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【パクリ映画?】パルプ フィクションを徹底解説。あらすじ/時系列順/トリビア/考察もあり。

あいづ

更新日:2021-7-8

<プロモーション>

ーアカデミー賞で7部門にノミネートー

ーカンヌ国際映画祭ではパルム・ドールを受賞ー

 

時系列バラバラ・名作映画パクリまくりの自由すぎる映画『パルプ フィクション』が、なぜ「20世紀のシネマを根底からくつがえした作品」とまで言われるのか、徹底した解説と共に、考察していきます。

 

・概要とあらすじ

・ストーリーを時系列順に並べてみた

・トリビア/オマージュの解説

・キャストやサウンドトラックを紹介

・感想と考察

 

この記事では、上記の順に本作を解説していきます。

 

タランティーノ監督の作品が大好きで彼の全作品を5回以上は視聴している筆者が、全ての知識を詰め込んで、この記事をお届けします。

 

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2021年7月現在、『パルプ フィクション』を視聴できる動画配信サービスは以下の通り。

 

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映画『パルプ フィクション』(1994)の作品概要 

 

監督

クエンティン・タランティーノ

脚本/原案

クエンティン・タランティーノ


ロジャー・エイヴァリー

受賞

アカデミー賞

カンヌ国際映画祭

メインキャスト

ジョン・トラボルタ

サミュエル・L・ジャクソン

ユマ・サーマン

ブルース・ウィリス

プロデューサー

ローレンス・ベンダー

 

『パルプ・フィクション』(Pulp Fiction)は、1994年のアメリカ合衆国のクエンティン・タランティーノ監督による作品。

 

アカデミー賞では7部門にノミネート。

作品賞(ローレンス・ベンダー)、脚本賞(クエンティン・タランティーノ、ロジャー・エイヴァリー)監督賞(クエンティン・タランティーノ)、主演男優賞(ジョン・トラボルタ)、助演男優賞(サミュエル・L・ジャクソン)、助演女優賞(ユマ・サーマン)、編集賞を受賞しました。

 

カンヌ国際映画祭では最高賞のパルム・ドールを受賞しています。

 

ちなみに、脚本賞を監督クエンティン・タランティーノと共に受賞している”ロジャー・エイヴァリー”は、タランティーノの処女作『レザボア・ドッグス』やトニー・スコットが監督を務めた『トゥルー・ロマンス』でタランティーノと共に脚本の一部を担当しています。

 

この記事では詳細はお伝えしませんが、タランティーノのキャリアに大きく影響を与えた人物でもあるので、気になる方はチェックしてみてください。

 

 

映画『パルプ フィクション』の登場人物とキャスト紹介

パルプ フィクションのメインの登場人物とそのキャストを紹介します。

 

ヴィンセント・ベガ(演-ジョン・トラボルタ)

 

ギャングのボスであるマーセルスの部下の殺し屋。マーセルスの命令で一晩だけ彼の妻:ミアの世話役をすることになる。

 

ジョン・トラボルタについて

『グリース』と『サタデー・ナイト・フィーバー』で70年代に一躍人気俳優になったものの、1980年代では落ち目に。そんな彼が再び、スターの座に返り咲くきっかけになったのが本作である。

 

 

ジュールス・ウィンフィールド(演-サミュエル・L・ジャクソン)

マーセルスの部下で、ヴィンセントのパートナー。人を殺す前に旧約聖書の一節を暗唱するという謎の信仰心を持っている。あることがきっかけで神の存在を心から信じ始め、ギャングからの引退を考える。

 

サミュエル・L・ジャクソンについて

 

本作をきっかけに監督:タランティーノの作品に登場することが増える。『ジャッキー・ブラウン』『キル・ビル Vol.2』『ジャンゴ 繋がれざる者』『ヘイトフル・エイト』などに出演。

 

ミア・ウォレス(演-ユマ・サーマン)

マーセルスの妻。元女優。ヴィンセントがマーセルスに頼まれミアの面倒を見ている時、コカインと間違えてヘロインを吸い、一時意識不明となった。

 

ユマ・サーマンについて

本作をきっかけに監督:タランティーノの作品に登場することが増える。『ジャッキー・ブラウン』『キル・ビル Vol.2』『ジャンゴ 繋がれざる者』『ヘイトフル・エイト』などに出演。

監督:タランティーノからオファーを受けたとき、男ばかりのギャング映画に出演するのに抵抗があった彼女。だがタランティーノの猛プッシュで出演を決意。その後、彼が監督する『キル・ビル』『キル・ビル Vol.2』にも出演している。

 

 

ブッチ・クーリッジ(演-ブルース・ウィリス)

プロボクサー。マーセルスに八百長試合を依頼される。曽祖父から受け継いだ金時計をとても大切にしている。

 

ブルース・ウィリスについて

彼は『ダイ・ハード』で一躍人気となった後、本作の一つ前に出演した映画『薔薇の素顔』でゴールデンラズベリー賞(アカデミー賞授賞式の前夜に「最低」の映画を選んで表彰するもの)にノミネートされる。だが、本作への出演を機に再度、脚光を浴びることなる。

