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【考察】ニュー・シネマ・パラダイス|完全版・劇場版の違いは「愛と友情」

やぐち

更新日:2021-8-27

<プロモーション>

『ニュー・シネマ・パラダイス』は、「劇場版/完全版」と2つのパターンがある事を知っていますか?

 

長尺の「完全版」と編集が加わった「劇場版」では、ラストやアルフレードの印象が大きく異なります。

 

この記事では、2つを比較して考察。

「カットされてしまったシーンが気になる!」「劇場版/完全版は具体的に何が違うの?」といった疑問が解消されます。

 

▼記事のざっくりした内容

・劇場版/完全版のテーマや違い

・劇場版/完全版「カットシーンを含む」あらすじ

・劇場版/完全版/共通シーンの「3パターン別考察」

・ニュー・シネマ・パラダイスの「時代背景や舞台」を考察

 

「エレナとの再会が描かれている完全版」のネタバレだけ知りたい方は、【+完全版】と表記された見出しから確認できますよ。

 

「あったかもしれない未来」「トトとエレナの遠距離恋愛はどのくらい遠かったの?」など、ストーリーに関する情報や考察が満載です!

【考察 解説】ニュー・シネマ・パラダイス|完全版・劇場版の違い

 

ニューシネマパラダイスジャケット

 

映画『ニュー・シネマ・パラダイス』は、日本では2パターン公開されています。

 

長尺の「完全版」と、編集が加わった「劇場版」です。

 

1988年にイタリアで公開された「完全版」は、興行成績が良くなかったため「エレナとの再会シーン」を全カット。

 

「劇場版」として上映時間が短くなった『ニュー・シネマ・パラダイス』が、世界的に公開されました。

 

 

劇場版

(SUPER HI-BIT EDITION デジタル・リマスター版)

完全オリジナル版

(ディレクターズ・カット版)

上映時間 123分(124分) 173分
視聴後の印象 友情/シネマ・パラダイスがメイン 愛/人生がメイン

大幅にカットされたシーン


(ラストは共通)

なし

青年期:エレナとすれ違ってしまった理由


中年期:エレナとの再会

おすすめな人

・余韻を楽しみたい

・ノスタルジーな雰囲気が好き

・モヤモヤしたくない人

・綺麗ごとだけじゃない物語が好き

 

様々な公開パターンに加え、見分けにくいので「上映時間」で確認するのがおすすめです。

 

 

【劇場版 考察】ニュー・シネマ・パラダイス|テーマは “友情”

 

ニューシネマパラダイス_劇場版画像

 

「劇場版」は、“シネマ・パラダイス(劇場)” や “アルフレードとの友情” に焦点が当てられています。

 

劇場版でトトを占めている要素は、以下の3つ。

 

・ニュー・シネマ・パラダイス

・アルフレード

・エレナ

 

劇場版では、主にエレナとの場面がカットされています。そのため、恋愛に比重を置きすぎないストーリー展開に。

 

親心を強く感じるアルフレードの言動もカットされており、完全版よりも「2人の純粋な友情」が楽しめます。

 

「劇場版」はノスタルジーな雰囲気と、ニュー・シネマ・パラダイスで過ごした美しい記憶が魅力です。

 

【完全版 考察】ニュー・シネマ・パラダイス|テーマは “変わらぬ想い”

 

ニューシネマパラダイス_完全版画像

 

「完全版」は、“トトの人生” や “変わらぬ想い” に焦点が当てられています。

 

大きな違いは、エレナとの再会。トトの人生がギュッと詰まっているのが「完全版」です。

 

ストーリーに大きな影響は与えませんが、毎日を積み重ねるような場面はラストの印象を変えます。

 

おとぎ話の答えやトトの考えが伺える描写、アルフレードがついた嘘、エレナの現在。

 

ノスタルジーだけではない、人間味溢れる『ニュー・シネマ・パラダイス』になっています。

 

【考察 解説】ニュー・シネマ・パラダイス|劇場版+完全版 あらすじ

 

ニューシネマパラダイス_あらすじ画像

 

「劇場版」 ニュー・シネマ・パラダイスを軸に、あらすじを解説。

カットされてしまった 「完全版」のシーンを補足しながら考察します。

 

ラストシーンに大きく影響を与える “完全版だけのお話” 

は、見出しに【+完全版】と記載。完全版のネタバレを含むので、気をつけてくださいね。

 

 

現在・中年期|アルフレードの死

 

映画監督サルヴァトーレ・ディ・ヴィータ(トト)は、「アルフレードが亡くなった」と故郷の母親から知らされます。

訃報を聞いたトトはベットに横になり、アルフレードとの思い出にふけるのでした。

 

