映画「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ（ジョーカー2）」のネタバレあらすじ解説！賛否両論のレビュー理由も徹底解説

映画「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ（ジョーカー２）」10月11日より公開

▷予告

□あらすじ

▼映画『ジョーカー』のあらすじ・考察記事は以下をチェック！

【考察】映画『ジョーカー』を評価できない理由。あらすじ/ネタバレ/解説まとめ

ネタバレ解説：映画『ジョーカー』のあらすじと概要     ゴッサム・シティで認知...

タイトル：フォリ・ア・ドゥとは？

 

 

 

 

 

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本作のタイトル「フォリ・ア・ドゥ（Folie à deux）」はフランス語で“2人狂い”という意味。

妄想性の精神障害に使われる用語で、1人の妄想が他人へと伝播していくことから感応障害とも呼ばれています。

特定の人物や家族など、外から拒絶した狭い関係の中で生まれやすく、まさに本作に登場するジョーカーとハーレイを示しています。

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映画好きには記憶に新しい映画『ジョーカー』ですが、前作は2019年に公開された作品。5年ほど前の作品なので、細かいシナリオや演出、音楽などを忘れていることも。

そこで劇場での鑑賞に先駆けて、前作の『ジョーカー』を復習しておきましょう。

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【ネタバレ解説】映画「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ（ジョーカー２）」のあらすじ

ここからは物語の流れを起承転結で解説していきます。

物語の核心に触れるので、本作を視聴していない方は“ネタバレ”に注意してください。

起：前作から2年後、アーカムアサイラムにて裁判を待つジョーカー

前作で重犯罪を犯した「アーサー（ジョーカー）」は、アーカム州立病院の精神病棟にて自身の公判を待つ。日々、看守や囚人からジョークは無いのかと尋ねられるものの、アーサーは無視を突き通す。

ある日、弁護士のメリーアンと面会するアーサー。移動の途中で、別病棟の音楽セラピーに参加するリー（ハーレイ）と目が合う。

しばらくして、ジョーカーへのメディアの注目に興味を持った看守「ジャッキー」は、アーサーを一般病棟のセラピーに参加させる。リーに見惚れたアーサーは彼女と言葉を交わす。すると、彼女はジョーカーの大ファンで、ジョーカーの凶行の再現ドラマは世界中で大ヒットし、彼女も20回も見ていると打ち明ける。

また、彼女はアーサーが暮らしていたアパートの近くに住んでおり、母親の虐待から逃れるために自宅に放火したために病棟に入れられたと呟く。シンパシーを感じたアーサーは彼女に恋をしてしまう。

承：ハーレイとの恋に落ちるジョーカー

公判に向けてメディアの独占インタビューを受けるアーサー。だが、インタビュアーから過去の事件を鋭く詰められると狼狽してしまい、「自分に興味があるのにどうして過去の事ばかり目を受けるのか？今の自分を見て欲しい」と激高し、インタビューを中断してしまう。

しばらくして、アーサーは病棟での映画観賞会に参加すると、リーから脱走を持ちかけられる。一度は誘いを躱すものの、リーが病棟に放火すると、パニックに応じて脱走するアーサー。

アーサーの脱走は結果的に失敗してしまい、懲罰房に入れられてしまう。そこに看守を買収したリーが訪れ、体を重ねる2人。アーサーが自由の身となったら2人だけの山を作ろうと語るリー。

転：状況が刻々と悪化していく中で、笑い続けていくジョーカー

遂にアーサーの公判が始まり、裁判所にはジョーカーの信奉者が集う。裁判では、マレー（前作でジョーカーに殺害された司会者）を含む5人の殺人事件は、アーサーによる犯行か、それともジョーカーという別人格が起こした犯行か、“人格の同一性”が焦点となった。検察「ハービー・デント」の追求は続き、弁護人メリーアンは決定的な証拠はないと防戦する。

法廷論争が続く中、アーサーは自身の裁判よりも傍聴席のリーを探してしまう。メリーアンは、裁判に集中してもらうために「リーは実家に住んでいて、両親も健在。父親と同じく彼女も精神科医である。自ら進んで入院した」とアーサーに彼女の事を忠告する。

