映画『シザーハンズ』あらすじと作品概要
カラフルな住宅街から見える山の上には、年老いた発明家の屋敷がありました。発明家は人造人間を作り出しますが、途中で急死してしまいます。両手がハサミという不完全な身体で、人造人間のエドワードは屋敷に1人で暮らしていました。
そこに街で暮らすボッグス一家の母ペグが化粧品のセールスに訪れます。ペグはエドワードを家に連れて帰りました。
街にやってきたエドワードは、ハサミを使って庭の手入れやヘアカットをして注目され、あっという間に人気者になります。はじめはギクシャクしていたペグの娘キムも、だんだんとエドワードに惹かれていきます。
しかし、ある出来事をきっかけに、エドワードに対する住民の態度は少しずつ変化していくのでした。
監督
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ティム・バートン
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脚本
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キャロライン・トンプソン
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主演
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ジョニー・デップ
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配給
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20世紀フォックス
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上映時間
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105分
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公開日
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1990年12月7日(アメリカ)/1991年7月13日(日本)
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『パイレーツ・オブ・カリビアン』のジャック・スパロウなど人気作品に数多く出演しているジョニーデップが主演を、『チャーリーとチョコレート工場』『アリス・イン・ワンダーランド』のティム・バートンが監督を務めています。
公開時には高い評価を受けゴールデングローブ賞や英国アカデミー賞などにノミネートされました。
ジョニー・デップ演じるエドワードの特殊メイクは、『ターミネーター』や『ジュラシックパーク』などで知られる特殊メイクの神様スタン・ウィンストンが担当しています。
ストーリーや役者の演技だけでなく、衣装やメイクにも注目してみてください。
映画『シザーハンズ』を観るならディズニープラスがおすすめ!
映画『シザーハンズ』を視聴できる主な動画配信サービスは以下の通りです。
動画配信サービス
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配信状況
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Disney+(ディズニープラス)
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見放題
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amazon prime video
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レンタル/¥299(税込)
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dTV
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レンタル/¥330(税込)
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『シザーハンズ』気になるポイントをネタバレ考察&解説
映画の『シザーハンズ』のネタバレを含むあらすじをご紹介しました。
ここからは映画を見て気になったポイントを考察&解説していきます。
【ネタバレ】本当に怖いのはエドワード?住宅街の人々?
住宅街に暮らす隣人たちは、物語の最後にはエドワードを恐れ街から追い出しました。しかし、エドワードは決して危険な存在ではなかったと思います。どうして隣人たちは彼を恐れ、街から追い出すにとどまらず死を望んだのか。
それは、隣人たちは「違いを認める」ことができなかったからです。
エドワードは作中に登場する人物たちとは“違い”ます。
