「エスター」はどんな映画?あらすじを紹介!
「エスター」は、2009年にアメリカで公開された映画です。原題は「Orphan」で、孤児という意味になります。
コールマン家には、夫のジョン・コールマン、妻のケイト、息子のダニエル、娘のマックスがいます。ケイトは3人目の子どもを身籠っていたのですが、流産してしまい、その後も悲しみが癒えずにいたのです。
ケイトは元アルコール依存症患者であり、精神的に不安定な部分がありました。そこに流産という悲しみに襲われた結果、自責の念から睡眠障害を引き起こしたのです。
ケイトは生まれてくる子どもに「ジェシカ」と名付けるつもりでいました。陣痛が来たケイトは、ジョンによって病院に運ばれましたが、病院の廊下で大出血を起こし、血まみれの赤ちゃんを自分の子どもだと見せられ思わず叫んでしまい、夢だと気が付いて起きるのです。
未だに流産の傷が癒えずに悪夢に悩まされる日々を送るケイトに、ジョンは孤児院に行って養女をもらおうと提案します。息子のダニエルは生意気で元気な男の子、娘のマックスは生まれつきの難聴により、補聴器が必要で手話での会話をしています。
その日もマックスに手話で絵本を読み聞かせていましたが、やはりジェシカのことを思い出しては悲しくなってしまうのです。そこでジョンの提案通り、休日に聖マリアナ女子孤児院に行くことを決めたのです。
孤児院へ行って子どもの様子を見ている時、にぎやかに遊ぶ子ども達の中で1人絵を描いている少女がいます。それがエスターでした。
とても聡明で利発的なことを話すエスターを見て、ジョンもケイトも好感を持ちます。そこにシスターが来てエスターがロシアから来たこと、この数年で英語を学んだことを話しました。
ロシア出身のエスターは、最初に引き取られたアメリカの家族を火事で失くしてしまったと聞きジョンとケイトはエスターを迎え入れることに決めたのです。エスターは首と手首にリボンを巻いていましたが、絶対に外さないとシスターに言われましたが、気に入っているのだと気にすることはありませんでした。
その日のうちにエスターを自宅に連れて帰ったジョンとケイトは、車の中で他にダニエルとマックスという兄妹がいることをエスターに伝え、マックスには手話が必要であると話して教えました。
夫婦が家に付くと、ジョンの母親のバーバラがいましたが、初対面のマックスに手話で挨拶をして好印象を与えます。またピアノを見て喜ぶエスターを見て、ピアノ教師であるケイトは教えたい気持ちが生まれました。
一方のダニエルはみんながエスターに注目しているのが不満で、友達と一緒にツリーハウスに遊びに行ってしまいます。そんな中、夜になると雷が鳴り始めます。
エスターは雷が怖いとマックスの所へ行き、2人で夫婦の部屋で一緒に眠り、朝を迎えました。初めての登校日、エスターはドレスを着て行こうとしたためダニエルがからかいます。
ジョンとケイトも他の服を提案したのですが、エスターはドレスを着て学校に行ったため、クラスでもからかわれてしまいました。帰宅したエスターはマックスの面倒を見ようとしている間、ダニエルが空気銃で鳩を打ってしまい、それが命中して動かなくなってしまうのです。
エスターとマックスが気付いてダニエルに話を聞いたのですが、エスターはとどめをさせとダニエルに言います。怖がるダニエルをよそにエスターは躊躇うことなく石で鳩を殺してしまい、2人はエスターの恐ろしい部分を知ることになったのです。
エスターは聖書を持って学校に行っていますが、ダニエルの友達がエスターに嫌がらせをして聖書を落としてしまいます。その時、エスターの手首に巻かれたリボンに手がかかるとエスターは周囲が驚くほどの声で叫んだのです。
そのことを聞いたケイトは、ピアノを教えながらエスターに聞きますが、話題は変えられてしまい、ジェシカとは誰かと問われます。死産した子で遺骨は白いバラの下に埋めたと話すとエスターは泣き、それを見たケイトは心の優しい子だと抱きしめました。
夜、ジョンとケイトが台所で愛し合っているのをエスターに見られます。ケイトは性教育をしようと話しかけると「ファック」とエスターに言われます。この時、エスターが理解していると分かったためジョンに相談しますが、ジョンの前では無邪気な子どもの表情を見せていたため、取り合ってくれませんでした。
ある日、ジョンが公園に子ども達を連れて行った時、意地悪なブレンダが滑り台にいるのをエスターが見つけて突き落としますが、マックスはそのことを目撃していたのです。翌日、孤児院のシスターから電話があり、エスターの様子を聞かれます。シスターはエスターに電話を求めますが出ようとはしませんでした。
