年からはテレビドラマに出演しています。『真犯人フラグ』では、重要な役を演じ切りました。

 

田島進也 / シンヤ(小柳友)

 

シンヤは、リョウの中学生時代の同級生。自信家であり、お調子者な性格です。ホストとして働いています。

 

シンヤ役を務めているのは、小柳友です。ONE OK ROCKというバンドでドラムを担当していましたが、俳優になりたいという夢を叶えるためにバンドを辞めています。第23回高崎映画祭最優秀新人男優賞などの実績を残しています。

 

イツキ(馬渕英里何)

 

イツキは、お客さんの一人です。子どもの頃に好きな男の子の前でお漏らしをした時にエクスタシーを感じ、大人になってもその時の快感を忘れることができずにいました。

 

イツキ役を務めているのは、馬渕英里何です。1993年に芸能界デビューして以来、多くのドラマに出演しています。舞台にも出演するなど、活躍の場は多岐にわたっています。

 

主婦(荻野友里)

 

作中で名前が明かされることはありませんでしたが、この主婦もお客さんの一人です。夫とのセックスレスに悩み、リョウに相談します。一見すると大人しそうな女性ですが、豹変する姿が見ものとなっています。

 

主婦役を務めているのは、荻野友里です。青年団という劇団に所属しており、舞台活動がメインとなっています。その傍ら、1年間に2~3本ほどのペースでテレビやドラマに出演しています。

 

紀子(佐々木心音)

 

紀子もお客さんの一人です。年齢が離れている夫の目の前でリョウに凌辱されるシチュエーションを要求します。リョウはそれに従ってプレイしていました。

 

紀子役を務めているのは、佐々木心音です。元々グラビアアイドルでしたが、今は女優兼シンガーソングライターとして活躍しています。スタイルの良さから「いま芸能界で一番エロい体」と称されたこともあります。

 

ヒロミ(大谷麻衣)

 

ヒロミはクラブの常連客。リョウに初めてついたお客さんで、リョウが娼夫という仕事に対してやりがいを感じるようになるきっかけとなった人物でもあります。

 

ヒロミ役を演じているのは、大谷麻衣です。『娼年』に出演したことで注目されるようになりました。人生を大きく変えた作品だと語っています。

 

『娼年』の見どころは?

 

『娼年』は、一人ひとりの登場人物に様々なドラマがあります。性描写も含めてリアルに描かれている点が、この作品の大きな魅力。続いては、特にチェックしておきたい『娼年』の見どころをピックアップしてご紹介します。

 

 リョウが変化していく様子 

 

この作品の中で一番の見どころとなっているのは、やはりリョウが変化していく様子でしょう。序盤と終盤では、目つきや顔つきがまるで別人のようになっています。最初の頃はけだるそうな感じで清潔感もあまり感じられないような風貌だったため、これほどの変化や成長したことに驚きを隠せなかった人も多かったでしょう。

 

終盤では誰もがつい見惚れてしまうような男性に成長しているため、最初から最後まで目が離せません。変わっていく過程も描写されているので、どのような心境の変化があったのかなどがしっかりと伝わってきます。丁寧に描かれている部分でもあるので、「どんな変化をするのか?」と楽しみながら鑑賞するのがおすすめです。

 

娼夫になった葛藤や生きることに対する喜び

 

『娼年』は、娼夫という性を売り物にする仕事が題材となっています。非常にデリケートで難しい題材でもあります。夜の仕事に対するイメージは以前より良くなっているとはいえ、偏見の目で見られてしまうことも少なくありません。

 

自分の体を売り物にする感覚が理解できなければ、「汚い」と感じてしまうのも無理はありません。作中に出てくる恵もそのように感じる代表的な例となっています。リョウの場合は、名門大学に通っているので他にも選択肢はたくさんあったはず。ですが、あえてこの仕事を選んだことによる葛藤を抱えることになります。

 

しかしリョウは、今やっている仕事に対して誇りを持っていました。仕事をこなす中で彼自身が成長できた部分もたくさんあるので、喜びも感じていたのです。

 

キャラクターの多様性

 

この作品に登場する登場人物は、セックスレスというよく聞く悩みを持つ女性からアズマのようにアブノーマルな性癖を持つ男性まで、非常に個性的です。性の世界には終わりがありませんし、何が正しくて何が間違えているということもありません。夜の世界を題材にしているからこそ、これほどまで個性的で強烈なキャラクターを登場させることができたのでしょう。

 

そのような世界に馴染みがないと驚いてしまいますが、何も間違えたことはしていません。それどころか、その行為を好きだと感じたり快感を覚えたりするなら正解だと言えます。アブノーマルな趣味などを持っているとそれを外に出せず心に秘めたままになってしまうケースも多いですが、それは恥ずかしいことではない、さらけ出せる場所があるならさらけ出しても問題ない、というメッセージも込められています。

 

 

映画版と舞台版との違いは?