過去・幼少期|キスシーンと怒りっぽい映写技師

 

ニューシネマパラダイス_シチリア島田舎画像

 

第二次世界大戦が終戦してまもない頃のことです。

 

幼い少年トトは、シチリア島の僻地に母親と妹の3人で暮らしていました。

出兵した父親の消息は不明のまま、貧しい生活をおくる日々。

 

唯一の楽しみと言えば、村の中心にある映画館「シネマ・パラダイス」だけでした。

 

ニューシネマパラダイス_検閲ベル画像

 

シネマ・パラダイスでは、海外の輸入映画や男女の恋模様を描いた作品などを放映。

 

キスシーンを含むラブシーンは神父が検閲し、フィルムを切ってから上映していました。

 

キスシーンを見るたびに、小さなベルをチリンチリンと鳴らす神父。

言いつけを破って映画館に忍び込んだトトは、その様子を楽しそうに眺めていました。

 

映画が大好きなトトは、作品だけでなくネガフィルムや映写機・映写技師の仕事に興味津々!

 

シネマ・パラダイスの映写技師アルフレードに、「ここ(映写室)には来てはいけない」と注意されても通うのを止めません。

 

しびれを切らしたアルフレードは、トトが欲しがる細切れになったネガフィルム(神父の検閲により編集されたキスシーン)をあげる代わり「もう来るな!」と取引します。

 

当時のネガフィルムは燃えやすかったため、アルフレードは「フィルムは全部お前にやる。だが、私が保管する!今度来たらぶん殴るぞ」と条件を付けてトトを帰すのでした。

 

過去・幼少期|50リラと自転車 トトとアルフレード

 

ニューシネマパラダイス_50リラ画像

 

母親から「50リラで牛乳を買ってきてほしい」とお使いを頼まれたトト。しかし、トトはそのお金で映画を見てしまいます。

 

シネマ・パラダイスを出ると母親が待ち構えており、トトに「どこにいたの?牛乳は?お金は?」と聞きます。

 

思わずトトは「盗られた」と嘘をつき、怒った母に「映画を見たんでしょ!」と何度もぶたれるのでした。

 

そこに通りかかった映写技師・アルフレードと劇場案内人・イグナチオ。

見かねたアルフレードは、「タダで入れてやった。金は映画館で落としたのかも。」とトトを庇います。

 

そして「今日の落し物は?」とイグナチオに聞き、落とし物を1つ1つ確認。

アルフレードは自らのポケットからさりげなく50リラを取り出し、母親に渡すのでした。

 

ニューシネマパラダイス_自転車画像

 

ある日、神父のお手伝いでお葬式に出たトト。

くたくたになりながら歩いて帰宅していると、自転車に乗ったアルフレードとすれ違います。

 

歩きたくなかったトトは悪知恵を働かせ、「足が痛い」とその場に倒れ込むのでした。

 

そんなトトを見てニヤリと笑うアルフレード。

自転車に乗せてもらったトトは、「もう映写室に行かないから、友達になろうよ」とアルフレードに提案します。

 

家に帰宅すると、幼い妹が大泣きし母親も大騒ぎ。トトが集めていたフィルム達が燃えて、家が火事になる寸前でした。

 

母親は、「また映画のせい!」とトトを厳しく𠮟りつけます。

 

そして、「この子が話すのは、映画とあんたのことだけ!トトを映画館にもう入れないと誓って!」とアルフレードに八つ当たり。
 

アルフレードも「誓うよ」と、トトの母親と約束するのでした。

 

過去・幼少期|カンニングと見習い映写技師トト

 

ニューシネマパラダイス_映写室画像

 

ボヤ騒ぎを起こし母親に酷く叱られたにも関わらず、トトはパラダイス・シネマに通うことを止めません。

 

一方アルフレードは約束を守り、頼まれてもトトを映写室には入れませんでした。

 

それでもトトは映写室に入り、アルフレードと話がしたいので悪知恵を働かせます。

アルフレードの奥さんから荷物を預かり、届け物ついでに映写室に入ることに成功。

 

トトは「フィルムをくれたのはアルフレードではない」と母親に話したこと、「フィルムが燃える」なんて冗談だと思ってたことを、アルフレードに打ち明けます。

 

それを聞いたアルフレードは、自分が映写技師になった頃の話をトトに聞かせるのでした。

 

トトは「映写機の使い方を教えてほしい」とお願いしますが、アルフレードは断ります。

 

意地悪ではなく「トトには自分の様な人生を歩んでほしくない」という気持ちからでした。

 

しかし、好奇心旺盛のトトには忠告は届きません。

アルフレードがトイレに行っている隙に、トトは映写機を操作してしまいます。

 

