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【ネタバレあり】マルホランド ドライブってどんな映画?内容を解説!

エンタミート編集部

更新日:2022-6-29

<プロモーション>

「マルホランド ドライブ」は、2001年のアメリカ映画です。カルトの帝王と呼ばれるデヴィッド・リンチが監督となり、謎の多い展開や解読が難しいと言われています。

 

日本で公開された際には、「わたしのあたまはどうかしている」と衝撃的なキャッチコピーが付けられたため、インパクトがありました。実際に映画を観ると、謎が多いだけでなくいくつもの考察や解読が必要です。

 

この記事では、「マルホランド ドライブ」に散りばめられた内容を読み解くためのポイントを紹介していきます。より深く作品の意図を知りたい方は参考にしてください。

 

 

「マルホランド ドライブ」はホラー映画?あらすじを紹介!

 

 

この映画の舞台は、ロサンゼルスに実在する自動車道 マルホランド・ドライブが舞台です。ここからハイウッドを一望することができます。

 

夜、黒塗りの車の後部座席で黒髪の女性が眠り込んでいました。彼女は自分が多くの人と一緒にダンスをしている夢を見ていたのです。

 

そして金髪の女性の幻影を見ていましたが、目を覚ますと車を運転していた男性に銃を突き付けられ、すぐに車から降りるように求められました。困惑していた時、暴走した車2台が激しくぶつかってきたのです。

 

衝撃で車は大破、大炎上してしまいました。慌てて車から逃げ出した女性は、必死で夜の道を逃げ、サンセット大通りに辿り着きます。

 

そして前からカップルが来たのですが、人目を避けるように一軒家の植え込みの中に潜り込み、そのまま眠り込んでしまったのです。事故があった現場では、ハリー・マックナイト刑事と仲間のダンガード刑事を含めて現場検証が始まりました。

 

炎上した車の後部座席に真珠のイヤリングが落ちていたため、ここに乗っていた者がいると推測していました。一方、そのまま植え込みに寝込んでいた女性は、朝になって気が付くと、周辺のアパートに住んでいる男女が大きな荷物を車に詰め込んでいる姿を目撃します。

 

男女が立ち去ったのを確認し、アパートに無断で入り込んでテーブルの下で再び眠りにつきました。

 

同じタイミングで、レストラン「ウィンキーズ」には2人の男性が食事をしながら会話しています。その内容は、男性の1人が夢の中で今居る店のことを見たというものでした。

 

夢では、店の裏に恐ろしい男が潜んでいて、出くわしてしまうというものです。夢での恐怖体験が本当かどうか、男2人が確かめに店の裏に行ってみると、そこには全身黒づくめの不気味な男がいたのです。夢と同じ展開になった恐怖から、1人の男は気絶してしまいます。

 

黒髪の女性が眠っている間、ロサンゼルスの空港にはベティ・エルムスが到着しました。金髪のショートヘアが特徴的なベティは、ハリウッドで成功することを夢見ています。

 

叔母は有名な女優であり、自分も同じようになりたいと故郷のオンタリオからハリウッドを目指してきました。機内で仲良くなった老夫婦に別れを告げて、タクシーで叔母の家へと向かいます。

 

到着したルースのアパートで呼び鈴を鳴らします。家には管理人のココがいて、ルースの部屋に案内されました。

 

部屋の中に入ると、誰かがシャワーを浴びています。同居人がいたのかと勘違いしてベティは慌ててしまいますが、シャワーをしているのは先ほど忍び込んだ黒髪の女でした。

 

シャワーから出た黒髪の女は、たまたま部屋に貼ってあった大女優リタ・ヘイワーズのポスターを見て、自分をリタだと名乗りました。そしてベティはリタの頭が負傷していることに気が付き、医者に診てもらうように話しますが、リタは事故によって記憶がなく、寝れば治るとそのまま寝てしまいました。

 

ハリウッドにある大手の映画制作会社では、人気監督のアダム・ケシャーがマフィアであるルイージとヴィンチェンゾのカスティリアーニ兄弟が話をしています。その内容は次回作の主演にカミーラ・ローズを使うようと求めるものでした。しかし、アダムは新人の小娘は使えないといって会議室を出て彼らの乗ってきた車のフロントガラスをボコボコにして愛車に乗って走り去ったのです。