不審に思ったアーサーはリーにどうして嘘をついたか尋ねると、彼女はみんな少しは嘘をつくとごまかす。そして、アーサーの子を身ごもったと打ち明け、防戦一方のメリーアンを首にすべきと訴える。

アーサーの裁判に前作に登場した隣人の女性が証人として登場し、事件前のアーサーや彼の母親について語る。そこで、アーサーがコメディアン（ピエロ）を目指す理由は母親から純粋に他人を幸せにする存在だからだと判明する。もちろん、母親は小さい頃の些細なジョークのつもりだったし、彼にその能力が無いことも知っていた。

結：ジョーカーを演じることを諦めたアーサー

裁判中にアーサーは自身の弁護士であるメリーアンを首にし、自身が弁護人となる。デントは最後の証人として、元同僚の道化師「ゲイリー・パドルズ」を召喚する。そこで彼は、アーサーの凶行を証言し「彼は唯一（障害を持つ）自分をバカにしなかった、優しい人だったのに、今は只々、怖い」と涙ながらに訴える。アーサーはジョーカーのメイクやスーツを纏い気丈に振舞うが虚勢に終わり、周囲の人間に悪態をつく。

最終弁論の前夜、悪態をつかれた看守のジャッキーは怒り、彼に暴行を加える。また彼を慕っていた囚人も殺され、恐怖に涙するアーサー。

翌日、最終弁論で、アーサーは「ジョーカーはいない、自分自身の手で6人を殺した」と病死した母親に対する殺害も告白する。傍聴席のジョーカー信奉者からはブーイングが飛び、リーは席を後にする。

その後、アーサーに判決が下される直前に爆発が起きる。アーサーは朦朧とした意識の中、外に出ると、ジョーカー信奉者に逃走を手助けされる。しかし、その気はないアーサーは、逃走をやめ、自身の住んでいたアパートの近くの長い階段を訪れる。

そこにはリーが座っており、彼女との再会を喜ぶ。しかし、リーは“ジョーカー”ではないアーサーには興味などなく、「（ジョーカー）ならすべてを手に入れたのにそれを諦めた」と一蹴。駆け付けた警官たちにアーサーは逮捕され、アーカム州立病院に入院する。

しばらくして、アーサーは面会に向かう途中にある若い囚人にジョークを聞かされる。

「バーに憧れていたピエロが座っていたんだ。でも、実物は思っていたのとかけ離れていた。僕は彼に酒を奢ろうとしたら、君の奢りならなんでもいいさと言ったんだ。だから報いをやったんだ」。そして、アーサーのお腹をナイフで何度も刺した。若い囚人が恍惚に笑いながら自分の口を切り裂いていくさなか、アーサーは静かに死んでいった。

映画「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ（ジョーカー２）」全米NO.1ヒットするも賛否両論⁉

前作『ジョーカー』は第92回アカデミー賞11部門ノミネートやヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞するなど、多くの映画賞を獲得し、映画評論家や一般の観客どちらからも評価されています。

しかしながら、映画『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』は全米で初登場1位を記録するものの、前作ほどの成功を収めておりません。

海外の批評家が集う大手映画レビューサイトでは、批評家・一般観客ともに好意的な意見が30％ほどしかありません。

最高スタートを切るはずだった本作、何故賛否が別れてしまったのか、前作のレビューを交えながら、解説していきます。

前作が絶賛された理由

映画『ジョーカー』は、DCコミックスの人気コミック「バットマン」に登場するヴィランを主役にした作品です。

ジョーカーは人気のヴィランで数多くの映像化作品がありますが、中でも映画『ジョーカー』は、共感性のある社会的な作風として描かれ、映像・脚本・演技ともに高く評価されました。

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1980年代のゴッサム・シティの退廃的な雰囲気を見事に映像化

1980年代のゴッサム・シティの退廃的な雰囲気を見事に映像化しており、陰鬱とした街並みや薄汚れた衣装、アーサーの貧相なアパートなど、彼の置かれている状況を視覚的に表現しています。

特にアーサーがジョーカーに変貌していく過程では、メイクや衣装が徐々に鮮やかになっており、内面の変化を象徴的に演出していました。

 愛が足りない純粋な狂気が美しく描かれる

本作のジョーカーの物語は、アーサーという社会から疎外された男が、いかにして悪の道へと堕ちていくのかを緻密な心理描写で描いています。

そのため、バットマンシリーズに登場するコミカルな要素はほとんどありません。もちろん、彼はスタンドアップコメディアンを目指し、様々なジョークを放ちますが、白けるだけで、むしろ嘲笑の声を浴びていきます。

