『オッドタクシー』は3作品全て視聴することで、より楽しめる本格ミステリー
かわいい動物たちのビジュアルを(いい意味で)裏切る、本格的サスペンス。張られた伏線が見事なミステリー。
TVアニメを見ただけでは、なぜ?が残ることも、映画やYou Tubeのオーディオドラマ・漫画など、ほかの作品を見ることで「あの時あのキャラはこんなことをしていた」「あのキャラとこのキャラって実は知り合いだった」ということが分かるので、もしTVアニメを気に入ったら映画版とオーディオドラマも見ることをオススメします。
▼オッドタクシー関連作品
TVアニメ
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本編
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映画版
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総集編
(TVアニメED後の補足)
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オーディオドラマ
(You Tubeにて公開中)
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スピンオフ
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漫画版
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本編
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漫画版
『ルートオブオッドタクシー』
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探偵側のスピンオフ
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小説版
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本編
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Web掲載シナリオ
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前日譚
(大門兄弟と小戸川の出会い)
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映画入場者特典
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未公開証言・盗聴記録
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あらすじ・相関図
▼あらすじ
平凡な毎日を送るタクシー運転手・小戸川。身寄りはなく、他人とあまり関わらない、少し偏屈で無口な変わり者。趣味は寝る前に聞く落語と仕事中に聞くラジオ。一応、友人と呼べるのはかかりつけでもある医者の剛力と、高校からの同級生、柿花ぐらい。
彼が運ぶのは、どこかクセのある客ばかり。バズりたくてしょうがない大学生・樺沢、何かを隠す看護師・白川、いまいち売れない芸人コンビ・ホモサピエンス、街のゴロツキ・ドブ、売出し中のアイドル・ミステリーキッス…何でも無いはずの人々の会話は、やがて失踪した1人の少女へと繋がっていく。
「なぜ動物?」主人公の病気と押し入れの中身
主人公・小戸川が狙われる原因となった「押し入れの中身」。
なぜ誰にも相談できなかったのか、小戸川の病気とはなんなのか、解説していきます。
高次脳機能障害による視覚失認
主人公の小戸川は人間が正しい形で目に映りません。全て動物に置き換えられてしまいます。
その描写は1話の病院でのやり取りですでに描かれていましたね。
「俺は何に見える?」
「ゴリラ」
「…間違っちゃいねぇな。」
小戸川は幼い頃、母親の無理心中によって海で溺死させられそうになりました。
しかし、小戸川は車の中から自力で逃げ出し、一命を取り留めます。そのころから、小戸川の目に人間は動物になって映るようになりました。
●なぜ視覚が元に戻ったのか
TVアニメ最終話で、小戸川が警察に追われ追い詰められ、やけくそになって車ごと海に飛び込んだその後、小戸川の目は人間を正常に映すようになります。
どうして元に戻ったのか、それが語られることはありませんでした。
状況的に、トラウマの再現によるショックと、助けに来てくれた白川が関係しているのではないでしょうか。
過去のトラウマを再現した状況で、白川が助けに来てくれた。
それはきっと、彼の命を救うとともに、幼い時分の小戸川の心も救ったのではないでしょうか。
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【ネタバレ】押し入れの中身は?色んな人から狙われる理由
押し入れの中身は「ただの猫」でした。
しかし、小戸川は上記の病気のせいで、人間が動物に見えています。そのため、喋らない赤子や幼児はおそらく人間と動物の区別がつかなかったのでしょう。
●Point
だからピューマの田中とのカーチェイスをしているとき、白猫が車道に飛び出してきたのを見た小戸川はすごく慌ててハンドルを切っていたのでしょう。
もしかしたら、飛び出してきたのは人間の子供かもしれない。そう思ったのです。
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本人も押し入れの中身が人間か動物か分からない。
そんな状況で報道された練馬の女子高生行方不明事件。
大家の「一人なのに誰かと喋っている」という証言。
練馬の女子高生行方不明事件が起こる前、女子高生をタクシーに乗せていた小戸川。
この「女子高生をタクシーに乗せていた」という状況と、「本人も動物が人間か分からない何かを押し入れに匿っている」という状況。2つが不幸にも噛み合ってしまい、小戸川は「殺人を隠蔽したい派閥」と「行方不明の女子高生を見つけたい派閥」両方から狙われることとなります。
しかし、結果から言えば小戸川は女子高生行方不明事件には関係ありませんでしたし、当時乗せていた女子高生も行方不明の女子高生とは別人でした。
次の項目では、小戸川が事件に巻き込まれるきっかけとなった「乗せた女子高生」の正体について詳しく解説していきます。
【ネタバレ】三矢ユキと和田垣さくらの関係
小戸川がタクシーに乗せていたことで事件に巻き込まれる原因となった「女子高生」。
その正体は「三矢ユキを殺害しに行く、和田垣さくら」です。
そもそも「和田垣さくら」って誰よ…?