怒ったアルフレードは、シネマ・パラダイスからトトを追い出すのでした。

 

ニューシネマパラダイス_テスト画像

 

学校でテストを受けるトト。

そこに、小学校卒業試験の受験者として複数の大人がやってきます。その中に、アルフレードがいました。

 

アルフレードは試験が難しいようで、斜め前に座ったトトに「助けてくれ。教えてくれよ。」と頼みます。

 

トトは何度も断りますが、またもや悪知恵を働かせ「映写技術を教えてもらう」ことを条件に試験の答えを教えるのでした。

 

過去・幼少期|火事とニュー・シネマ・パラダイス

 

アルフレードから映写技術を学び、楽しく充実した日々をおくるトト。

フィルムの燃えやすい箇所や対処方法を覚え、徐々に業務を任せてもらえるようになります。

 

映写のお手伝いをしていたトトは、戦争の有様を伝えるニュースフィルムの「戦死リスト」に父親を発見します。

 

訃報を聞き泣く母親と手をつなぎながら、トトは映画のポスターに目を輝かせるのでした。

 

ニューシネマパラダイス_火事画像

 

ある日、シネマ・パラダイスは満員満席。劇場に入れなかった客たちは、締め出されてしまいます。

 

そこで、客たちは「アルフレード頼むよ!映画を見せてくれ」と懇願。

 

“群衆は考えない” “何をするか分からない” と映画のセリフを引用し、劇場の斜向かいに建っている住宅の壁に映画を映し出します。

 

広場が大きな映画館となり、観客もトトも大興奮。

 

すると壁に映ったシーンが、ブワッと白くなり途切れてしまいます。フィルムが燃えていたのです。

 

いつもなら映写機から目を離さず直ぐに対処できましたが、この日はトトは広場。

 

アルフレードはシネマ・パラダイスの窓から、壁に映った映画を楽しんでいました。

 

アルフレードはすぐに映写機の火を消そうと試みますが、どんどん燃え広がり消すことができません。

 

炎の勢いは増すばかりで、ついにアルフレードは映写室で倒れしまいます。

 

駆け付けたトトは小さな体で、大きなアルフレードを必死に外へ運ぶのでした。

 

トトのお陰で一命をとりとめたアルフレードでしたが、火傷により視力を失ってしまいます。

 

ニューシネマパラダイス_ニューシネマパラダイスイメージ画像

 

シネマ・パラダイスは全焼し、町の娯楽が無くなったと悲しみにふける住人。

クジで大金を当てた男がその様子を見て、新しい映画館を建てます。

 

その名も「ニュー・シネマ・パラダイス」

 

「ニュー・シネマ・パラダイス」では、トトが映写技師を担い給料も支払われることになりました。

 

シネマ・パラダイスでは禁止されていたキスシーンを含むラブシーンが、解禁!

劇場は「キスしてるぞ!」と拍手喝采の大盛況です。

 

アルフレードは映写室で働いているトトを訪ね、「お前のやるべき仕事ではない。別の大きな仕事が待っている」と告げるのでした。

 

過去・青年期【+完全版】|運命の相手エレナとおとぎ話

 

ニューシネマパラダイス_エレナイメージ画像

 

すっかり成長し青年になったトト。ニュー・シネマ・パラダイスは、相変わらず大盛況です。

 

その頃になると映画技師の仕事だけでなく、カメラを使って映像の撮影を楽しむトト。

駅で映像を撮るためカメラを覗いていると、偶然映った少女に心を奪われてしまいます。

 

眼の青い、とても美しい少女です。トトはその美しい少女を目で追い、映像に残すのでした。

 

その少女はトトと同い年の転校生。トトと仲間内でその少女を観察していると、彼女は落とし物をします。

 

少女に好意を抱いていたトトとボッチャは、どっちが落とし物を届けるか競争です。見事落とし物を届けたのは、トト。

 

そこでトトは初めて少女と話し、自己紹介をします。少女はエレナという名前でした。

 

ニューシネマパラダイス_完全版ネタバレ

 

カットされてしまった「1回目の告白」シーン

 

トトは勇気を振り絞り、エレナに電話で告白をします。しかし、電話に出たのはエレナの母親。

 

トトはエレナの母親と気が付かずに告白してしまい、失敗に終わるのでした。

 

ニューシネマパラダイス_上映画像

 

学校から帰宅したトトは、映写室で先日撮ったフィルムをアルフレードと一緒に見ます。

 

トトは撮ったフィルムの場面を、アルフレードに説明。場面が変わると途端に黙り込みます。

 

そこに映っていたのは、先日駅で撮ったエレナでした。

 

アルフレードは「なぜ黙った?何の場面だ?」と聞きますが、トトは「何も見えない。すっかりボケてる」と返答。

 

