2017年に全米で公開され、世界興行収入は約2億5,000万ドルにも達している『ゲットアウト』は、作品の中に数々の伏線やミスリードが隠されており、日本でも高評価を得ている作品です。今回はネタバレありでどんな映画なのか解説いたします。
様々な“違和感”が衝撃の結末に!映画『ゲットアウト』のネタバレ解説
更新日:2021-6-2
<プロモーション>
『ゲットアウト』はどんな作品?あらすじをご紹介!
ゲットアウトは、黒人男性のクリスが恋人である白人女性ローズの実家のアーミテージ家に挨拶しに行くことから悲劇が始まる映画です。クリスは、アーミテージ家に黒人の使用人がいることやローズの母親に禁煙できるように催眠術をかけられたことに違和感を覚え始めます。
極めつけは、親睦会パーティーに招待された客からの質問や行動でした。招待客に筋肉を触られたり、スポーツは得意なのかを問われたりしたのです。黒人だからと差別をされた訳でもないのに、何かがおかしいとクリスは感じます。
その違和感の通り、実はアーミテージ家は黒人を騙して誘拐して年老いた白人に黒人の肉体を提供している違法な会合なのでした。黒人の肉体に白人の脳を移植し、永遠の精神や命を手に入れようとしていたのです。娘のローズが黒人を連れて来ては母親が催眠術をかけ、父親が脳移植を担当する家族ぐるみの計画でした。
それでは、ゲットアウトのタイトルに隠された真実や詳しいネタバレなどを紹介していきましょう。
『ゲットアウト』に潜む数々の“違和感”をネタバレありで解説
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— 映画『ゲット・アウト』 (@GetOutJP) July 28, 2017
#何かがおかしい
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『#ゲット・アウト』ポスター解禁❗️
壮絶な表情を浮かべる主人公クリス。
そして、彼の後ろには白人の彼女の家族と使用人たち。不気味な表情の彼らが意味するものとは…https://t.co/LNBj7TAVRD pic.twitter.com/77nFZBlxYP
2017年に全米で公開された、映画『ゲットアウト』は日本でも同年秋に公開され、その不気味な怖さが話題となりました。米国社会に潜んでいる黒人差別問題をテーマにしているサプライズ・スリラー映画で、衝撃の結末となっています。
主人公が感じた違和感の正体とは、一体何なのでしょうか?主人公クリスが覚えたその違和感には、どのような意味があるのかも併せてネタバレ解説していきます。
ジョージナが満面の笑みで涙を流した理由は?
【ジョージナ】
— 映画『ゲット・アウト』 (@GetOutJP) October 10, 2017
(ベッティ・ガブリエル)
アーミテージ家に仕える家政婦。自分を愛していて、特に見た目を気に入っており、ことあるごとに自分の姿を眺めている。#ゲット・アウト #何かがおかしい pic.twitter.com/LhDOxSbVNk
アーミテージ家には、ジョージナという黒人の使用人がいますが、ジョージナは親睦会パーティーでクリスと会話をした際に満面の笑みを浮かべながら涙を流しました。クリスはその涙に違和感を覚えましたが、その涙には一体どのような理由があったのでしょうか?