またエスターが歯医者に行かないこと、同級生のブレンダがケガをしたことも気になったため、シスターに話しました。すると、シスターはその話に食いつきました。
その後、エスターがピアノでチャイコフスキーを完璧に弾けることをケイトが聞くと「弾けるか聞かれなかったから」と答えたエスターにケイトは変わった子だと気が付きました。またケイトと一緒の時とジョンといる時の姿が違うことにも気が付きましたが、ジョンはケイトの話を信用してくれなかったのです。
ケイトは、エスターのことを調べようとシスター・アビゲイルに連絡をして、エスターの周辺で事故やケガが多く発生していることを知りました。また、前の養子先であったサリバン家の火災にもエスターが関わっている可能性を指摘した頃、エスターはマックスを利用してジョンの金庫から銃を取り出し、シスター・アビゲイルを脅して来させないようにすると言いました。
マックスを利用してシスター・アビゲイルを近寄らせた隙にエスターはハンマーで殴って殺害し、ダニエルの秘密基地であるツリーハウスの下に着ていた服を隠しました。それを見かけたダニエルをエスターが夜中の脅したため、ケイトがエスターのことを2人に聞いても答えることはなかったのです。
その後、シスター・アビゲイルの失踪疑惑をかけられたり、虐待の容疑をかけられたりしたケイトは、ますますエスターの対しての不信感を持ちます。ケイトはエスターが本性を現したと思い、必死にエスターについて調べた結果、いつも持っている聖書に複数の男性の写真があったこと、「サールン・インスティチュート」という言葉を見つけます。
エスターは孤児院から来たと思われていましたが、「サールン・インスティチュート」が精神病院であること、ロシアではなくエストニアにいたことを知ったのです。ダニエルもエスターのことを探ろうとツリーハウスに行くと先回りしたエスターに小屋ごと燃やされてしまい、頸部損傷で病院に運ばれました。
エスターは病院でジュースを買いに行くふりをしてダニエルの酸素吸入器を取り外しますが、医師がすぐに駆け付けました。このアラームを聞いてケイトはエスターがしたと思って取り乱すのですが、暴れたケイトはそのまま病院で入院させられてしまうのです。
ジョンはエスターとマックスを連れて帰宅しますが、疲れ果てたジョンは禁じていたお酒を飲み、眠り込んでしまいます。そこにエスターが化粧をして露出の激しい服を着てジョンを誘惑するのです。気が付いたジョンが拒んだのですが、エスターはこのことを悲しみながら泣いて暴れるのでした。
病院で目覚めたケイトの所に「サールン・インスティチュート」の医師から電話がかかってきます。そこでエスターについて恐ろしい事実を聞かされることになるのです。
エスターの本名はリーナでホルモン異常の病気で見た目は9歳くらいに見えるが、本当は33歳の女性であること、危険人物で医師の知る限りでは7人は殺していること、精神病院を脱走していることを知りました。慌てて帰宅したケイトは自宅で衝撃的な光景を目の当たりにしてしまうのです。
「エスター」の登場人物を紹介!
ここでは、「エスター」の登場人物を簡単に紹介していきます。
エスター/リーナ・クラマー (イザベル・ファーマン)
見た目は9歳、中身は33歳のエスターは下垂体性機能不全という病気を持っています。さらに精神疾患もあり、無邪気な子どもと恐ろしい姿を使い分けています。
当時12歳のイザベル・ファーマンが難しいエスターを演じたことで注目を集めました。
ケイト・コールマン (ヴェラ・ファーミガ)
3人目の流産を悲しむ元アルコール依存症患者で、苦しみを抱えながらエスターの正体を暴いていきます。誰にもエスターや自分のことを理解してもらえず、悲しさを抱えます。
ケイト役は、ベテラン女優のヴェラ・ファーミガが演じています。
ジョン・コールマン (ピーター・サースガード)
設計士でとても良いお父さんとして登場するのがジョンです。エスターを信じきっていますが、ケイトのことも想っています。
ジョン役は「ニュースの天才」で注目されたピーター・サースガードです。
ダニエル・コールマン (ジミー・ベネット)
エスターを快く思わない長男のダニエルは、コールマン夫婦の子どもです。ダニエル役はジミー・ベネットが演じました。
マックス・コールマン (アリアーナ・エンジニア)
コールマン夫婦の子どもで難聴を患っているマックスは、エスターがきたことを本当に喜んでいました。マックス役は、実際にも生まれつきの難聴を持っているアリアーナ・エンジニアが演じました。
「エスター」に隠された秘密とは?