アルフレードはすかさず「女か?女だな!」と喜びます。トトが恋していると察したのです。

 

アルフレードはトトが青い眼の少女に恋をしたと知ると「青い眼は一番手ごわい。絶対に友達にはなれない。恋する男は苦しむ。」と映画のセリフを引用。

 

トトの恋に喜びつつも、忠告をするのでした。

 

ニューシネマパラダイス_おとぎ話画像

 

ある日アルフレードは、エレナで頭がいっぱいのトトにおとぎ話を聞かせます。

 

美しい王女に恋した兵士のお話です。身分違いの恋でしたが、兵士は王女なしでは生きていけないほど恋焦がれていました。

 

王女は彼の告白を聞き、「100日の間、昼も夜も私のバルコニーの下で待ってくれたら、あなたのものになります」と兵士に伝えます。

 

兵士はバルコニーの下で、雨が降っても雪が降っても待ちました。

干からび真っ白になっても、王女を待ちました。99日目の夜、兵士はバルコニーの下で待つのを止めてしまいます。

 

アルフレードは「何故だか分からない。答えが分かったら、教えてくれ。」とトトに告げるのでした。

 

過去・青年期【+完全版】|帰ってこないボッチャ

 

ニューシネマパラダイス_自転車画像

 

大人気映画「絆」がニュー・シネマ・パラダイスで上映されます。

絆は1部2部と構成が分かれているにもかかわらず、1本しかフィルムが手に入りませんでした。

 

そこで、隣町とフィルムを共有。1部をニュー・シネマ・パラダイスで上映しているときは、隣町は2部を上映していました。

 

この橋渡し役をボッチャが務めます。

 

ニュー・シネマ・パラダイスで上映が終わると、ボッチャは自転車を走らせ隣町までフィルムを郵送。

 

隣町で上映したフィルムを、ニュー・シネマ・パラダイスに届ける流れでした。

 

しかし、ボッチャは30分待っても帰ってきません。観客は待たされた挙句、中々続きが見れないのでトトや館長にクレームを入れます。

 

ニューシネマパラダイス_完全版ネタバレ

 

● カットされてしまった「ボッチャと娼婦の戯れ」シーン

 

トトは、あまりにもフィルムの到着が遅いためボッチャを捜索。すると、ボッチャは草むらで娼婦と楽しんでいます。

 

トトは彼らを気にしつつもフィルムを確保し、ニュー・シネマ・パラダイスに戻るのでした。

 

この後、あの光景が忘れられなかったトトは同じ娼婦にお世話になります…。

 

過去・青年期【+完全版】|2度の告白とエレナを思い続けるトト

 

ニューシネマパラダイス_告解室画像

 

トトはアルフレードと一緒に、教会を訪れます。エレナが告解室に入っていくところを見かけ、悪知恵を働かせるトト。

 

アルフレードに神父を引き留めておいてほしいとお願いし、呆れながらも嬉しそうに頼みを引き受けます。

 

神父がアルフレードの話を聞いている隙に、告解室に入るトト。

 

エレナが懺悔を始めようとすると、「サルヴァトーレだ。君と話がしたかった。君は美しい…。」と愛の告白をします。

 

ニューシネマパラダイス_完全版ネタバレ

 

● カットされてしまった「エレナがトトの好意に気が付いていた」シーン

 

エレナはトトに、「なんで(私と母親の)声を間違えたの?」と1回目の告白について聞きます。

 

なので、この時点でエレナはトトの好意を知っていました。その上で、2回目の告白を聞き「断った」のです。

 

ニューシネマパラダイス_失恋画像

 

その告白にエレナは「(あなたは)良い人だけど、愛していないの」と返答。

 

トトは「愛してくれるまで待つ」とおとぎ話を模倣し、「気持ちが変わったら窓を開けて」と毎日エレナを待つのでした。

 

おとぎ話以上にエレナを待ち続けるトト。エレナは新年を迎えても窓を開けてくれませんでした。

 

虚しくなったトトは、ニュー・シネマ・パラダイスに向かいます。

エレナを待ち続けた日々を記録していたカレンダーを、ビリビリと破り捨て恋の終わりのようでした。

 

失恋しどん底の中、映写室に「サルヴァトーレ」と呼ぶ声が…。

映写室にエレナが現れ、ついにトトの想いは実るのです。見つめ合う2人は、キスをし幸せな日々を送ります。
 

過去・青年期【+完全版】|遠距離恋愛と兵役

 

ニューシネマパラダイス_エレナ手紙

 

港近くで野外映画が開催される頃、トトはエレナからの手紙を読んでいます。

どうやら、2人は遠距離恋愛になってしまった模様。

 