 

『娼年』は映画版だけではなく、舞台版もあります。映画版と舞台版では異なる点がいくつかあります。いったいどのような違いがあるのでしょうか?

 

R指定が異なる

 

映画版と舞台版ではR指定がそもそも違います。舞台版は、舞台作品としては稀なR-15指定がついています。映画ではR指定がついている作品を度々目にしますが、舞台ではほとんどありません。

 

R-15指定なので小さい子どもが鑑賞するのは不適切だと考えられていますが、内容はかなり過激なので、それでも緩いのではないかという声も聞かれています。映画版はR-18なので、適切な対応だと考えられるでしょう。

 

映画だとスクリーン越しになるため、ある程度リアルな描写を予想することはできます。しかし舞台だと「そこまで過激なことはしないのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、実際は直接演じていました。そのため、R指定になったと考えれば異例のことでも納得できるでしょう。

 

出演しているキャストが異なる

 

映画版と舞台版では、キャストが異なります。松阪桃李以外のキャストは総入れ替えとなっているのです。主役以外のキャストはすべて変わるという点は、この作品の大きなポイント。

舞台からさらに進化した作品に仕上げたいという監督の思いから、キャストの変更があったのではないかと考えられます。舞台と映画では見せ方が変わってくるので、それに適した配役をしたと考察できます。

 

原作は小説!作者はどんな人?

 

『娼年』の原作は、石田衣良の小説です。『娼年』では、リョウとアズマがクラブを再開したところで話が終わっていますが、続編となる『逝年』ではその後の様子が描かれています。さらに、その続編となる『爽年』では7年後の物語が描かれました。

 

石田衣良は、これまでに池袋ウエストゲートパークシリーズ(『池袋ウエストゲートパーク』や『少年計数機』、『骨音』、『ドラゴン・ティアーズ-龍涙』など)や娼年シリーズといった小説を手掛けてきました。シリーズ外にも、『うつくしい子ども』や『エンジェル』、『スローグッバイ』、『逆島断雄―進駐官養成高校の決闘編』などを手掛けています。さらに、アンソロジー・リレー小説に参加したり、エッセイを執筆したりするなど、幅広く活躍。

 

小説の執筆以外に作詞も手掛けています。藤井フミヤの『さまよう果実』やESCOLTAの『My son』、山田優の『REAL YOU』、AAAの『Shalala キボウの歌』などは、石田衣良が作詞した楽曲です。

 

 

映画『娼年』を観た人の感想は?

 

 

内容的には性的な描写が多いため、ある程度覚悟して観る人もいるでしょう。しかし実際は、エロさはあるもののそこまでではないと感じる人一定数いるようです。性別によって見え方が変わる可能性もありますが、あくまでもアダルトビデオではないので見せ方にもこだわっているのではないかと考えられます。

 

邦画の中には濡れ場がある作品ももちろんあります。しかし、『娼年』を見てしまうとこの人のような感想を持つ可能性も高いです。どれほどリアルな描写になっているか気になるなら必見だと言えるでしょう。

 

ただひたすら性的なシーンを描いているわけではないとわかる感想もありました。演出も工夫されており、没頭して観てしまう人も多いでしょう。心に響く深いセリフなどもあるので、観てみる価値は大いにあります。

 

映画『少年』を観た人の感想にはこのようなものがありました。普段は触れることがない世界なので、あまりにも過激だと感じてしまう人ももちろんいるでしょう。しかし、作中には深いセリフがあったり、主人公が成長していく様子を垣間見たりできるため、つい観たくなってしまう人も多い良作です。

 

 

まとめ

 

松坂桃李が主演を務める映画『娼年』は、舞台でもタッグを組んでいた監督・三浦大輔と共に作り上げた作品となっています。舞台からさらにブラッシュアップされたため、見応えは抜群です。過激な描写も随所にありますが、それだけではなく1人の人間が成長していく様子を楽しめる作品に仕上がっています。

 

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※本ページの情報は2022年9月時点のものです。最新の配信状況は各動画配信サービスサイトにてご確認ください。

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