ジョーカーとして破壊的な行動のみが世間に評価されていくのが、本作の面白いところでもありますね。

ホアキンの怪演に身震い

本作は主演の「ホアキン・フェニックス」怪演があってこそという声が非常に多くあります。

ホアキンといえば、2000年に公開された映画『グラディエーター』で悪役である「ルキウス」では、こちらも情緒不安定な皇帝を演じたことで有名ですよね？

ルキウスの野心と策略の裏に隠された狂気を見事に表現していました。

本作でも狂気を宿した人物を演じたわけですが、ジョーカーに宿る狂気は、社会から拒絶され壊れていった弱者から生まれたもので、全くの逆。

その壊れやすいながらも、鋭く強烈な狂気は、物語が進むにつれて、哀愁や色気を残しています。

特に階段のシーンは印象的で、アーサーが踊りながら降りていく様子は、ホアキンだからこそできたシーンでしょう。

ジョーカー:フォリ・ア・ドゥはここがダメ⁉

上記のように前作では、格差社会や弱者への無関心など、現代社会が抱える問題を、エンターテイメント性と社会派性を兼ね備えた作品に仕上げたことで評価されました。

落胆の声がチラホラある本作も作風はそこまで変わっていません。では、どういった所に賛否があるのでしょうか？

【演出】ミュージカルシーンでガガが強すぎる！

本作では主演のホアキンそして、助演のレディ・ガガによる歌唱シーンがかなり多く登場します。歌とダンスを交えて2人の内面を描いており、リーが触媒となる形で、不安定な精神状態を視覚化していました。

しかし、一部のファンからは、“ジョーカーが観たいのにレディ・ガガが強すぎる”、“ダンスシーンはあるのに強盗シーンは一つもない”といった意見もありました。

筆者的にはアーサーを取り巻く状況は初めから暗澹としており、また法廷論争が主題なため、目立ったアクションシーンもありません。そういった意味ではかなり単調な画面が続いてしまうので、演出としては悪くないと感じました。

【脚本】ジョーカーに持ち上げられた男の末路が容易に想像できてしまう

アーサーという人間が社会的に追い詰められ、行き場を失った怒りが狂気として爆発。華美で暴力的に昇華されたカタルシスが前作の魅力でした。

それには、アーサー（ジョーカー視点）で物語が語られていることにあります。つまり、生放送中に銃をぶっ放したり、警察の追跡を見事に撒いたり、流石に“ジョークでしょ”といったように虚実入り混じったシナリオと見る側には考察・想像の余地があったということ。

しかし、今作では前作の出来事は実際にアーサーが起こした事になっています。となると、前作で痛々しく日常を描かれた心優しき青年が悪のカリスマとして真逆の立場となり、事件以降も先陣を切って社会を混沌の渦に落とし込むというのは、まぁないだろうと予想出来てしまいます。

総じて、映画冒頭に挿入されるジョーカーの光と影アニメーションで完結してしまうのが本作の悲しいところ。

【キャラクター像】俺たちのジョーカーは何処？

本作に否定的な意見に“ジョーカーじゃない”というものが多くあります。

歴史ある作品や大ヒットした作品にはよく見られる制作側と観客側にキャラクター像に開きがあるということ。

例えば、スターウォーズでは、オリジナル版を見ることは機会が減っており、ルーカス自身がCGの追加など、デジタル処理しアレンジされたバージョンが一般化されています。そのため、ファンからは「余計な手は加えないでくれ」という反応がありました。

他にも、一昔前のアニメや漫画の実写化作品にあまり良いイメージを持たないのは、この作り手と受け手のギャップにあります。

本作に関して言えば、観客側は「本作では、流石にジョーカーが存分に暴れてくれる」と期待していたのです。

ジョーカーといえば、強烈なジョークを交えつつ、ゴッサムシティの住人や観客の度肝を抜く犯罪計画を遂行し、バットマンと戦うヴィラン。

ジョーカーにはバットマンが必要で、犯罪界のピエロはダークナイトが存在するために自分のことを必要としていると信じている。そんな2人の関係があってこそ輝くとファンも知っていました。