エレナは大学進学のため、10月からパレルモに引っ越す予定でした。それでも、隙をみてニュー・シネマ・パラダイスに会いに行くと約束。

 

トトは野外映画会場の港で寝そべっていると、急な雨が降り夏の終わりを告げます。すると、エレナが雨の中現れキスをするのでした。

 

ニューシネマパラダイス_完全版ネタバレ

 

● カットされてしまった「エレナの夏の予定とプチ遠距離事情」シーン

 

エレナは夏休みの間、トスカーナに行ってしまいます。トトは映画技師の仕事があるため、エレナの元へ遊びに行けません。

 

そのため、トトは夏が終わるのを心待ちにしていたのです。

 

港でトトが読んでいた手紙は、トスカーナにいるエレナから。夏の間、2人は文通で愛を育んでいたんですね。

 

ニューシネマパラダイス_出兵画像

 

季節は変わり、秋。トトは手紙で「出兵すること、金曜の朝に旅立つこと」をエレナに告げます。

 

それを聞いたエレナは「木曜朝5時のバスで、ニュー・シネマ・パラダイスに会いに行く」と返事をくれたのでした。

 

しかし、約束の時間になってもエレナはやってきません。トトはエレナに会えないまま、出兵します。

 

出兵先から何度も手紙を書き電話をしますが、エレナから返事はありません。

彼女は引っ越してしまったようでした。

 

ニューシネマパラダイス_完全版ネタバレ

 

● カットされてしまった「エレナを迎えに行く」シーン

 

約束を守れない事情があるのかも…と思ったトトは、エレナの家に会いに行きます。

 

映写室をアルフレードに託し会いに来たものの、エレナは不在。

家は散らかり、母親しかいませんでした。

 

ニュー・シネマ・パラダイスに帰宅したトトは、アルフレードに「エレナは来なかった?」と聞きます。(アルフレードは「来ていない」と嘘をつきます。)

 

上映が終了し観客が騒いでいたため、慌てて次のフィルムを取り出すトト。

 

エレナが書置きした検査書の上に、別の検査書を重ねてしまいメッセージに気が付けませんでした。

 

過去・青年期【+完全版】|アルフレードの言葉と旅立つトト

ニューシネマパラダイス_海辺画像

 

出兵を終え、トトは帰郷。久しぶりにアルフレードと会い、話をします。

アルフレードはすっかり家からでなくなっていました。

 

海へ行きたいというアルフレードの要望で、浜辺を歩く2人。

ニューシネマパラダイス_完全版ネタバレ

 

● カットされてしまった「トトが思うおとぎ話の答えを語る」シーン

 

トトは以前アルフレードから聞いた、おとぎ話の答えを話し始めます。

 

「兵士が待たなかった理由が分かった。あと一晩で王女は彼のものだ。でも王女が約束を破ったら、彼は絶望で死ぬだろう。99日でやめれば、王女は自分を待っていたと思い続けられる。」

 

ニューシネマパラダイス_旅立ち画像

 

アルフレードは「村を出ろ。ここにいると自分が世界の中心だと感じる。一度村を出たら、長い月日帰ってくるな。」とトトに告げます。

 

いつも映画から名言を引用するアルフレードが、自らの言葉で助言した唯一の出来事でした。

 

駅のホーム、トトを見送るアルフレードは「帰ってくるな。私たちを忘れろ。ノスタルジーに惑わされるな。帰ってきても家には迎えてやらない。」と念を押し強く抱きしめ合います。

 

トトが聞いた最後のアルフレードの言葉は「自分のすることを愛せ。子供のとき、映写室を愛したように」でした。

 

現在・中年期【劇場版】|30年ぶりの故郷とニュー・シネマ・パラダイス

 

ニューシネマパラダイス_葬式画像

 

アルフレードの訃報を聞いたトトは、30年ぶりに帰郷します。

飛行機で1時間で帰ってこれる故郷。母親は夢中でトトを迎え入れます。

 

トトのためにリフォームされた自宅には、トトの部屋が用意されいました。

 

映写機や映画の写真、アルフレードとトトが手を繋いだ写真など懐かしい品物ばかりです。

 

葬儀に参列するとアルフレードの奥さんが、トトに形見があると言います。

 

参列中に通りかかったニュー・シネマ・パラダイスは廃墟同然でした。

 

辺りを見渡すと、同じく参列者の中に“ニュー・シネマ・パラダイスで出会い恋におちた夫婦” “「絆」を何度も見に来ていた観客” や館長など、懐かしい面々と再会します。

 

館長曰く、ニュー・シネマ・パラダイスは6年前に閉館。

 