ジョージナは脳移植の被害者だった
アーミテージ家では、年老いた裕福な白人のために黒人の若い肉体を違法な脳移植によって提供していました。ジョージナは、その違法な脳移植の過去の被害者でした。
ローズが恋人として次のターゲットをアーミテージ家に連れて来て、母親のミッシーによる催眠術でターゲットを麻痺させて脳移植がされていたのです。ジョージナには、アーミテージ家の祖母の脳が移植されました。
笑顔だったのはローズの祖母
親睦会パーティーという名の白人による若い黒人の品定めオークションの最中に、クリスは「白人ばかりの家に仕えて嫌な思いをしてないか」を使用人のジョージナに問いました。すると、ジョージナは涙を流しながら「誰の下にもならない」と満面の笑みを浮かべて答えました。
実はこの時に笑顔になったのはジョージナ自身ではなく、ローズの祖母です。ジョージナはクリス同様にローズにアーミテージ家に過去に連れてこられており、すでに脳移植の被害者となっていました。嫌な思いをしていないかをクリスに聞かれて笑顔を浮かべたのは、実際に嫌な思いどころか黒人の恩恵を受けて生き延びているローズの祖母だったのです。
脳移植を受けてもジョージナ本来の意識は残っていた
しかし、脳移植を受けても元々の意識はわずかに残るとローズの父親は手術前に語っていました。その話の通り、ジョージナ本来の意識が残っていたため、「白人ばかりの家に仕えて嫌な思いをしていないか」をクリスに聞かれた時に涙が流れたのです。
表情こそローズの祖母により笑顔でしたが、ジョージナ本来の意識はわずかに残っていたため、涙が流れてしまったというのが『満面の笑みを浮かべながらも涙を流した理由』となります。
なぜ写真を撮ったら鼻血を流したのか?
【ローガン】
— 映画『ゲット・アウト』 (@GetOutJP) October 11, 2017
(レイキース・スタンフィールド)
アーミテージ家に訪れる若者。不自然に古風な服装で、かなり年上の白人の妻を同伴しているが、会話もどこか噛み合わない。#ゲット・アウト #何かがおかしい pic.twitter.com/cWrJZvnwpU
親睦会パーティーの途中で、同じ黒人である男性・ローガンを主人公のクリスがスマホで盗撮しようとするシーンが登場します。その際、クリスは誤ってスマホのフラッシュを点灯させてしまいます。
すると、ローガンは突如鼻血を流して「Get Out!」(出ていけ!)とクリスに向かって叫びました。なぜ、クリスがスマホで写真を撮ったらローガンは鼻血を流したのでしょうか?その謎を暴きます。
写真ではなく「フラッシュ」が関係していた
実は、写真を撮られた黒人男性・ローガンが急に鼻血を流した理由は、単に写真を撮られたからではありません。鼻血を流した理由は、写真を撮る時にクリスが誤ってフラッシュを点灯させてしまったことに原因があるのです。
ローガンは、フラッシュを浴びたことによって鼻血を出し、一瞬だけ正気に戻ったというのがこのシーンの真相です。
黒人とフラッシュの関係性
黒人とフラッシュには深い関係があります。アーミテージ家に訪れて脳移植されてしまった黒人は皆、フラッシュを浴びると一瞬だけ正気に戻るという不思議な現象が起こります。この現象は実際にNYで起こった差別問題のメタファーになっているのです。
2014年にNYで実際に起こった事件があります。黒人男性を逮捕しようとした白人警官は、黒人男性を窒息死させてしまいました。その事件を見ていた通行人は、スマートフォンでその一部始終を録画していました。
その動画が裁判で証拠となり、現在アメリカで差別問題の抑止力となっています。黒人とフラッシュにはこのような関係があり、この映画で黒人男性が一瞬だけ正気に戻れる重要なキーとなっています。
序盤の鹿を轢くシーンにも伏線があった!
映画の序盤では、恋人のローズが運転する車でアーミテージ家に向かうワンシーンがあります。アーミテージ家に向かう途中で突然飛び出してきた鹿を車で轢いてしまうのですが、そのシーンもこの映画の重要な伏線となっています。鹿を轢いてしまったシーンは、どのような伏線となっているのでしょうか?