 

ファビアン(演-マリア・デ・メディロス)

 

ブッチ・クーリッジの恋人。英語とフランス語を話す。ポコッと出たおなかがセクシーだと考えている。パンケーキが好き。

 

マリア・デ・メディロスついて

 

ネット上で『かわいい』『彼女の髪形を真似したい』など、視聴者からはヴィジュアル人気を集めいている。かなり童顔に見られるが、本作に出演していた時の年齢は28歳だった。

 

マーセルス・ウォレス(演-ヴィング・レイムス)

ビンセントらを取り仕切るギャングのボス。愛妻家として知られ、「妻のミアにマッサージをした部下をマンションから突き落とした。」という噂がある。

 

ヴィング・レイムスについて

1996年に始まった『ミッション:インポッシブル』シリーズでは、トム・クルーズを除けば、唯一全作に出演している。彼の風貌から、アクション、ギャング、刑事モノの作品によく登場する。

 

パンプキン(演-ティム・ロス)

 

カップル強盗。食事をしているコーヒーショップで強盗をしようと言い出す。イギリス訛りの英語を話す。

 

ティム・ロスについて

 

イングランド出身のティム・ロスも監督:タランティーノの作品によく登場する。タランティーノの処女作『レザボア・ドッグス』や『ヘイトフル・エイト』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』などに出演。いつもアメリカ訛りを真似ているが、イギリス訛りを隠せていない。

 

ハニー・バニー(演-アマンダ・プラマー)

 

パンプキンの彼女。気は荒いが、パンプキンの言うことはよく聞く。本名はヨランダ。

 

アマンダ・プラマーについて

 

彼女は本作でなかなかの狂気っぷりだったが、他作品でもホラー、サイコ、依存症患者として彼女の演技力を発揮している。

 

ジミー(演-クエンティン・タランティーノ)

 

 

ジュールスの友人。ジュールスが誤って少年を車内で射殺したため、死体処理のために家を貸し出した。看護師・ボニーを妻に持つ恐妻家。

 

クエンティン・タランティーノについて

 

本作の監督。ほぼ自分の脚本・監督した映画に何かしらの形で出演している。ただ、本作でお分かりの通り、彼の演技力は…。周りから指摘があったのだろう、パルプ フィクション以降は、超わき役やナレーターとして出演している。日本での愛称はタラ、タラちゃん。

 

 

 

 

時系列バラバラ!『パルプ フィクション』のあらすじ解説

まずは本作のストーリーを時系列バラバラのまま辿っていきましょう。

 

シーン1(オープニング):パンプキンとハニー・バニーの強盗計画

コーヒーショップにて、一組のカップル(パンプキンとハニー・バニー)が強盗計画を企てている。銀行、酒屋、バー…どこが一番金を引き出しやすいのか話し合った結果、自分たちが今いるコーヒーショップが都合が良い、という結論にいたり客に銃を向ける。

 

シーン2:ヴィンセントとジュールスがマーセルスのアタッシュケースを取り返す

 

 

ギャングのボス、マーセルスの手下であるヴィンセントとジュールスが、雑談をしながらアタッシュケースを盗んだとされる青年たちのアパートに車で向かう。アタッシュケースを回収後、ジュールスが暗唱したという聖書の一節を読み上げ、青年たちを銃殺する。だがそこには隠れていた1人の青年がいた。青年が部屋から出てくると同時に、ヴィンセントとジュールスに向かって弾が尽きるまで発砲するも1発も2人には当たらなかった。その出来事をジュールスは「奇跡が起こった」と言い、神を心から信じ始める。

 

シーン3:バーでの会話

とあるバーでプロボクサー、ブッチがマーセルスと八百長の口合わせをし、現金を受け取る。そこにヴィンセントとジュールスが現れ、マーセルスに青年たちから回収したアタッシュケースを返す。初対面のヴィンセントとブッチは短い会話もするも、険悪な雰囲気で終わる。

 

シーン4:ヴィンセントとミア

ヴィンセントはボスであるマーセルスに、彼の妻、ミアの面倒を見るようにと頼まれていた。ただ、マーセルスには『ミアの足のマッサージをした部下を窓から突き落とした。』という噂があり、ヴィンセントは少し落ち着かないようだった。そんな緊張をほぐすためか、ヴィンセントは売人の家で最高級のヘロインを買ってから、ミアのもとへ向かう。ヴィンセントとミアはエルヴィス・プレスリーがお気に入りだったというレストラン(ジャック・ラビット・スリム)で食事をすることに。ヴィンセントはステーキ、ミアはハンバーガーと5$のシェイクを注文する。

 

 