しかし、当然ながら本作のブルースはまだ幼く両親も健在で、バットマンとは無縁の存在。そして、“トゥーフェイス”はいてもゴードン刑事はいません。特に狂気が爆発することもなく、淡々と2時間半が過ぎていくだけ。

「弁護士を首にして自己弁護、遂にジョーカー節が炸裂かと思ったら…」

「予告で大衆の面前で、ジョーカーとハーレクインがダンスするシーンは？」

という声が上がるのもある意味納得できます。

また本作では、アーサーという男を描くと同時にジョーカーを盲信する信奉者についても描かれています。

それを加味すると、少し冷たい見方かもしれませんが「ジョーカーに熱くなりすぎじゃない？ジョーカーなんて悪のヒーローでも何でもなく、現実にいたらこんな奴だよ。もちろん、君たちがガッカリするのも想定内」という制作サイドのメッセージかもしれません。

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映画「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ（ジョーカー２）」の制作情報・キャスト

この見出しでは、映画『ジョーカー：ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』の制作・キャスト情報を紹介。

▷ファイナル予告

□『ジョーカー：ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』

ジョーカー/アーサーフレック：ホアキン・フェニックス

本作の主人公。

スタンドアップコメディアンを目指すも、世間から日の目を浴びない中年男性。幼い頃からトゥレット障害により感情が高ぶると反射的に笑いだしてしまう。

前作では、元同僚やエリートサラリーマン、有名番組司会者を殺した罪で、アーカム州立病院（アーカムアサイラム）にて収監されている。

ジョーカーを名乗り生放送で司会者マレーを殺害した凶行から悪のカリスマとして持て囃されており、信奉者まで現れている。

本作では、特に自身の感情を吐露する場面で歌うことが多く、ミュージックセラピー先で出会った「リー」に特別な感情を抱いていく。

▷ホアキン・フェニックスの代表作

『グラディエーター』（2000年）

『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』（2005年）

『ナポレオン』（2023年）

リー：レディー・ガガ

本作のヒロイン。アーサーと同じくアーカム州立病院に入院している。アーサーには両親の虐待から逃れるために自宅に火を放った結果、入院することとなったと打ち明けていたが、実は精神病患者ではない。

むしろ、精神疾患を研究する医学生で、彼のジョーカーとしての立ち振る舞いに興味を持ち、わざと入院していた。

アーサーという人間よりもジョーカーに心酔しており、彼に思いを寄せる。

▷レディー・ガガの代表作

『ハンティング・グラウンド』（2015年）

『アリー/ スター誕生』（2018年）

『トップガン マーヴェリック』（2022年）

ジャッキー：ブレンダン・グリーソン

アーサーが収監されているE棟の看守長。大らかで歌好きなベテランだが、極めて利己的な人物。アーサーがメディアに注目されると自身の露出も増えると考えており、優しい態度を見せる。

しかし、アーサーや彼に熱狂し調子に乗った患者には、容赦なく折檻していく。

▷ブレンダン・グリーソンの代表作

『ギャング・オブ・ニューヨーク』（2002年）

『ハリー・ポッターシリーズ』（2005年）

『イニシェリン島の精霊』（2023年）

メリーアン：キャサリン・キーナー

アーサーを担当する弁護士。

前作で描かれたアーサーの凶行は、ジョーカーという別人格が起こした事件として、アーサーには責任能力が無いと主張する。

アーサーを担当する弁護士。

前作で描かれたアーサーの凶行は、ジョーカーという別人格が起こした事件として、アーサーには責任能力が無いと主張する。

▷キャサリン・キーナーの代表作

『マルコヴィッチの穴』（1999年）

『イントゥ・ザ・ワイルド』（2007年）

『ゲット・アウト』（2017年）

映画「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ（ジョーカー２）」のあらすじのまとめ

2024年10月公開の映画『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』のあらすじや公開時の反響などを紹介しました。

前作の圧倒的人気が故にハードルの高いスタートとなった本作、苦戦気味のスタートと言わざるをえませんが、鑑賞後は思わず誰かに語りたくなるほど熱を帯びた作品です。

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