鹿の種類に注目
ローズが運転する車に轢かれてしまった鹿は、『バラックバック』という種類のメス鹿でした。この『Black Buck』という言葉には、『白人女性を襲う手荒な黒人男性』というスラングがあるのです。
さらに、Deer(鹿)にもスラングがあり、『彼女をつくろうとして失敗してしまう男』という意味が含まれています。つまり、クリスがローズと上手くいかないことや黒人差別問題が映画の序盤ですでに示唆されていたのです。
そんな意味が含まれている鹿を、白人であるローズが轢いてしまったことは、黒人であるクリスの身に何かが起こることが予想できるような重要な伏線となっていた訳です。
警官に対するローズの行動の真意
鹿を轢いてしまったローズは、警官に身分証を提示します。警官が、助手席に座っていたクリスにも身分証の提示を求めると、ローズは「運転していたのは私だから」とクリスの身分証の提示に抗議をしました。
黒人というだけで怪しまれたり差別を受けたりすることがあるクリスを、不当な捜査からローズが庇ってくれたかのようにクリスには見えました。しかし、真相はそうではありません。このローズの行動にも裏があったのです。
ここでクリスの免許証を提示してしまうと、自分がクリスと一緒にいたことが警察のデータベースに残ってしまいます。それを避けるためにローズは、それっぽい抗議をして一緒にいたことがバレないように行動をしたのです。
もし、その場でクリスの免許証を提示しまっていたら、クリスが一時的に行方不明になった際に真っ先に疑われるのはローズです。自分や家族がしている違法な脳移植を警官に嗅ぎ付けられたら困るため、クリスの身分証の提示を避けたかったのがローズの真意となります。
車内で見つかった兜が暗示させるもの
アーミテージ家から逃げたクリスが乗った白い車には、鉄の兜が置いてありました。この兜は、映画のオープニングで誘拐犯が付けていたものです。この兜が暗示しているものは、白人至上主義団体・KKKの存在です。
白人至上主義団体・KKKの存在
白い車に置かれた鉄の兜は、白いローブと西洋甲冑を連想させ、白人至上主義団体・KKKの存在を匂わせています。KKKは復活を成し遂げて今でも在続していることを、このシーンでは示唆しているのです。
映画『國民の創生』ではKKKが復活に至る経緯が描かれており、その映画のポスターでは、馬に白いロープをかけて鉄の兜をかぶる人物がそのまま描かれています。
『ゲットアウト』のタイトルに隠された真実とは?
ゲットアウトは、直訳すると『出ていけ!』という意味の単語です。この映画では、アーミテージ家のパーティーに招待された黒人男性・ローガンがフラッシュを浴びて一時的に正気に戻った時に『Get Out!』とクリスに向かって叫びました。
実は、この時ローガンは『ここから逃げろ!』という意味を込めてクリスに叫んだと考えられます。クリスは、ローガンがいきなり鼻血を出して叫んだことに驚いてアーミテージ家からその場で逃げることはありませんでした。
しかし、『このままでは自分のように脳移植されてしまうぞ!』という警告からローガンはクリスにGet Out!と叫んだと考えられるでしょう。
ゲットアウトのネタバレ解説まとめ
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— 映画『ゲット・アウト』 (@GetOutJP) November 17, 2017
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ゲットアウトは、米国社会に潜んでいる黒人差別問題をテーマにしているサプライズ・スリラー映画です。これまでにも、差別や奴隷などがテーマの黒人差別を問題とした映画はありましたが、ゲットアウトはそういった映画とは違う視点からの黒人差別問題をテーマにしています。
アーミテージ家の兄ジェレミーが、クリスに向かって『スポーツや音楽の世界で活躍するのは黒人ばかりだ』と話すシーンがあります。黒人への嫉妬や劣等感から酔って言い放った言葉ですが、アーミテージ家ではジェレミー同様に皆が黒人へ憧れを持っています。
そのため、黒人の体を乗っ取って違法な脳移植をしているのです。しかし、脳移植をしても本人の潜在的な意識はわずかに残るため、ジョージナのように涙を流したりローガンのようにフラッシュを浴びて正気を取り戻したりします。
映画ゲットアウトには、数々の違和感や伏線が散りばめられているので、意味を理解した上でもう1度映画を初めから見直すと新たな発見や気付きがあるでしょう。見終わった後に面白さや怖さを感じられ、黒人差別問題について考えさせられるまさにサプライズ・スリラー映画となっています。
今回の記事では、映画『ゲットアウト』の様々なネタバレを解説しました。紹介した以外にも、たくさんの伏線や違和感などが色んなシーンにあります。
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