2人が食事をしているとダンスコンテストが始まった。優勝者にはトロフィーが与えられる。ダンスにあまり乗り気でないヴィンセントだったが、ミアがどうしても優勝トロフィーが欲しいと言い張り、2人はダンスをする。シーンは切り替わり、トロフィーを手に抱えた2人はミアの家に戻る。短い時間を過ごしただけだったが、ミアへの気持ちが芽生えたヴィンセント。だが、ボスの妻に手は出せまいと、トイレでミアとスムーズに別れの挨拶をする計画を立てていた。その間、ミアはヴィンセントのコートにポケットに入っていたヘロインを見つける。ミアはそれをコカインだと勘違いし、鼻から吸引して意識不明状態に。ボスの妻が死んでしまうかもしれないという絶体絶命の状態に陥ったヴィンセントは、ヘロインの売人の元へミアを車に乗せて向かい、アドレナリン注射をミアに刺して救済。

 

ヴィンセントはミアを再び家に送り届けて、別れる。

 

シーン5:ブッチの金時計とマーセルス

 

ブッチは幼い頃、クーンツという男から、曾祖父の形見である金時計を受け取っていた。その回想の後、ブッチはボクシングの試合会場の控室で目を覚ます。ブッチは八百長を約束していたマーセルスを裏切って、弟に自分の試合に大金を賭けさせ、ひと儲けする。その後、タクシーで逃亡。マーセルスはブッチが裏切ったことを知って憤怒し、彼を殺すよう部下に伝える。一方、ブッチは帰路に着き、恋人のファビアンと過ごす。

 

計画は全て順調だと思えたが、ブッチが大切にしている曾祖父からもらった金時計をファビアンが昔の家においてきてしまったと知って激怒する。ブッチが以前の家に戻り、金時計を探していると、誰かが、キッチンにマシンガンを置いて、トイレを利用していることに気づく。トイレに入っていたのは、マーセルスにブッチ殺しを頼まれていたヴィンセントだった。ブッチは、トイレから出てきたヴィンセントをキッチンに置いてあったマシンガンで射殺。その後、金時計を手に入れ、上機嫌でファビアンの元へ戻る途中、マーセルスに遭遇。

 

ブッチはマーセルスから逃れるため、ある質屋に逃げ込む。だが、その店主はゲイのレイプ魔だった。ブッチとマーセルスは店主に捕まり、はじめに選ばれたマーセルスがレイプされた。ブッチはマーセルスを見捨てて逃げることができたが、マーセルスを気の毒に思い、店にあった日本刀で店主を殺し、マーセルスを救う。

 

そこで、借りができたマーセルスは『ここで起こったことは他言無用』『もう二度とロサンゼルスへ戻らない』という2つのことを約束させ、ブッチを逃がすことに。ブッチは帰宅後、ファビアンとオートバイでどこかへ走っていった。

 

シーン6(エンディング):ヴィンセントとジュールス/パンプキンとハニー・バニー

ヴィンセントとジュールスは青年たちを射殺し、アタッシュケースを回収した後、生き残っていた1人の青年を連れて、マーセルスの元に向かう。だがその道中、車が揺れたはずみでヴィンセントが生き残りの青年を射殺してしまう。ジュールスは血だらけになった車と死体を隠すため、友人ジミーの家を借り、死体処理専門のミスター・ウルフを呼ぶ。車を綺麗にし、身体を洗い、ダサいTシャツを貰って着替え、証拠隠滅は完了。その後、朝食を食べにコーヒーショップへ向かった。コーヒーショップで食事をしている時、ジュールスは、神を信じてギャングを引退することについてヴィンセントに話す。その会話の途中でヴィンセントがトイレへ行くため席を離れる。しばらくして、一組のカップル(パンプキンとハニー・バニー)のコーヒーショップ強盗が始まった。パンプキンが1人ひとりの財布を回収する途中、ジュールスの持っているアタッシュケースに目が留まる。ケースの中身が気になったパンプキンは、ジュールスを脅し中身を見る。その中身に気を取られたパンプキンはジュールスに態勢を取られてしまう。

 

 

だが、ジュールスは何をすることもなく、だたパンプキンとハニー・バニーを説得し、『1500$でお前らの命を買う』といい、お金を渡す。パンプキンとハニー・バニーが店から出たあと、ヴィンセントとジュールスもコーヒーショップを後にする。

 

 

 

解説:映画『パルプ フィクション』を時系列順に並べてみた 

 

【シーン2】

ヴィンセントとジュールスが青年たちからマーセルスのアタッシュケースを取り返す。ジュールが聖書の一節を暗唱し青年たちを射殺。

  ⇩

【シーン6】

ヴィンセントとジュールスはアタッシュケース盗んだ青年たちのうち、1人の青年を生かしておいたが、車内で誤って射殺・証拠隠滅。その後、コーヒーショップで朝食を取ることにする。

  ⇩

【シーン1】

パンプキンとハニー・バニーの強盗計画。

  ⇩

【シーン6】

ヴィンセントとジュールスはパンプキンとハニー・バニーに遭遇する。ジュールスは2人を説得。その後ヴィンセントとコーヒーショップを後にする。

  ⇩

【シーン3】

バーにて。ブッチはマーセルスと八百長の口合わせをしていると、ヴィンセントとジュールスが現れ、アタッシュケースをマーセルスへ返す。

  ⇩

【シーン4】

ヴィンセントとミアの初対面。食事後、ミアはヘロインを誤って服用し、意識不明に。アドレナリン注射をして救済。

  ⇩

【シーン5】

ブッチがマーセルスを裏切り、逃亡。その後、ファビアンの忘れた金時計を昔のアパートへ取りに行ったとこヴィンセントと遭遇・射殺。すぐにマーセルスにも遭遇。ブッチは逃げ込んだ店の店主にレイプされたマーセルスを救い、二度とロサンゼルスに戻らない約束をし、ファビアンとどこかへ向かう。