 

古いビルでは、ジョーという男性が知り合いのエドと笑いながら話していたところ、それがブラックリストかどうかを確認し、そのままジョーはエドを銃で殺します。ところが、隣の部屋に誤射した結果、住人の女に当たってしまいます。

 

ジョーは自殺にしようと装っていましたが、仕方なく隣の女と目撃した清掃員も殺害します。警報が鳴り響く中、ジョーは窓から逃げていきました。

 

その時、ルースのアパートではベティがルースと電話したことで、リタが同居人ではないことが判明しました。彼女を警察に連れて行くように言われますが、ベティはそこまでしなくてもよいといい、リタから詳しい話を聞くことに決めました。

 

リタに聞くと、交通事故の影響で記憶がないこと、またマルホランド・ドライブという言葉だけ覚えていると話しました。そしてリタのバッグには、大量の札束とその下に青い鍵が入っていたのです。リタは何も思い出せないと泣き出すため、匿名でいいからマルホランド・ドライブの事故を問い合わせないかと説得します。

 

監督のアダムは、ハリウッドを見下ろす位置に自宅があり、追手を振り払って戻ってきました。自宅の中に入ると、寝室でアダムの妻と知らない男が浮気をしていたのです。

 

激怒したアダムは妻の宝石箱にピンクのペンキを流し込んでめちゃくちゃにしたのですが、その後妻と愛人に殴られて家を追い出されてしまいます。その後、カスティリアーニ兄弟の部下に妻と愛人は殴られてしまいます。

 

ベティはなんとかリタの記憶を戻したいと考え、大金の入ったバッグをクローゼットの中にしまい込みます。そしてレストラン「ウィンキーズ」の近くの公衆電話からマルホランド・ドライブの事故について問い合わせた結果、警察からは昨晩事故があったことしか教えてもらえませんでした。

 

レストラン「ウィンキーズ」に入り、ベティとリタは食事をすることにしました。働いているウェイトレスのダイアンの名札を見たリタは、「ダイアン・セルウィン」という名前を思い出したと話しました。帰宅後にベティはリタの名前ではないかと電話帳で調べて電話をかけますが、留守番電話になっていてその声はリタの声ではありませんでした。

 

一方追われているアダムは、ホテルに身を隠しますがカスティリアーニ兄弟の力によって銀行口座を凍結されただけでなく、映画の撮影現場も解体されてしまいます。追い詰められたアダムはカウボーイという男に夜の牧場に呼び出され、態度や行動によって今後の人生が変わることと不穏な警告をします。

 

また、明日仕事に行って最新作のオーディションでカミーラが来たら君に決めたと言えばいいと要求してきました。さすがのアダムもこの警告は真剣に聞いていました。

 

ある映画のオーディションが開催され、ベティは監督らを前に迫真の演技をして高い評価を得ました。そして、キャスティングの担当者からもっといい演技をすべきと最新作の映画のオーディションでアダムと引き合わせたのです。

 

アダムはカウボーイの警告やカスティリアーニ兄弟の力に負けてカミーラを選ぼうとしていましたが、ベティの演技を見て主演にふさわしいと考えました。一方のベティもアダムのことが気になりましたが、リタとの約束があったので急いで帰宅します。

 

ベティとリタは電話帳で調べたダイアンの住所に向かい、12号室にダイアンの名前が書かれていることを確認しますが、そこにはダイアンが住んでいるのではなく、部屋を交換したという別の女性がいました。そしてダイアンは17号室にいると聞いて急いで向かいますが、その部屋から応答はありません。

 

不審に感じたため、窓から部屋の中に入ってみると異様な腐敗臭の中、寝室に女性の死体を見つけます。その死体はリタに似ていたため、リタは激しく取り乱してしまいます。

 

自宅に帰ってきた後、リタは自分の髪の毛を切ってしまいますが、ベティはリタをなだめてブロンドのウィッグを被せて落ち着かせました。2人はお風呂上りにベッドで激しく求めあい、一線を超えたのです。

 

その日の夜中、突然「お静かに、楽団はいません」とリタが呟きます。そしてベティをハリウッドのはずれにある劇場「クラブ・シレンシオ」に連れていくと、司会者は客席に「お静かに、楽団はいません」と告げた時、青い光とスモークの中に消えていったのです。

 