まずその見た目が恐ろしいです。顔には無数の傷跡があり、顔色も真っ青で、何より手がハサミです。その見た目の不気味さは、配給元の20世紀フォックスが観客が減ってしまうのではと懸念し、公開まで非公開にしていたほどです。
また、全身を黒い革衣装に包んだ姿は、カラフルな街並みの中ではとても異質で目立ってしまっていました。
そして、エドワードと隣人たちとの最も大きな“違い”は、常識の有無です。エドワードは人造人間として誕生してから、城の中にずっと1人で暮らしていました。なので社会秩序や道徳的規範が欠けている部分があります。
これらの“違い”から隣人たちはエドワードを恐れ、街から排除しようとしたのでした。
しかし、隣人たちは初めからエドワードを恐れていたわけではありませんでした。1度はエドワードを受け入れたにもかかわらず、都合が悪くなると彼を排除しようとしたのです。ここに隣人たちの、そして人間の醜さが巧みに描かれていると思います。
城に1人で暮らしていたエドワードは、化粧品を売りに来たペグに連れられて街にやってきます。隣人たちは好奇心からエドワードに興味を示します。電話を使い「ペグが車に男を乗せていた」という噂話に興じる隣人たちからは、そのゴシップ好きが見て取れるでしょう。
エドワードに庭師やヘアカットの才能があると分かると、隣人たちは彼を称賛し、時の人として祭り上げました。この時点のエドワードは、「“違う”存在」ではなく「“特別”な存在」として受け入れられていました。
しかし、エドワードが逮捕されたことをきっかけに、隣人たちは手のひらを返したように彼を避けるようになります。この時にエドワードは「“特別”な存在」から「“違う”存在」となりました。それは、彼の“違い”が自分たちの身に危険を及ぼす可能性があると、隣人たちが認識したからです。
このようにして隣人たちはエドワードを恐れるようになりました。
都合が悪くなったとたんに一斉にエドワードを拒絶するようになる隣人たちでしたが、そもそも「“特別”な人」として彼をもてはやすこと自体が間違っていたのではないでしょうか。
「“違う”人」も「“特別”な人」も、自分たちとは「異なる存在」としてエドワードを扱っており、対等に接しているようには思えません。優しいペグでさえ、哀れみからエドワードを自宅に招き入れたのでしょう。
作中、エドワードに偏見を持たない存在として描かれていたのは、1匹の犬だけでした。道路に1人座るエドワードの横にやって来た犬は、彼に毛を切ってもらって喜んでいました。このシーンが対比となり、偏見を持つ隣人たちの醜さと怖さを際立てていました。
この作品は、「“違い”を認めることの難しさ」を描いており、本当に怖いのは、隣人たちがエドワードにしたように、偏見を持って人に接することなのです。
エドワードはティム・バートンの分身
気味の悪い姿をしているエドワードですが、このキャラクターにはモデルとなる人物が2人います。
1人目は、海外セレブたちから人気を集める美容室「WARREN TRICOMI NEWYORK」のオーナーであるエドワード・トリコミ。監督のティム・バートンもこの美容室に通っており、エドワードの巧みなハサミ捌きからインスピレーションを得たのだそうです。
そして2人目のエドワードのモデルとなっているのが、監督ティム・バートン本人。
ティム・バートンは、エドワードのイメージを膨らませていくうちに「これは10代の頃の自分自身ではないか?」と感じたそうです。
作中エドワードは、「人と“違う”こと」から周囲の人々に誤解されてしまいました。これは、ティム・バートンの過去の経験が反映されているものだと考えられます。
ティム・バートンは幼い頃から奇行の目立つ子供だったそうです。高校を卒業した彼は、ディズニーの奨学金を使いカルフォルニア芸術大学で3年間アニメーションの勉強をします。その後ウォルト・ディズニー・スタジオに実習生として就職するのですが、そこでも彼は変人として見られてしまいました。
仕事中にクローゼットに閉じこもって出てこなくなったり、突然机の上に座ったと思ったら机の下に隠れたり、落ち着きのない行動に周囲は戸惑います。非常に無口だった彼は、職場の同僚からしばらくの間、口がきけないのだと誤解されていたそうです。
また、ティム・バートンの元パートナーで、『アリス・イン・ワンダーランド』などにも出演している女優のヘレナ・ボナム・カーターは、彼について「アスペルガー症候群の特徴がある」と語っています。
作中でエドワードは好奇の目で見られています。住宅街の隣人に義足を付けた老人がいます。彼はエドワードに対して「人に身障者とは呼ばせるなよ」と言います。また、テレビに出演した時には「手を治したら普通の人になってなってしまうのでは?」と問いかける観客がいました。このようにエドワードは、障害のある人や“普通じゃない”人として扱われていました。
個性的な人は、時に偏見にさらされ傷つけられてしまう。きっとティム・バートン監督自身も、同じような経験をしてきたのだと思います。
『シザーハンズ』のエドワードは、監督であるティムバートンの「誤解される苦しみ」を反映したキャラクターだったと言えるでしょう。
【ネタバレ】ヒロイン・キムは“クズ”なのか?