 

バラバラの時系列だった本作を、ストーリーに沿って並べると上記のようになりました。

 

ちなみに、[シーン6]で、ジュールスはギャングを引退すると話していましたが、その後の[シーン4,5]ではジュールスの姿はなく、ヴィンセントが単独で登場していたので本当に引退したようですね。

 

では、ストーリーの流れをおさらいしたところで、本作に隠されたトリビアを見ていきましょう。

 

 

『パルプ フィクション』に隠れたトリビアを解説/考察

 

パルプ フィクションのストーリーには多くのトリビアがあります。

 

今回は、ネットで話題になっていた有名なモノから、ほとんどの人が知らないであろうモノまで紹介します。

アタッシュケースの中身はマーセルスの魂?

ヴィンセントとジュールスが青年たちから取り返した中が光るアタッシュケース。

 

実は、あのアタッシュケースの中身については明確にされていません。

 

ネット上では、あのアタッシュケースにはマーセルスの魂が入っているという仮説が多いです。おそらく、マーセルスのうなじに貼られている大きな絆創膏がその理由でしょう。

 

ちなみに、その絆創膏についてですが、マーセルス役のヴィング・レイムスがプライベートで誤って傷つけてしまったうなじの傷を監督タランティーノが本作のために活用したそう。

 

そんなランダムさを考えると、アタッシュケースの中身の答えは用意されていないかもしれません。

 

ダンスコンテストで手に入れたトロフィーは盗んだものだった

ダンスコンテストでヴィンセントとミアが踊っているシーンから、2人がトロフィーを抱えて家に戻るシーンへ切り替わりましたが、実際には2人は優勝しておらず、トロフィーを盗んだようです。

 

本作の[1:28:00]ごろ、ブッチが金時計を取りに家に戻るシーンのバックで流れているラジオで『ダンスコンテストの優勝トロフィーが盗まれた。』というニュースが流れているところから分かります。

 

ジュールスの財布は監督タランティーノの私物だった

ジュールスがコーヒーショップ強盗のパンプキンに渡した財布をよく見てみると、「BAD MOTHER FUCKER」という刺繍が入っています。

 

実はこれ、当時、監督タランティーノが実際に愛用していた財布だそうです(笑)

 

映画上映以降、多くの会社がこの複製を作ったらしく、今でもアマゾンなどで手に入りますよ。

 

ヴィンセントのトイレは危険のサイン

 

ヴィンセントは本作で3回、トイレに行くのですが、そのたびにストーリーの展開が変わります。しかも悪い方へ。

 

1回目:ミアの家でトイレを借りている間、ミアがヘロインを誤って吸って意識不明に。


2回目:マーセルスの命令でブッチの家を捜索していたヴィンセント。その途中、トイレに入っていたところを、金時計を取りに帰ってきたブッチに射殺される。


3回目:コーヒーショップでトイレに入っている間、コーヒーショップが強盗(パンプキンとハニー・バニー)に襲われていた。

 

この”トイレに行くたびに”というカッコ悪さが、面白い演出ですね。

 

ヴィンセントのトイレのお供は『Modesty Blaise』というイギリスのスパイ小説

ヴィンセントがトイレで読んでいた小説は、 『Modesty Blaise(1966年)』というイギリスのスパイコメディです。漫画化や映画化もされています。

 

10年後に上映される『キル・ビル』の予告がされている

ミアが出演していたという、TVシリーズのパイロット版「フォックス・フォース・ファイブ」の美女五人組は、映画『キル・ビル(2003年)』でザ・ブライド(ユマ・サーマン)が所属していた五人組「THE DiVAS」の元となっています。

 

10年後に発表するであろう映画の設定を、映画のキャラクターに発表させ、しかもそのキャラクターを演じた女優を主人公にするという、洒落が利いた演出です。

 

映画『レザボア ドッグス』のキャラクター達との隠れた血縁関係

監督タランティーノの映画にはたびたび彼の作品と通ずるキャラクター達が存在します。

 

例えば、本作に登場するヴィンセント・ベガはタランティーノの処女作である映画『レザボア・ドッグス』のミスター・ブロンド(ヴィック・ベガ)の弟です。

 

また、ジュールスの友人、ジミー・ディミック(クエンティン・タランティーノ)は『レザボア・ドッグス』の主人公であるラリー・ディミック(ハーヴェイ・カイテル)と血縁関係があります。

 

 

ちなみに、パルプ フィクションでは、ハーヴェイ・カイテルが、死体片付け人のザ・ウルフとして、ジミー・ディミックと会話をするシーンが多く、それもこの2人のつながりを強調するためだと思われます。