ステージ後方には、2階席には青い髪のマダム、次に泣き女という歌手が登場しました。泣き女の歌が悲しく涙していましたが、司会者に全てまやかしであると告げられます。

 

ベティが涙を拭こうとカバンを開けると、鍵穴のある青い箱が入っていました。帰宅後に鍵穴のある青い箱に青い鍵を入れようとしたところ、ベティの姿が突然消えてしまったのです。リタは1人で青い箱を開けたものの、中にあったのは暗闇で吸い込まれたかのように姿が消えました。

 

部屋に残されたのは青い箱、そしてルースがアパートに戻ってきた時にはベティ、リタ、青い箱も消えていました。

 

一方、12号室のダイアンは寝ている所をカウボーイに起きる時間だと声をかけられます。これはダイアンの見ていた夢の話のようです。それでも寝ていたダイアンですが、元々17号室に住んでいた住人がドアを何度もノックしてきます。

 

仕方なく招き入れると、女性から2人の刑事があなたを捜していると告げられます。動揺するダイアンの所に売れっ子女優のカミーラが入ってきましたが、カミーラはダイアンの夢の中に登場したリタそのものでした。その後、ダイアンはカミーラと愛し合いました。

 

ダイアンは女優を目指していてハリウッドに出てきたのですが、人気監督のアダムの映画オーディションの現場でカミーラと出会いました。お互いに女優志望でしたが、カミーラが主役の座を射止めたため、カミーラは脇役での出演となったのです。

 

カミーラはこれをきっかけにスターとなり、この頃からダイアンと同性愛関係になりました。しかし、カミーラはアダムとも付き合いはじめたため、ダイアンのことが邪魔になってきたのです。カミーラにとってはアダムが本命でダイアンは遊びでした。

 

ある夜、ダイアンが部屋にいるとカミーラから電話があり、アダムが主催するパーティーに誘われます。カミーラが手配した車に乗ってアダム邸に向かうと、車はマルホランド・ドライブの途中で止まり、茂みの中からカミーラが現れてダイアンの手を引き、アダム邸へと連れて行かれます。

 

アダムの母のココもパーティーに参加していて、ココはダイアンが夢の中でベティだった時、ルースの管理人でした。カミーラはダイアンに見せつけるようにアダムとイチャイチャし始め、結婚会見のような雰囲気が漂います。そこでダイアンはもてあそばれていたと気が付いたのです。

 

ダイアンはカミーラの復讐を決め、レストラン「ウィンキーズ」で殺し屋のジョーに殺害を依頼します。そこに来たウェイトレスの名札には「ベティ」と書かれていて、仕事が済んだら渡すと青い鍵を見せてきましたが、鍵のことを聞いても教えてくれませんでした。

 

レストラン「ウィンキーズ」の裏には不気味な男がいて、青い小箱を持っていて紙袋の中に入れるとそこから空港で会った老夫婦によく似た小人が出てきました。その後カミーラを殺害したようで、青い鍵をダイアンは受け取りました。

 

部屋にいたダイアンは青い鍵を怯えたような表情で見つめていると、ドアの隙間から老夫婦の小人が来て等身大の大きさになり、ダイアンに襲い掛かります。絶叫しながら寝室に逃げたダイアンは、引き出しにあった拳銃で自分の頭を打ち、その瞬間に青い光と煙に包まれます。

 

ダイアンはベティとリタの幸せそうな幻想の中、息を引き取ります。そして「クラブ・シレンシオ」では青い髪のマダムが「お静かに」と悲しい表情で呟きました。

 

 

時系列や登場人物が混乱で難解!?その理由は?

 

 

「マルホランド・ドライブ」は、時系列の難しさや登場人物が混乱してしまいやすく、最後まで観ても理解しにくい映画といわれています。デヴィッド・リンチ監督の作品は、このような独特の世界観で描かれているものが多くなっています。

 

なぜ、混乱してしまうのでしょうか?