テレビやビデオが復旧したことが原因でした。土曜日にニュー・シネマ・パラダイスは壊され、公営の駐車場になると教えてくれます。

 

アルフレードの奥さんから渡された形見は、フィルムでした。

トトは奥さんに「(アルフレードは)僕に会いたがっていた?」と聞くと、「いいえ。一度も」と答えます。

 

ニューシネマパラダイス_フィルム画像

 

トトは廃墟になったニュー・シネマ・パラダイスを訪れ、初めてエレナを見かけた時に撮影した映像を映し出します。

 

トトが物思いにふけりながらエレナを眺めている姿を、劇場に迎えに来たトトの母親が見ていました。

 

自宅に帰宅するとトトは、理由も離さず故郷を離れ長く帰ってこなかったことを母親に詫びます。

 

母は「私が聞かなかったんだもの。お前のすることは正しい。聞かなくてもわかる」と肯定しながらも、1つの想いを口にします。

 

「電話をするといつも違う女の人が出る。それなのに、心から(トトを)愛してくれている声をまだ聞いていない。お前が誰かを愛して、落ち着いてくれれば嬉しいわ。」

 

「この村にあるのは、まぼろしだけ」とトトに告げます。

 

土曜日。とうとうニュー・シネマ・パラダイスは壊されてしまい、それを見届けるとトトはローマに帰るのでした。

 

ニューシネマパラダイス_ラストあらすじ画像

 

ローマの映画館(スタジオ)を貸し切り、アルフレードから貰った形見のフィルムを上映するトト。

 

フィルムの中身は、神父が検閲して切り取られたキスシーンを繋ぎ合わせたもの。

アルフレードが「フィルムは全部お前にやる。だが、私が保管する!」と約束したフィルム達です。

 

繋ぎ合わせたキスシーンを見たトトは、微笑みながら涙を流すのでした。

 

現在・中年期【完全版】|エレナからの手紙と再会

 

ニューシネマパラダイス_完全版あらすじ画像

 

トトが葬儀に参列した後、まるまるカットされてしまったのが「エレナとの再会」です。

 

トトは参列の後、カフェに入り立ち飲み。ふと外を見ると、エレナに似た少女を発見します。

 

エレナの生き写しの様な少女の自宅で待ち伏せていると、車に乗って出てきた父親らしき男性。

 

おでこの痣から父親はボッチャだと察し、エレナとボッチャが結婚したことを知るのでした。

 

トトはエレナに会おうと電話をしますが、「お互い年を取りすぎた」とエレナに断られてしまいます。

 

再会が叶わず、海辺で物思いにふけるトト。

 

そこに、エレナが現れます。1度は拒んだものの、トトが行きそうな場所を覚えており会いに来たのです。

 

ニューシネマパラダイス_エレナ手紙イメージ画像

 

2人は過去の思いをぶつけ合い、「出兵前になぜ約束通りに会いに来てくれなかったのか」という話題に。

 

エレナは、「アルフレードに伝言を頼んだ」と言います。

 

当時、エレナは予定より早くパレルモに引っ越さなくてはいけない状況でした。両親とは喧嘩をし、大変な状況だったと言います。

 

エレナは両親の考えに従う事を条件に、ニュー・シネマ・パラダイスを訪れていました。

 

「(トトに)会えば何とかできると思ったの。2人で逃げてしまおうと…」と駆け落ちする覚悟を決めて、会いに来ていたのです。

 

エレナは父親と一緒にニュー・シネマ・パラダイスを訪れましたが、トトは不在。アルフレードしかいません。

 

その時、トトはエレナの自宅を訪れていました。2人はすれ違ってしまったのです。

 

エレナには時間がなかったため、アルフレードにトトへの想いを託します。

 

伝言を承知してくれたアルフレードですが、優しくエレナに「君ならわかってくれるはずだ…。彼のために別れてほしい。これからも恋はいくつも生まれるだろうが、トトの将来は一つだ」と告げるのです。

 

一旦は納得したエレナですが、トトへの想いは大きくこっそり書置きを残すのでした。

 

エレナはニュー・シネマ・パラダイスにあったフィルムの検査書に、友達の住所(引っ越し先が未定の為)と「あなただけを愛してます。他の人は愛しません。誓います」というメモを残していました。

 

ニューシネマパラダイス_完全版画像

 

エレナは勧められた縁談を断り、誓い通りずっとトトを待っていたのです。

 

過去の行き違いを知った2人は、時間を取り戻すように愛し合いました。

 

「最初はアルフレードを恨んだけど、今はこれでよかったと思っている」とエレナは言います。「私と結婚していたら、今のあなたはいなかった」と。

 