 

あの有名アーティスト、バンクシーも影響を受けた

 

 

あのイギリスを代表する匿名ストリートアーティストのバンクシーも、本作にインスパイアされていました。

 

バンクシーの作品の1つに、ヴィンセントとジュールスに、銃の代わりにバナナを持たせたイラストがあります。パルプ フィクションの上映から8年後の2002年にロンドンのオールド・ストリート駅近くの壁面で制作されました。

 

非常に人気があった作品でしたが、ロンドン交通局は「グラフィティの放置と社会的腐敗の一般的な雰囲気は犯罪を助長する」として消去されてしまったようです。

 

ですが、バンクシーは、再び同じ場所にパルプ フィクションにちなんだ作品を制作しました。2つ目は、ヴィンセントとジュールスの服装がバナナになり、銃を構えているというもの。

 

バンクシーのブラックユーモアは、本作パルプ フィクションと似ているのかもしれません。

 

タランティーノの映画にだけ登場するハンバーガーショップとタバコ

 

 

”レッドアップル”は本作でブッチやミアが愛用していたタバコの銘柄です。

 

これは、タランティーノの創作した架空のもので、本作以外では『キル・ビル』の看板として登場するほか、『ジャンゴ 繋がれざる者』や『ヘイトフル・エイト』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』などでも登場しています。

 

さらに本作に登場したハンバーガーショップにも注目してもらいたいです。

 

本作で、ジュールスが絶賛していたあの”ビッグカフーナバーガー”も、タランティーノの映画のみで登場するお店となっています。『デス・プルーフ』『フォー・ルームス』『フロム・ダスク・ティル・ドーン』などでも登場します。

 

売人のランスが着ていたキャラ物のTシャツは日本アニメ『マッハGoGoGo』

 

 

こんなで、日本作品が登場していました。

 

『マッハGOGOGO』とは1967年~1968年にフジテレビ系列で放送された自動車レース(スポーツカーレース)をテーマとした子供向けのテレビアニメ。

 

アメリカ版はなんとマトリックス三部作を手がけたウォシャウスキー姉妹が監督し、2008年の夏に劇場公開されました。洋題は”Speed Racer”です。

 

以上、パルプ フィクションとそれに関連するトリビアでした!

 

さて、このようにトリビア満載で、独創的なパルプ フィクションですが、他の映画からセリフやシーンを「パクってきてる」というような話もあります。

 

次からはパルプ フィクションが本当にオリジナル作品なのか、監督タランティーノの証言やパクったと言われているシーンについて注目していきましょう。

 

 

パクりの天才!監督タランティーノが名作映画から盗んだシーンを紹介

本作の監督タランティーノはあるインタビューで、「他の映画をパクってますよね?」という質問に返し、堂々とこう返しています。

 

“I steal from everything. Great artists steal; they don’t do homages.”

「私はありとあらゆる作品から盗む。才のあるアーティストはオマージュなんてせず、盗むもんだ。」

 

そんなわけで、パルプ フィクションにもタランティーノが名作映画からパクって来た要素が数えきれないほどありました。(※「パクり」を連呼するのもアレなので、以下、オマージュと言わせていただきます。)

 

その中でも印象的で、興味深い作品を次から紹介していきます。

 

あのダンスシーンはイタリア映画『8 1/2』のオマージュ

 

 

パルプ フィクションで、最も有名なシーンと言っても過言ではない、ヴィンセントとミアのダンスシーン。


あのシーンは、アカデミー賞にノミネートされている名作イタリア映画『8 1/2(1963年)』のオマージュです。

 

ダンスシーンの撮り方、シーンの切り取り方、振付、女性の髪型とクラシックな服装、男性のスーツ姿まで似ている部分が多くあります。

 

監督タランティーノは、この50-60年代あたりのダンスをとても気に入っているらしく、アカデミー賞のレッドカーペットやテレビ番組などで、よく踊っています。

 

ジュールスの聖書の引用は日本映画『ボディガード牙』のオマージュ

『パルプ・フィクション』の中でジュールスがこのセリフを言う前に「旧約聖書のエゼキエル書25章17節」と引用元を言っていますが、これは嘘です。

 

実際の旧約聖書のエゼキエル書25章17節に載っているのは最後の2行だけです。

 

実は、このジュールスの決め台詞には、元ネタがります。

 

それは日本人男優、千葉真一主演のアクション映画『ボディガード牙(1973年)』のアメリカ版の冒頭に流れるナレーションです。

 

以下、本家のオープニングシーンの動画です。

 

 

ちなみにタランティーノは千葉真一の大ファンで、2003年に上映された『キル・ビル』では彼にオファー。千葉真一は服部半蔵役を務めた他、女優たちに剣術を指導したそうです。他『デス・プル―フ』の来日記者会見でも千葉真一がタランティーノの応援に駆けつけてます。

 

横断歩道で会いたくない人に鉢合わせはホラー映画『サイコ』のオマージュ

プロボクサーブッチが、曽祖父の形見である金時計を回収した後、車で信号待ちをしている時に、同じ道路を横断しようとしているマーセルスに見つかるシーンがあります。

 