 

前半が夢で後半が現実

 

実は「マルホランド・ドライブ」という作品は、前半が夢、後半が現実という内容になってきます。前半はダイアンが見た夢であり、女優としての成功や願望、カミーラを殺害してしまった罪悪感などが中心です。

 

夢であると分かるシーンは、タイトルが出る前にダイアンが毛布をかけて寝息を立てています。そしてカウボーイから起きるように声を掛けられるシーンがあります。

 

他にもレストラン「ウィンキーズ」で机の上に食べ残しとコーヒーがありますが、次のカットでは食べ残しもコーヒーもなく、さらにカップは下を向いた状態で置かれています。アダムが妻の浮気を目撃したシーンでは、最初妻は下着姿でしたがガレージに着いた時にはドレスを着ています。

 

夢そのものはイメージを再構成させたものであり、自分の記憶を都合よく組み立てたものでもあります。ダイアンの夢に登場した人物は、どれも現実に出会っていた人物です。

 

さらに夢の中では、大女優の叔母の所に女優を目指して田舎から上京し、早速オーディションが受けられて演技が絶賛されます。さらに有名な監督から興味を持たれるなど、とても都合のよい展開が続いていきます。

 

このようなことから、ダイアンの見ていた都合のよい夢を表しているのです。そのため登場人物が関係なかったり、連続して繋がらないシーンもいくつか登場したりしています。

 

一方の後半は現実の世界です。しかし、現実にしては意味の分からない部分も多くあります。そのため、後半は現実とダイアンの混乱した状態から過去をフラッシュバックしたようなものだと考察できます。

 

ほぼ事実のような出来事ですが、カミーラを殺したことを知ったことでダイアンが混乱している気持ちが交錯しているのです。ダイアンは、カミーラのことを愛していました。しかし、カミーラの愛がアダムに向いていることを知り、殺し屋のジョーに殺害を依頼しました。

 

カミーラが死んだ証拠になるのは青い鍵です。青い鍵があるということは、仕事が済んだという意味だと話していたからです。そこでダイアンは、殺しを依頼したものの、カミーラを愛する気持ちがまだあるが、カミーラの愛は自分に向いていない、その気持ちの混乱から罪悪感を持ち、自殺したと考えられます。

 

夢と現実で名前も違う?

 

ナオミ・ワッツが演じているのは、「前半(夢)新人女優ベティ」、「後半(現実)落ち目で売れない女優ダイアン」です。ローラ・ハリングが演じているのは「前半(夢)記憶喪失の美女リタ」、「後半(現実)売れっ子女優のカミーラ」です。

 

同じ映画で前半と後半によって役名が変わってしまう所が、ややこしさを増しているのでしょう。しかし前半は夢となるので、名前も違っていたと考えられます。

 

 

映画を理解しやすくするための”10のヒント”とは?

 

 

「マルホランド・ドライブ」は、前半が夢で後半が現実という構成だけでなく、役名が変わったり複雑な心境が関わっていたりするため、見ていて混乱する部分もあります。ここでは、映画をより理解しやすくするためのヒントを10個紹介します。

 

映画の冒頭

 

「マルホランド・ドライブ」の冒頭部分で、ダンスをしている若い男女の姿があります。このシーンは実際にダイアンがダンス大会で優勝したものです。その次にベッドで横になるシーンがありますが、死ぬ間際に見た過去の栄光を振り返っていたと考察できます。

 

赤いランプ

 

赤いランプは、映画の中でダイアンの家で電話の脇にあります。他にもカミーラに誘われたパーティーやマフィアが相次いで電話を掛けた時にもあります。また所々に消防車や夜景の赤いライトなどを見ると、リタやカミーラの幻影が現れます。

 

映画のタイトル

 

「マルホランド・ドライブ」の中で、アダムが監督を務める映画のタイトルは「シルビア・ノース物語」です。夢の中でベティのオーディション時にいた監督とカミーラと知り合った時の映画の監督が同じでした。

 

映画のタイトルが大きく作品中に出てくることはありませんが、ダイアンがパーティーで口にしていたことから嫉妬心の表れだと考えられます。

 

事故が起こった場所

 

事故が起こったのはマルホランド・ドライブという所です。マルホランド・ドライブは、ハリウッドにあり、道の両側には大物の豪邸が立ち並んでいることで有名です。

 

作品中、マルホランド・ドライブの途中で車が止まり、降りた時に暴走車が突っ込んで大事故が起こります。このシーンからダイアンがカミーラの殺害を依頼すること、そして事故がひどいものだったのはパーティー会場で受けた悔しさが大きく願望として夢に出たと推測できます。

 

鍵をくれたのは誰?