三矢ユキを殺して立場を乗っ取る
TVアニメ本編にて「ミステリーキッス」の「三矢ユキ」として登場していた、三矢ユキの替え玉の黒猫少女。それが「和田垣さくら」です。唐揚げ好きの大分出身のあの子です。
小戸川は5話でミステリーキッスのマネージャー・山本に「事件前、ミステリーキッスの子の誰かを事務所まで乗せた」と言います。
この時、山本は「小戸川が乗せたのは、二階堂に呼び出されて事務所に向かう三矢」であると思い込んでしまいます。
三矢が死んでいることは、二階堂を守るためにも何とか隠蔽したい山本。死ぬ直前の行動の記録は、なんとしても回収しておきたいでしょう。
●Point
山本は二階堂の「私は殺していない」を完全に信用しておらず、二階堂が殺人をしたと仮定して二階堂のアイドル人生を守るため行動していました。
アイドル活動が軌道に乗り始めた今、メンバー死亡事件はまずい。事務所の責任問題とか、デビューが白紙になるとか、色々考えた結果、三矢の死は隠蔽した方が良いと判断したのでしょう。
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山本は小戸川にドライブレコーダーを売ってくれないかと取引を持ち掛けますが、残念ながらドラレコは警察を介してドブが回収した後だったので、結局山本は「小戸川が事務所まで乗せた人物≠三矢」という真実に最後まで気が付くことができませんでした。
考察|どうやって和田垣は三矢の立場を乗っ取ったのか
彼女に計画性があったとは到底思えません。ほとんど衝動的な殺害だったでしょう。
たとえ三矢を殺したとて、ミステリーキッスはあの三人で組み、すでにデビューが決まっていました。
普通なら、メンバーが一人死んだとなれば「一人死んだので、新しいメンバーを加えて、ミステリーキッス続行です!」とはならないでしょう。つまり、和田垣が繰り上げでメンバーになれたのは、ほんとに奇跡のようなもの。
●山本は盗聴されていた
映画の来場者特典ステッカー「未公開証言」にて、山本が盗聴されていたことが判明しています。
他の人物が対面での会話記録なのに対して、山本だけが盗聴の内容の記録です。
作中(と未公開証言)では、誰に盗聴器を仕掛けられたとか、対面の相手が誰か、とかは明言されていません。
山本の動向を盗聴してまで知りたい人物…それは和田垣ではないでしょうか。
山本は三矢が殺された日、二階堂に呼び出された三矢から事情を聞き事務所に訪れていました。
つまり、和田垣は山本の盗聴器から三矢・二階堂の行動を把握していたのでしょう。
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殺すタイミングは完璧。二階堂に罪を擦り付ける絶好の機会です。
しかし、彼女のキャラクターは、どちらかと言えば刹那主義的。そして考えなしで迂闊。殺すタイミングの計画は練っても、その後の展開(ミステリーキッスのメンバーになれるか)は運だったはず。
●和田垣の人間性
5話で、小戸川を執拗に狙う田中の「前のタクシーにスマホを仕込んできてくれ」という頼みを、深く考えずに了承してしまうくらいですから、その行動に合理性を求めすぎるのは彼女のキャラクターと合わないような気がします。
衝動的で考えなしで迂闊
・ミステリーキッスの企画で人を殺したことがあると言ってしまう
・殺人の証拠が記録された(?)盗聴器を回収するためにタエ子を襲撃
・録音されていることを知っているのに迂闊にも盗聴器に語り掛ける
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「小さなやりたいことを達成する人間は、いずれ大きな夢もつかめるようになる」
物語の流れは、映画版で語った彼女の言葉そのままなのでしょう。つまり、運。
物語全体を見ていると、彼女の都合のいい流れがどんどん出来上がっていきますが、そこで彼女がした行動というのは全て「その時やりたいと思った事」の点でしかなく、そこに物語全体を動かすような繋がりや計画性はなかった、はず。
「私、運だけは良いんだ。」
「運対決しようよ。」
小戸川を殺害しようとしたときも、監視カメラの警戒だけはしつつ、あとは運勝負。すげぇ度胸です。
●結局、度胸と運