これは、監督アルフレッド・ヒッチコックによるサスペンス映画『サイコ(1960年)』のオマージュです。

 

主人公:マリオンが車で会社の金を持ち逃げしようとした時に、彼女のボスが偶然通りかかるという設定でした。

シーンだけでなく、キャラクターたちの心情まで全く同じという部分は、インタビューの通りがっつり名作映画に寄せていますね。

 

シェイクの名前は黒人と白人のコメディアンのオマージュ

 

ミアがシェイクを頼んだ時、ウエイターが「マーティン&ルイス?それともアモス&アンディ?」と聞きましたが、これは1940-50年代に人気だったコメディアンの名前です。

 

マーティン&ルイスは白人コンビのため”バニラシェイク”を意味していて、アモス&アンディは黒人コンビのため”チョコレートシェイク”を意味しています。

 

監督タランティーノは良くも悪くも、こういった人種ネタを自身の映画に入れることが多々あります。

 

ちなみに、ミアが頼んだ「ダワード・カービー」というハンバーガーは、アメリカで1950年に人気だったアナウンサーに由来しているようですね。

 

アタッシュケースの”何か”は映画『キッスで殺せ』のオマージュ

 

先程、アタッシュケースの中身は明かされていないと説明しましたが、実はこれにも元ネタがありました。

 

アタッシュケースの”何か”はサスペンス映画『キッスで殺せ(1955年)』のオマージュです。

 

この作品では、『アタッシュケースの中身を見ると恐ろしいことが起こる』という設定でしたが、パルプ フィクションでは、アタッシュケースの中身を見た人(ヴィンセントと強盗のパンプキン)は驚いて言葉を失うほど感激しているので、元ネタとは真逆の反応ですね。

 

このオマージュをしつつも、設定を真逆にしているという部分には遊び心があるなぁと感心しました。

 

ミアとヴィンセントのドライブシーンはジョン・トラヴォルタが出演した映画のオマージュ

 

 

ミアがヴィンセントとディナーに行く前の印象的なドライブシーン。

 

これの元ネタは2つあるのですが、その両作品ともにヴィンセント役を務めたジョン・トラヴォルタが登場しています。

 

1つは、スティーブン・キングが原作を書いた映画『キャリー(1976年)』です。

 

もう1つはミュージカル映画『グリース(1978年)』です。

 

ダンスシーンをはじめ、監督タランティーノはジョン・トラボルタの過去作の要素を本作に取り入れたかったようですね。

 

ミアが指で四角を作るシーンはアニメ『原始家族フリントストーン』のオマージュ 

ドライブシーンの最後、ミアとヴィンセントがレストランに入る前、レストラン(ジャック・ラビット・スリム)を見たヴィンセントが「こんなお店?俺はステーキが食べたい。」と言います。

 

その時、”Don’t be a …”と言って、ミアが四角マークを作ります。

 

これは「四角く(お堅く)、ならないで=柔軟に考えて」というようなニュアンスを持っています。

 

そんなジェスチャーの元ネタは、『原始家族フリントストーン』という1960年代にアメリカで放送された、多くの恐竜を使役し様々な石器を用いたコメディアニメ。

 

内容は全く関係ないですが、この四角く枠を描くジェスチャーが使われました。

 

ブッチの武器選びは『13日の金曜日PART2』『ワイルド・タウン/英雄伝説』『悪魔のいけにえ』『ザ・ヤクザ』のオマージュ

 

ブッチが質屋でマーセルスを救うために手に取った武器たちの元ネタは以下の通り。

 

「ハンマー」⇒『13日の金曜日PART2』

「バッド」⇒『ワイルド・タウン/英雄伝説』

「チェーンソー」⇒『悪魔のいけにえ』

「日本刀」⇒『ザ・ヤクザ』

 

どれも監督タランティーノの好きな映画たち。

 

そして、最後に日本刀を選び、ブッチに日本刀を使わせたのは、タランティーノが日本の任侠作品が大好きだからです。

 

さらに、パルプ フィクションで登場した武器たちはタランティーノの他の作品にも登場します。

 

「日本刀」⇒『キル・ビル(2003年)』

「バット」⇒『 イングロリアス・バスターズ(2009年)』

「ハンマー」⇒『ジャンゴ 繋がれざる者(2012年) 』

 

ただ、チェーンソーがまだ登場していないので、次回作に出てくるのに期待です。

 

以上、オマージュの紹介でした!