 

青い鍵は殺害の成功を意味するものです。その鍵があるといのは殺人が成功したということです。現実で鍵を渡したのは殺し屋ですが、夢ではリタが持っていました。

 

バスローブ、灰皿、コーヒーカップ

 

バスローブは、ダイアンが現実世界で最後に来ています。夢の中ではピンクのバスローブでした。また一瞬バスローブとカミーラが寝ているシーンも同時に映ります。シーンのつじつまが合わない部分があること、最後のシーンで着ていることから夢の中であると考察できます。

 

灰皿については、部屋を交換した時に女性が取りに来たはずなのに置いてあったり、コーヒーカップも同様に現実世界でダイアンが使用していたり、レストランでは逆さまになっていたりすることから、夢の世界であると考えるのが自然です。

 

クラブで彼女が気付いたこと

 

「クラブ・シレンシオ」は少し怪しげな雰囲気がありました。車は見当たらないものの、中には多くの人がいます。青い光とスモークの中、司会者が消えていきますが、これは死の世界を表現しているとも考えられます。

 

ベティとリタは夢の中では2人で1人、そしてずっと共にしていたい存在です。そしてお互いの精神が一体になったと気が付いた瞬間とも考察できます。

 

カミーラは才能だけで勝ったのか?

 

カミーラは、才能で成功したのではないと考えられます。少なくともダイアンの怒りの感情が具現化されているシーンもあり、憎しみなど複雑な感情が渦巻いている暗さがあります。

 

Winkiesの裏の男の周りで何が起こった?

 

レストラン「ウィンキーズ」では、店の裏に暗い男が出てきます。最初に夢の中で遭遇するシーンと、ダイアンが殺し屋に依頼するシーンにも登場します。これは、ダイアンの恐怖心を表したものと考えられます。

 

ルース叔母さんはどこ?

 

ルース叔母さんは有名な女優ということで夢の中に登場しています。カナダから電話が来るシーンもありますが、これは夢であり現実ではありません。

 

ルース叔母さんと同じ世界にいるということは、ベティも死んでいるということです。現実ではパーティーシーンで叔母が死んで遺産が少し入ったとダイアンが話しています。

 

 

「マルホランド ドライブ」をより分かりやすくするためのポイント

 

 

複雑な内容が入り組んでいる「マルホランド ドライブ」ですが、より分かりやすくするためのポイントがいくつかあります。ここでは、その内容について解説していきます。

 

夢とはどのようなものか?夢が表す心理について

 

「マルホランド ドライブ」は、夢と現実が入り組んだ内容になっているためメビウスの輪のようだと言われることもあります。ヒントがあるものの、全てが理由付けできるものではありません。

 

そこで重要になってくるのが夢です。前半は夢だと考察できる内容が含まれていますが、夢にはダイアンの願望が詰まっているものの、現実では不幸で悲しいシーンが多いです。実際はこのような現実や結末が悲しく、夢では幸せになりたかったという心理かもしれません。

 

断片的に構成されているもの

 

夢は、誰が見ても話の内容が合わなかったり、断片的になったりします。自分の記憶や感情などが加わり、脳のどこかで出会った人物が登場します。

 

ダイアンの夢も同じように現実で顔見知りの人物が出ていますが、小人やマフィアは架空の人物です。これらは、ダイアンの気持ちや雰囲気が作り出したものであると考えられます。

 

都合のよい内容にできる

 

夢の中では、ダイアンにとって都合よく描かれている部分もあります。話がスムーズに進んだり、幸せなことが多かったりする一方で、恐怖そのものだけで進むこともあるものです。

 

ダイアンの夢には有名女優の叔母、紹介でオーディション、演技を絶賛など都合のよいことが続きます。これもダイアンの現実が不幸だったからかもしれません。

 

不安も夢になって現れる

 

幸せな夢だけ見られればいいのですが不安も夢に現れます。ダイアンの夢にはレストラン「ウィンキーズ」で不気味な男が出てきます。

 

そもそもレストラン「ウィンキーズ」は、ダイアンがカミーラの殺害を殺し屋に依頼する場所なので、罪悪感や不安な気持ちが表れていると考えられます。また、叔母の隣の家に住んでいる女性が良くないことが起きていると騒いでいるのもダイアンの不安でしょう。

 

ハリウッドの夢

 

ダイアンの夢には、ハリウッドの夢も含まれています。前半はダイアンの夢として描かれていますが、タイトルがマルホランド・ドライブとなっていることから、ハリウッドを舞台にしていることも分かります。

 

つまり、ダイアンのようにハリウッドを目指している女優の卵は大きな夢を持っています。そして同じように挫折して悲しさを抱いて帰る人も多いのです。

 

ダイアンに限らず、「マルホランド ドライブ」で描かれているエピソードはハリウッドの縮図のようなものであり、ハリウッドを目指しながらも思い通りにいかない人生を重ねていると考察できます。

 

老夫婦は世間の目?