シザーハンズの評判をネットで調べると、
「キムが“クズ”すぎる」
「キムは嫌い」
などの意見が多く見られました。
住宅街の人々がエドワードを糾弾するようになったきっかけは、ジムの立てた盗みの計画に協力したエドワードが警察に逮捕されたことです。しかしエドワードは騙されてジムたちに協力しただけでした。
もしもエドワードが逮捕されたときにキムが警察や街の人々に真実を話していたら、物語の結末は変わっていたかもしれません。しかしキムは保身のために真実を語らず、エドワードは誤解されてしまい、物語は悲しいラストとなってしまいました。
キムの自分本位な行動がきっかけでエドワードは街を追われるに至ったことから、映画を見た人からは「キムは“クズ”だ」という声が上がっているのでしょう。
確かにキムの行動にはズルい部分があると思います。
ジムから計画を聞かされたキムは、少し拒みはしたもののエドワードに協力を頼み、ジムたちと共に盗みに参加しています。そして、エドワードが逮捕された際も、自分の身を守るためにエドワードの濡れ衣を晴らそうとはしませんでした。
しかしこれは、人間らしい行動ではないでしょうか。いいところもあれば悪いところもある、保身に走ってしまう弱さだってある、それが人間らしさと言えるのではないかと思います。
一方エドワードは逮捕されても、ジムやキムの名前を出すこともなく黙りつづけていました。当然キムのことを思っての行動でしょう。エドワードは徹底的に純粋な存在なのです。それは、キムの父ビルに「お金を拾ったらどうしたらいいか分かるか?」と聞かれて、「愛する者にプレゼントを買う」と答えてしまうシーンからも分かります。
キムを純粋で無垢なヒロインとして描かなかったのは、エドワードの純粋さを際立たせるためだったのだと考えられます。「人間らしいヒロイン」と「純粋無垢な人造人間」という対比になっているのです。
【ネタバレ】エドワードが雪を降らせる理由
作中で、エドワードが氷の像を削るときに飛び散った破片が雪として街に降っているのだと明らかになります。
なぜエドワードは毎年氷の像を作り、街に雪を降らせていたのでしょうか。それは、エドワードは雪の中でキムに踊ってほしくて、雪を降らせているのだと考えられます。
ラストシーンで、エドワードは踊るキムの氷の像を作っています。このことから、描写こそありませんが、クリスマスの夜にキムが雪の中で踊る姿をエドワードは見ていたのでしょう。
エドワードは、今でもその光景を鮮明に覚えていて、その時のキムがとても幸せそうに見えたので、またキムに踊っていてほしいと願いながら雪を降らせているのだと思います。
エドワードの降らせる雪はキムの幸せを願うものであり、彼女に自分の愛を届けるための手段なのかもしれません。
ちなみに、映画『シザーハンズ』では、配給会社の20世紀フォックスのロゴに雪が降るという演出があります。これはアメリカ公開時にクリスマスシーズンだったことに合わせて作られた演出でした。
『シザーハンズ』には続編がある?ティモシー・シャラメ出演CM
映画『シザーハンズ』には続編はありません。
しかし、2012年に『ファミリーガイ』というアメリカのTVアニメで、オマージュという形でジョニー・デップが1度だけエドワード役の声優を務めたことがあります。
また、アメリカの自動車メーカー・ゼネラルモーターズの高級車、キャデラックのCMでは、エドワード・シザーハンズの息子エドガーの日常が描かれています。
エドガーを演じているのは、個性派俳優として人気のティモシー・シャラメです。
CMが流れたのは2021年2月7日、アメリカンフットボール最大の大会「スーパーボウル」のハーフタイム。スーパーボウルは視聴率が高く、それに伴いCM放送料もとても高額で、毎年30秒のCM枠に大手企業が数億円を支払っているほどです。
キャデラックの最新モデルLYRIQ(リリック)のCMは、「これは両手がハサミの男の子の物語。違う、あの人のことではない…」というナレーションから始まります。
エドワードの息子エドガーはハサミの手を受け継いでおり、日常生活に苦戦しています。母親のキムがエドガーに、ハンズフリー運転支援システムが搭載された車をプレゼントするという内容のCMです。母親のキム役は、映画と同じくウィノナ・ライダーが演じました。
ティム・バートン監督はこのCMに対して「自分が誇りに思う作品が生き続け、30年後であっても、時間とともに発展するのはレアなことです。エドガーが新しい世界を生きているのを見られて嬉しい!(元からの)ファンも、エドワード・シザーハンズを初めて知った人も楽しんでくれることを願っています」とコメントしています。
『シザーハンズ』ネタバレ解説&考察まとめ
映画『シザーハンズ』のネタバレを含んだあらすじと考察をご紹介しました。
ジョニー・デップとティム・バートン監督の名コンビが初めてタッグを組んだ作品で、公開から30年以上経った今でも、根強い人気のある作品です。
エドワードの台詞自体はとても少なく、作中では169ワードしか言葉を発していないそうです。その表情や仕草でエドワードの感情を巧みに表現していたジョニー・デップの演技は流石だなと思いました。
作中の住宅街に暮らす人々はエドワードを「みんなと“違う”」存在として扱い、受け入れることができませんでした。
もしも身近にエドワードのように個性的な人物が現れたとき、自分だったらどのように接するだろうかと考えてみるのもいいでしょう。
ディズニープラスでは『シザーハンズ』をはじめ、『アリス・イン・ワンダーランド』や『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』など多数のティム・バートン監督作品を楽しむことができます。気になる方はぜひチェックしてみてください。