 

でも、実は、タランティーノのオマージュした作品は、海外サイトでサクッと調べただけでも50個以上は出てきたので、厳選して今回紹介しました。

 

もしかしたら他の映画を見ている時に、「あ!このシーン、パルプ フィクションにあったな」と気づくことがあるかもしれません。私は一度、『ブルース・ブラザーズ』でありました。気になる方は視聴してみてください。

 

映画と映画をつないだ本作は私たちにそんな楽しみ方もさせてくれます。

 

 

ストーリーだけじゃない!最高にクールな音楽まとめ 

タランティーノは映画だけでなく、音楽にもかなりこだわりがあるようで、どの作品でもジャンルが違う個性豊かな曲たちを使っています。

 

ここでは、パルプ フィクションの中から皆さんに今一度、フルで聞いていただきたい曲をちょっとしたトリビアと共に紹介します。

 

“ミザルー(Misirlou)”(ディック・デイル&ザ・デルトーンズ)

[オープニングシーン]

この映画を機に突如人気となったこの曲。パルプ フィクションの影響を受けてフランス映画「TAXI(1998年)」のオープニングでも使われました。本作のオープニングのパンプキンとハニー・バニーの雄たけびから、この曲が流れる疾走感がたまらなくカッコイイです。

 

“Son of a Preacher Man”(ダスティ・スプリングフィールド)

 

https://youtube.com/watch?v=DjydOI4MEIw

[ヴィンセントがミアの家に入ったシーン] 

 

「ローリング・ストーンが選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」において第35位を獲得した、イギリス出身のダスティ・スプリングフィールドの曲。

厳格なクリスチャン青年同士の恋を歌ったこの曲は発表された当時(1960年代)には見向きもされなかったそう。近年になって人気となった、心地よいメロディーを奏でるソウルミュージックです。

 

“You Never Can Tell”(チャック・ベリー)

[ヴィンセントとミアのダンスシーン]

 

アメリカのロックンロール創始者の1人で「ロック界の伝説」と敬わたチャックベリーが1964年に発表した曲。アメリカのオリコンでは14位、イギリスでは23位を収めました。

若き夫婦生活を語るノスタルジックな歌詞と、リズムにのった韻、そしてヴィンセントとミアのダサ・カッコイイダンスに本作を観た人の多くが魅了されたでしょう。

 

“Comanche”(ザ・レベルズ)

[ブッチがマーセルスを救うための武器を選ぶシーン]

 

1960年代に流行ったサーフミュージックを主とするロックバンド、ザ・レベルズの一曲。

 

元々、タランティーノはこのシーンでザ・ナックの”My Sharona”を流す予定だったのですが、同じ年公開の映画『リアリティ・バイツ』に使用されていたため、曲を変更したようです。

 

私は『リアリティ・バイツ』も視聴したことありますが、あちらは”My Sharona”で、パルプ フィクションは“Comanche”で完璧にマッチしているので、個人的には変更になって良かった部分です(笑)

 

ちなみに、パルプ フィクションのエンディングの曲”sarf rider”もザ・レベルズが演奏しています。

 

 

感想/考察の前に:『パルプ フィクション』タイトルの意味は「低俗でくだらない話」

パルプ フィクションの世間の感想を見ると「最高!」という意見がある反面、「意味不明だった、ストーリーがよく分からなかった。」という意見も多いです。

 

ここではその「意味不明」派の方へ向けて、知っておいてもらいたい本作のタイトルの意味について解説します。

 

そもそも、パルプ フィクションのパルプ(pulp)とは、紙を作るための安い原料のことです。それを元に作られた、アメリカで20世紀初頭から1950年内に流行った”大衆向け三流雑誌”を「パルプマガジン」(pulp magazin)と言います。

 

そして、その安い雑誌に当時掲載されていた漫画たちは総じて「パルプフィクション」pulp fictionと呼ばれていました。

 

安い雑誌に載った、安っぽいフィクション話…

そこから由来する本作のタイトルの意味は「低俗でくだらない話」です。

 

このタイトルから考えるに、監督タランティーノは、誰かを感動させるようなオリジナル性を持った超大作を制作するつもりはこれっぽっちもなかったんだろうと私は思います。

 

でも、自分が大好きな名作映画や音楽を詰め込んで、皮肉たっぷりのタイトルを付けた映画が、アカデミー賞とカンヌ国際映画祭の最高賞を受賞してしまったんです。

 

カンヌ国際映画祭の授賞式では、『こんなことあるはずない!!』と物申した女性がいるのですが、タランティーノはステージから笑って彼女に中指を立てていました(笑)

 

なので、この映画に対する「意味不明」という感想は、ある意味、正解なのです。

 

では、なぜそんなストーリー性の薄い、「意味不明」な本作がここまで評価されたのか、以下私の感想と共に考察します。

 

 

感想と考察:パルプ フィクションは究極の映画オタクが作った最高傑作

私がパルプ フィクションに出会ったのは高校2年生の頃。最初は「なんかめちゃくちゃにカッコいいこの映画!」という低レベルな感想からはじまり、それから数えきれないくらいこの作品を視聴し、タランティーノの他の作品も繰り返し視聴しました。

 

今ではもう少し真っ当な感想が言えると思うので、ここで書かせていただきます。

 

タランティーノオタク(?)の私が考えるこの作品が名作と評価される理由は以下の3つです。

 

・一つ一つのシーンに浸れるストーリー構成

・意外なキャスティング

・監督が映画オタクすぎる

 