 

最初のシーンと最後のシーンでは老夫婦が登場します。この老夫婦は、どのような役割を持って登場しているのか気になるでしょう。しかし、登場回数は少ないものの、映画の最後にも登場することから需要な役割があると考えられます。

 

「マルホランド ドライブ」では、ハリウッドを目指している売れない女優の夢と現実で構成されているため、登場人物もハリウッドに関連した人が中心です。ハリウッドに直接関係ないのは12号室にいた住人とこの老夫婦であることから、映画を見ている観客や世間を表していると考察できます。

 

最初にダンス大会で優勝した時、この老夫婦も優勝を喜んでいるように微笑んでいます。最後にはカミーラを殺したダイアンに対して、責めるような世間の目として出ているのではないでしょうか。

 

後半から現実になる?

 

前半は夢で後半が現実となる「マルホランド ドライブ」ですが、本当に後半はすべて現実なのか?と思う人もいます。なぜなら、時間軸のブレや老夫婦も小さくなって登場しているからです。

 

後半部分は基本的に現実ですが、ダイアンがカミーラ殺害を依頼して成功したと知ったことがダイアンの混乱を引き起こし、過去やフラッシュバックが混乱したとも考えられます。ダイアンはカミーラを本当に愛していたのですが、それ故に殺害を依頼してしまい、本当に死んだことで大きなショックを受けました。

 

その混乱から、様々なシーンが交わり、老夫婦などの描写が含まれたのかもしれません。

 

カミーラの真相は?

 

ダイアンは、レストラン「ウィンキーズ」で殺し屋にカミーラの殺害を依頼します。成功した証には青い鍵が渡されることになります。

 

しかし、夢の部分に出てきた殺し屋のジョーはとても大きな仕事ができるような人物ではなく、どこか抜けたような印象です。もしジョーが夢と同じような人物なら、とても殺しが成功したとは言い切れないでしょう。

 

ただ、ダイアンの夢で見ていたのは夢の中のジョーであって、現実と同じジョーではありません。そのため、ダイアンの願望として失敗して欲しいという気持ちが心のどこかであったと考えられます。

 

死体は誰?

 

17号室で部屋のベッドに寝ている女性がいます。黒髪ですが顔は見えません。髪の色からすればカミーラだと思うでしょう。

 

ただ、青い箱が開いてカウボーイに起こされるシーンと重なること、そしてダイアンの部屋であることからベッドの上の死体はダイアンとなります。しかし、ダイアンの夢にダイアンの死体がある部分に不思議さを感じるかもしれませんが、これはダイアンが死ぬ間際に見た夢であると考察できます。

 

女優として成功しなかった、カミーラを殺してしまった、カミーラの愛を受けられなかった、報われない自分、という心情を考えれば、死の間際にダイアンとカミーラが一緒に死んで、死後の世界で一緒になれるということです。この欲求などが表現されていると考えられます。

 

カミーラはリタと違う?

 

夢の中のオーディションシーンでは、リタ役が別の人に変わっていました。リタ役は、ローラ・ハリングが演じていましたが、オーディションの時だけメリッサ・ジョージが歌います。

 

ここでリタとカミーラが違う人物なのか疑問を抱くと思いますが、後半のパーティーシーンでは、オーディション時にカミーラ役として歌っていたメリッサ・ジョージとカミーラが熱烈なキスをしています。現実のカミーラは監督のアダムだけでなく、メリッサ・ジョージとも関係を持っていたのです。

 

夢の中でベティとリタが関係を持った時、リタが初めての同性愛でないことが分かっていたのは現実でダイアンがこのシーンを目の当たりにしたからです。アダムへの気持ち、メリッサ・ジョージとの関係もダイアンにとって大きな衝撃があったことから、夢の中で混乱したように描かれているようです。

 

「お静かに」が意味するのは?