トトはローマに立つ日の朝、エレナに再び電話をします。エレナは「あれ以上のフィナーレはない」と言いますが、トトは諦めないことを誓うのでした。

 

ニューシネマパラダイス_ラストあらすじ画像

 

ローマの映画館(スタジオ)を貸し切り、アルフレードから貰った形見のフィルムを上映するトト。

フィルムの中身は、神父が検閲して切り取られたキスシーンを繋ぎ合わせたもの。アルフレードが「フィルムは全部お前にやる。だが、私が保管する!」と約束したフィルム達です。

 

繋ぎ合わせたキスシーンを見たトトは、微笑みながら涙を流すのでした。

 

【劇場版 考察】ニュー・シネマ・パラダイス|ラストシーンの涙と微笑み

ニューシネマパラダイス_ラスト考察画像

 

アルフレードの形見として貰ったフィルム。繋ぎ合わせたキスシーンを見て、トトは何を思ったのか考察します。

 

劇場版の軸になっているのは「アルフレードとの絆」「ニューシネマパラダイスでの思い出」「エレナとの失恋」です。

 

もちろん故郷や過去を懐かしむ気持ちも多かったと思いますが、「アルフレードの愛」が心に溢れたのではないでしょうか。

 

・幼少期の約束した「キスシーンのフィルム」を死ぬまで守ってくれたこと

・死ぬ間際までトトの話ばかりしていたのに、一切会おうとはしなかったこと

・アルフレードの事が大好きだということ

・アルフレードはもういないのだということ

 

30年の時を経て鮮やかによみがえったノスタルジーに涙し、アルフレードの温かな愛に微笑みかけたのだと思いました。

 

 

【完全版 考察】ニュー・シネマ・パラダイス|なぜアルフレードは噓をついた? 

 

アルフレードは、2つの嘘をつきました。1つはエレナに、もう1つはトトに。理由は「トトの将来のため」です。

 

2人についた嘘

 

エレナについた嘘:「トトに伝言しろというなら伝えよう。」と約束したにも関わらず、伝言は疎かエレナが会いに来た事さえも隠した。

 

トトについた嘘 :エレナの家から帰宅したトトが「エレナは来なかった?」と聞くと、来ていないと返答。

 

完全版では、トトへの親心が強く感じるアルフレードの言動。

トトは一度どん底に落ち故郷へのしがらみを断ち切ったことで、未来へ旅立つ事ができたのです。

 

アルフレードは故郷を「邪悪な土地」と言ったり「自分の様な人生を送ってほしくない」と、トトに伝えています。

 

この土地から出ることなく、映写技師として生きるしかなかったアルフレード。

自分の叶えられなかった望みと、トトを思う強すぎる気持ちからだったのではないでしょうか。

 

また、アルフレードはトトの恋心をうれしく思っていた半面「一時の恋愛(子供の恋)< 将来」と決めつけていたような気がします。

 

現に、エレナに「炎はやがて灰になる。大恋愛もいつかは終わる」と告げていますよね。

 

 

【劇場版・完全版 考察】ニュー・シネマ・パラダイス|アルフレードの思いに違いはあるか?

ニューシネマパラダイス_アルフレード考察画像

 

カットされてしまった場面によって、アルフレードの印象が異なります。

 

トトを思う気持ちに変わりはないですが、劇場版では「親友・悪友のような絆」

完全版では「親子のような強い気持ち」が感じられました。

 

● 劇場版で分かる「友達のような関係」とシーン

卒業試験を受けに来たアルフレードが、カンニングさせてくれと頼む場面です。

 

試験官に注意されても、必死に「答えを見せてくれ!」と頼むアルフレード。

答えを教える代わりに、映写室の出禁を解いてもらう取引を持ちかけるトト。

まさに悪友だとは思いませんか?

 

親でもなく家族でもなく「同じ目線」で、2人は絆を深めていたのだと感じました。

 

● 完全版で分かる「親子のような関係」とシーン

トトの将来を案じるあまり、エレナとの恋を妨害する一連の場面です。

 

トトとエレナの恋を妨害したアルフレードは、過保護な親のように思えます。

自分とトトを重ね、大きすぎる愛で行動を支配しているように感じました。

 

友達に近い関係なら、若い2人を信じて応援したのではないでしょうか…。

 

カットされてしまったシーンによって、セリフを比べても印象が異なります。

アルフレードが「自分の様な人生を送ってほしくない」とトトに伝えるシーンです。

 

劇場版のアルフレードはトトの人生に手を加えていないので、純粋なアドバイスに聞こえます。

 

しかし、完全版では「嘘をついたり」「トトと別れてほしい」とエレナに告げたりと、アドバイスではなく少々説教臭く感じます…。

 

 

【劇場版・完全版 考察】ニュー・シネマ・パラダイス|あったかもしれない「エレナとの未来」

ニューシネマパラダイス_考察画像

 

映画監督になったトト。ボッチャと結婚し、娘と3人で暮らすエレナ。

あの日、エレナの書置きに気が付いていたら「あったかもしれない未来」を考察しました。

 

エレナが知らない町で知らない人と結婚していたら、ありがちな未来に納得できたはずです。よりによって、ボッチャ!