まず、パルプ フィクションでは時系列をバラバラにするという当時では極めて珍しい映画のストーリー構成となっています。よって、オーディエンスは本作の”ストーリーを追う”ことをしなくてよいのです。

 

その「時系列をバラバラにするというモダンな構成」に付け加え、「1940-1960年代の名作映画のヴィンテージ感」や「頻繁にぶち込まれる陳腐なジョーク」「最高のタイミングで流れる音楽たち」で、私たちはパルプフィクションの”ストーリー”でなくて、”シーン”を楽しむことができます。

 

例えば、あの有名なヴィンセントとミアのダンスシーンや、”ミザルー”の曲と共にパンプキンとハニー・バニーの雄たけびからはじまるオープニングシーン、ヴィンセントとジュールスがフランス語でマクドナルドのメニューを何て呼ぶのかで盛り上がるシーンなど…

代わる代わる切り替わる映像はストーリー性はないけれど、印象的な”シーン”としてできあがっています。

 

なので、パルプ フィクションはストーリーから観るというより、”シーンに浸る”という楽しみ方が正しいのかもしれません。

 

それを証拠に、インスタグラムで「#pulpficion」で検索すると100万以上の投稿、「#パルプフィクション」でも1万投稿ほどされています。

 

他のタランティーノの作品や、他の人気映画で検索をかけてみてもここまで作品と関連づけられた投稿でインスタの画面が埋まるものはなかったです。よって、オーディエンスがパルプフィクションのストーリーでなく、”シーン”を楽しんでいるのは明らかです。

 

そして、次に注目したいのはキャスティング。

 

パルプ フィクションでは「え、あの役者が、この役で出てるの?」というような意外なキャストが多いです。

 

例えば、

 

『サタデー・ナイト・フィーバー』のブームを終え、落ち目だったジョン・トラボルタ。そんな彼が、また映画に登場、しかも今回は70年のディスコミュージックじゃなくて60年のロックでダサ・カッコよく踊っている。

 

今まで大きな功績を残したことのない、どちらかというと保守的な映画にばかり登場していたユマ・サーマンが、突如男だらけのギャング映画に出て、ヘロインを吸って倒れたり、ギャングのボスの妻をやってる。

 

『ダイ・ハード』でカッコよく銃をぶっぱなしていたブルース・ウィリスが、日本刀でレイプ魔を切り、ギャングのボスを助けている(?)。

 

…といった、当時の役者たちの意外性と良さを最大限引き出した、タランティーノのキャスティングが、本作に多くの人が魅了される理由の一つかと思います。

 

他のタランティーノの作品を例に出してみても、この意外なキャスティングはパルプ フィクションのみだと私は考えています。

 

例えば、タランティーノの最新作、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。主演はレオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット、マーゴット・ロビーの豪華キャストですが、彼らの演じたキャラクターは、全て彼らの前作から引き継いだような印象でした。

映画のコンセプトは面白かったですが、個人的にメインキャストのキャラが強すぎて、”キャストで売っている映画”といった感じでした。

 

そんな点から見ても、パルプ フィクションは映画のキャラクターを殺さず、キャストの良さも引き出したバランスのいい作品かと思います。

 

で、これを可能にしたのが、当時のタランティーノの世論なんて気にしない、自分が楽しめる映画を作りたいという映画オタク魂です。

 

何か強いメッセージを伝えたいとか、秀逸なオチでオーディエンスを感動させたいとかではなく、監督自身のユーモアを全開にして、自己満足を追及したからこそ「20世紀のシネマを根底からくつがえした作品」とまで言われる映画になったのかもしれません。

 

そして、この時代のタランティーノには今よりもはるかにオタク魂と遊び心があったと私は思います。今でも彼の映画は面白いですが、年々ハリウッド感が強くなっている印象を受けます。

 

よく「タランティーノはパルプ フィクションを超えられない。」という意見を目にしますが、これも理由の一つでしょう。

 

 

『パルプ フィクション』を視聴するなら無料トライアルがあるU-NEXTがおすすめ 

以上、パルプ フィクションの解説と考察でした。

 

パルプ フィクションが好きでこの記事を見に来てくれた方も、意味不明だったからたどり着いた方にも、この解説を読んだあとに本作をもう一度視聴していただきたいです。

 

そしてパルプ フィクションに込められた、タランティーノの映画愛を感じてくれたら嬉しいです。

 

2021年7月現在、『パルプ フィクション』を視聴できる動画配信サービスは以下の通り。

VODサービス

配信状況

Netflix

U-NEXT

(無料トライアルあり)

Lemino

(無料トライアルあり)

Prime Video

レンタル

上記の中では、1か月の無料トライアルができるU-NEXTがおすすめ。

レンタルによる追加課金も不要なので、お金をかけずに『パルプ フィクション』を視聴できますよ!

 


※本ページの情報は2021年7月時点のものです。最新の配信状況は各動画配信サービスサイトにてご確認ください。

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執筆

あいづ

筋トレ、ダンス、散歩、猫が好き。よく言語を映画やドラマから勉強していて、最近はフランス語にハマっています。皆さんの疑問がスッと解決する記事づくりを心がけています!

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