 

「マルホランド ドライブ」の中で、「お静かに」という言葉が使われているのは「クラブ・シレンシオ」でです。「クラブ・シレンシオ」のシレンシオという言葉は静寂を表すものです。

 

つまり、沈黙や静寂、そして無の状態になる死後の世界ではないかと予想できます。夢の中でベティとリタが「クラブ・シレンシオ」を訪れます。そして青い光と青いマダムなど青に関連しています。これが青い鍵=死を象徴しているのです。

 

さらに最後には青い髪の女性が、「お静かに」といいますが、ここではダイアンの死から黙祷を表していると考察できる部分です。

 

泣き女とは

 

夢の中で泣き女が、悲しい歌を歌っています。歌詞の内容は、さよならといって置き去りにされた私が泣いている、あなたの愛は冷めてしまった、だから永遠にあなたを想って泣き続けるというもので、明らかにダイアンの気持ちを表現しているのが分かります。

 

現実ではダイアンが泣いていることから、泣き女はダイアンだと考察できます。夢の中ではベティとリタが共に涙しているのは、気持ちを泣き女が伝えてくれたこと、現実でその想いがカミーラに通じたという部分です。

 

ブルーボックスが意味するものは?

 

青がキーワードになっていますが登場する青い箱は、夢の最後の部分で差し込まれて現実へと切り替わります。夢の中でベティとリタが一緒になったことを象徴するような場面だと考察できます。

 

映画の始まりで、既にダイアンは寝ています。これは寝ているというより、亡くなる間際に見た夢から始まるもので、この後のカウボーイの表しているものがさらに亡くなっていることを証明しています。

 

カウボーイの登場の意味は?

 

前述したように、カウボーイの登場が亡くなっていることを証明しているとしましたが、それはなぜでしょうか?カウボーイは、逃げるアダムに対して彼女を選ぶように警告しています。

 

このことから、アダムの生死はカウボーイの判断が関わっていること、うまくやったら1回会うが、間違えたら2回会うという警告をしていることも関係しています。もしカウボーイが死神のように死人と関わると考えた場合、パーティーシーンでのカウボーイの登場、部屋でカウボーイに起こされるシーンがあります。

 

直接ダイアンに関わったのは部屋で起こされる所ですが、死の間際に自分の都合のよい夢に浸り、現世への悲しさや執着をしていたところ、カウボーイに死後の世界に行くように起こされたと考察できます。見た目はカウボーイでも、死神となれば登場シーンにも納得いくはずです。

 

ただ、ダイアンはカウボーイには起こされるものの、映画の最後には「お静かに」という言葉が入ります。この部分に違和感がありますが、もしかしたら現世を名残惜しく思うなという感情、そして静かに夢見心地のまま死後の世界に行きなさいという意味にも捉えられます。

 

デヴィッド・リンチ監督の作品は解読できない!?

 

「マルホランド・ドライブ」のストーリーから作品の内容を補足しながら解説してきましたが、時間軸のズレや夢や現実と考えらえる部分もあり、どのような考え方が正しいのか分からないと思うでしょう。夢の表す部分には、希望や願望が加わるだけでなく、不安なことも表されます。

 

辛い人生を歩んできたものの、意識が途切れていく中で見られる一瞬の幸せを表現したのが「マルホランド・ドライブ」なのかもしれません。

 

「マルホランド ドライブ」は配信されている?

 

1度観ただけでは解読できない「マルホランド・ドライブ」ですが、U-NEXTやFOD、Amazon prime videoなどで配信しています。何度でも楽しめるストーリーなので、気になる人配信でお楽しみください。

 

まとめ

 

「マルホランド ドライブ」は、夢と現実が交差したストーリーです。マルホランド ドライブを運転している最中に事故に遭い、ハリウッドを憧れた女優の卵と出会っていきます。

 

簡単に言葉で語るよりも複雑な内容であり、考察も映画を楽しめる部分の1つです。「マルホランド ドライブ」を何度も見たいという方はU-NEXTでお楽しみください。

 

 

※本ページの情報は2022年6月時点のものです。最新の配信状況は各動画配信サービスサイトにてご確認ください。

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