 

トトと変わらぬ時間を同じ故郷で過ごし、エレナに一目ぼれした2人の学校生活。

 

トトとボッチャには大きな “違い” がありません。ボッチャはエレナと同じ大学だっただけです。

 

加えて、エレナは駆け落ちする気持ちでトトに会いに来たこと、縁談を断りトトを待っていたことが「完全版」で判明します。

 

あの日、トトがエレナの書置きに気が付いていたら…。アルフレードが噓をつかなかったら…。

 

「あったかもしれない未来」と「現在」では、どちらが幸せなのか分かりません。

 

しかし、エレナがボッチャを選んだことで「トトの手から零れ落ちた幸せ」を表しているように感じました。

 

 

【考察 番外編①】ニュー・シネマ・パラダイス|カットされなかった謎

 

トトとエレナの再会が全てカットされてしまったのに、何故このシーンは生き残った…?という場面を考察しました。そう「広場の男」です!

 

 

「俺の広場だ!と主張し続ける男」は、村を出なかった末路を表しているのかなと思いました。

 

「村を出ろ。ここにいると自分が世界の中心だと感じる。何もかも不変だと感じる。」というアルフレードのセリフ。

 

この言葉を体現しているのが、「広場の男」ではないでしょうか。

 

誰のものでもない広場を「俺の広場だ!」と自分中心のふるまいをしたり、ハッピーエンドの映画を気に食わない!と腹を立てたり…。

 

まるで、あの男が世界の中心のようです。

 

また、トトが幼いころから30年ぶり帰郷した現在にわたって「俺の広場だ」と主張を続ける変化のなさ。

 

町も人も動き続けていることに、広場の男は気が付いていません。

 

極端ではありますが、アルフレードの思う現実が「広場の男」に凝縮されていると感じました。

 

 

【考察 番外編②】ニュー・シネマ・パラダイス|舞台と時代背景

 

トトが生まれ育った故郷は、イタリアの「パラッツォ・アドリアーノ村」がモデルと言われています。また、時代は第二次世界大戦後です。

 

 

・幼少のトトが「戦争が終わったのにパパは帰らないの?」と聞く

・フィルムのニュースで戦死者リストを公表
 

などから、まだ終戦して間もないことが分かります。

 

トトが50リラで見た「揺れる大地」という作品は1948年公開。新作ではなかったとしても、1948年以降がトトの生きた時代です。

 

ニューシネマパラダイス_トスカーナ地図

 

また、エレナが夏に滞在していた「トスカーナ」や引っ越し先の「パレルモ」は、実在する地域。

 

 

シチリア島の僻地に住むトトと、トスカーナ州ではかなりの距離があります。

 

ニューシネマパラダイス_地図

 

エレナの引っ越し先パレルモは、シチリア島内。

 

トトがエレナの書置きに気が付いてさえいれば、交際が続いていたのでは?と思わせる距離がなんとも言えませんね…。

 

 

ニュー・シネマ・パラダイス|劇場版・完全版おすすめはどっち?

 

ニューシネマパラダイスジャケット

 

 

劇場版

(SUPER HI-BIT EDITION デジタル・リマスター版)

完全オリジナル版

(ディレクターズ・カット版)

上映時間 123分(124分) 173分
視聴後の印象 友情/シネマ・パラダイスがメイン 愛/人生がメイン

大幅にカットされたシーン


(ラストは共通)

なし

青年期:エレナとすれ違ってしまった理由


中年期:エレナとの再会

おすすめな人

・余韻を楽しみたい

・ノスタルジーな雰囲気が好き

・モヤモヤしたくない人

・綺麗ごとだけじゃない物語が好き

 

 

 

 

https://twitter.com/hasetsumura/status/1067774255448809476?s=20

 

視聴する年代によって思うことが変わってくる『ニュー・シネマ・パラダイス』

今の皆さんは、どちらが好みでしょうか?

 

※本ページの情報は2021年8月時点のものです。最新の配信状況は各動画配信サービスサイトにてご確認ください。

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執筆

やぐち

チョコパンと大きい犬、映画が好き~!お気に入りは、土曜の朝にハッピーな映画を見ること。 皆さんのお役に立てるよう、分かりやすく温かい記事を目指して毎日頑張ります!

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