ホラー場面に続き、謎の多い部分もある「エスター」ですが、作品中にエスターについて隠された部分があります。ここでは、エスターの秘密について解説していきます。
リボンの秘密
エスターは、首と手首にリボンを巻いています。孤児院のシスター・アビゲイルやケイトは個性やエスターのこだわりだと考えていたのですが、実は精神病院に入院している時に拘束具をはめていたため、跡になっていました。
狂暴性の高いエスターを抑えるために強く締め続けていたことで、消えない跡になり、それを隠すために可愛いリボンを巻いていました。そのため、入浴を見られるのを拒んだり、リボンに触れられると発狂したりしていたのです。
入れ歯の秘密
エスターは歯医者に行くのを拒んでいました。その理由は入れ歯だからです。
入れ歯をしていた理由は、既に33歳の成人女性であることが永久歯から分かってしまうこと、また入れ歯で手入れされていない歯を隠していたことが分かります。
病気の秘密
エスターは作品中でホルモン異常による病気だと描かれています。エスターのように体は子どもでも知能が発達していく病気が実在するのか気になると思います。
このような病気はわずかに存在するもので、世界中に小人症や発育不全によるケースがあるようです。また病気に関しては生まれつきとなります。
聖書の写真の秘密
エスターが持ち歩いている聖書の中に男性の写真がありますが、この写真は以前の養父の写真です。養父を誘っては断られると殺害して放火したこともあります。
恋心のような感情は殺した後も続いていたようで、写真を大切に持っていたと考察できます。
エスター自身の秘密
エスターは、自分自身の病気によって9歳の姿から成長することができません。心は大人なのに子どもに見られてしまうこと、また知識があるものの誰かと愛し合うこともできないのがコンプレックスだったようです。
前回の養父に対しても誘惑したが失敗したため殺してしまったことを考えると、エスターは誰かに愛されたかったのかもしれません。彼女を子どもとしてではなく、大人の1人の女性として見て欲しかったと考えられます。
このようなことを考えると、エスターは普通に人生を歩みたかったのかもしれません。
「エスター」は気まずい映画?その理由は
「エスター」は一部から気まずい映画とされています。その理由は、内容に性的な表現が含まれているからです。
映倫やメーカーによる自主規制でR15指定されていて、作品中には性的な要素が含まれています。例えばジョンとケイトが台所で愛し合っていた所、エスターがジョンに迫る所、ダニエルがセクシーな本を床下に隠している所などがあります。
しかし、性的な部分だけが気まずいからR15指定されているのではありません。作品中の猟奇的な所や残虐な所もR15指定だと考えられます。
「エスター」は実話!?その真相は?
「エスター」は実話ではないかという噂があります。その真相を知りたい人もいるでしょう。
「エスター」が実話と噂される理由は、同じような事件が行ったことで「リアルエスター事件(ナタリア事件)」と呼ばれたからです。この「リアルエスター事件(ナタリア事件)」は、エスターと同じように8歳の少女が引き起こしたものとなります。
2010年にバーネット夫婦が、ウクライナ出身の少女を養子として迎えることになりました。この少女は小人症で身長が90㎝程度しかありません。
少女の名前はナタリアで歩くのも困難な状態だったようです。しかし、一緒に住んでみるとウクライナの言葉は話せないものの英語は上手に話し、なまりもありませんでした。
趣味は8歳とは思えないほどの内容で月経などもあったそうです。何かが違うと感じた夫婦は、病院でナタリアについて調べてもらうことにしました。
すると、実際の年齢は14歳以上ではないかという結果が出たのです。この結果を知った後も夫婦はナタリアを育てることにしたのですが、検査結果を知ったナタリアは夫人のコーヒーに漂白剤を入れたり、バスルームに血で殺すと書いたり、周囲の人に危害を加えるなどの狂った行動を起こすようになりました。
あまりの奇行に驚いたバーネット夫婦は、ナタリアを残してカナダに移住しますが、残してしまうと扶養義務の放棄に該当するため、ナタリアが成人していることを証明しようと考えます。
2012年にナタリアの本当の年齢が22歳であることが認められたため、扶養義務がなくなり、ナタリアを置いてカナダへ移住しました。しかし、2013年ナタリアからの連絡が途絶え、2019年になぜか育児放棄でバーネット夫婦が逮捕されることになったのです。
そこには、ナタリアを養子として引き取りたいと考えるマンズ夫婦がいて、ナタリアが未成年であるという法的な判断が欲しかったようです。判決はナタリアが成人女性であるというものでしたが、マンズ夫婦とナタリアは一緒に生活を送っているそうです。
「エスター」の続編が決定!?ネタバレを含めて紹介!
世界を恐怖に陥れた「エスター」ですが、続編が公開される情報があります。ここでは、ネタバレを含めて紹介していきます。
「エスター」続編のタイトルは「Orphan: First Kill」です。内容は、エスターが精神病院を向けだして行方不明になった資産家の娘になりすましてアメリカに渡るもののようです。
監督は前作と同じジャウム・コレット=セラで、エスター役も引き続きイザベル・ファーマンが演じるようです。エスターの過去の内容なので、若いエスターを演じることになりますが、特殊メイクや撮影方法を工夫して行われるようです。
世界中がコロナウイルスの影響を受けているため、公開時期は未定になっていますが、エスター好きには公開日が楽しみでしょう。
エスターネタバレまとめ
「エスター」は、サイコホラージャンルの映画です。見た目は9歳なのに実際は33歳の女性であるエスターは、どこかおかしく本性を知っていくうちに怖さを感じるのが特徴です。
幽霊やゾンビなどとは違った怖さがあり、ラストの衝撃も大きく誰もが驚くような内容になっています。子どもだと思っていたらという部分の怖さや猟奇的な内容も含まれていることからR15指定の作品となっています。
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