彼女がどうして「三矢の立場を乗っ取れたのか」というのは、結局のところ、運が良かったとしかいいようがありません。
彼女は殺人も、乗っ取りも、証拠隠滅も、アイドル活動も、すべていつもの日常として何食わぬ顔して生きていた。ただそれだけです。
二階堂という丁度いいスケープゴートがいたのも、運が良かったですよね。彼女はそれにタダ乗りしていたにすぎません。
最高にサイコパスしてますね。
●それに比べて二階堂は可愛いもの
ミステリーキッスのセンターで白プードルの少女「二階堂」。
彼女は三矢の死体を不幸にも見つけてしまい、結果的に死体を東京湾に遺棄し、殺人の隠ぺいに加担をすることになります。
しかし、実際に人を殺したわけではない二階堂でも、いつかこのことが誰かにばれるのではないかと、毎日毎日怯え、精神的に追い詰められていきます。
一方そのころ、和田垣演じる三矢は、憧れのアイドルになれたとウッキウキ。
二階堂は、芸能界に生きる上でのバイタリティーはすごかったものの、流石に人の道を逸れたことへの耐性はなかったようですね。
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和田垣さくらはタエ子と長嶋も殺してる?
大丈夫です。映画版のエンディングでタエ子も長嶋も生存していることが分かっています。
そもそも、テレビ版を見ただけでは
「なぜタエ子は怪我をして入院していたのか?」
「キリンの長嶋?だれ?」
という疑問があったでしょう。
その答えは、YouTubeに公開されているオーディオドラマで判明します。
▼絶対に見るべき!おすすめ神アニメまとめ
居酒屋の女将・タエ子の正体と目的、狙われた理由
TVアニメでは語られなかった「タエ子がケガをしていた理由」と「度々登場するハートのボールペン」の謎。
その答えは、YouTubeで公開されているオーディオドラマにありました。
このオーディオドラマは「男子高校生・長嶋がたまたま傍受した盗聴器の内容をYouTubeで晒す」という内容になっており、TVアニメで登場した「ハートのボールペン(盗聴器)」の所持者たちの裏側を聞くことができます。
●長嶋って誰よ
お笑い芸人「ホモサピエンス」のラジオ番組によくメールを送る小賢しい(柴垣談)男子高校生。キリンのアイツ。
ホモサピエンスにかなり渋い意見を投げるが、その実態はただのファン。
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小戸川に盗聴器(ボールペン)を仕込んだ犯人はタエ子?
このオーディオドラマの最終話で、タエ子がネタバラシをします。
曰く「ノンフィクションの小説を書きたくて、警察から女子高生監禁の疑いをかけられている小戸川に盗聴器を仕込みたかった。」らしい。
結果的に、女子高生監禁事件ではなく、三矢ユキ殺害事件の真実を追うことになっていきますが、その辺は彼女にとって「面白いノンフィクション」であるならば何でもいいので、問題はありません。むしろ事件が大きくなってタエ子ママは大喜びでしょう。
実は独自調査を行っていたキャバ嬢とタエ子たち
本当か嘘か、タエ子は機械に疎いらしく「盗聴器を仕掛けたものの、受信機を用意していなかったので盗聴した内容を知らない」とのことです。ほんとかよ
そのため、盗聴器の情報を当てにできなくなったタエ子は、キャバ嬢たち(探偵を目指している子)を使ってアナログな独自調査を始めます。それが、映画版の全容でした。
●映画版
TVアニメをコンパクトにまとめた内容。
「キャラクターたちがインタビューに応えている」という形式で、TVアニメの補完を行っているため、TVアニメを見ているとより楽しめる構造になっています。
また、TVアニメやオーディオドラマのラストでは明かされなかった小戸川とタエ子と長嶋の安否も、映画版で明らかにされます。
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物語の関係者のインタビューをまとめていったタエ子は、オーディオドラマの最終話で真実にほとんどたどり着いていました。
「二階堂って子、殺人はしてないと思うよ~」
傍受した長嶋によって盗聴内容が晒される
タエ子が仕掛けた盗聴器の中身はどういうわけか、傍受した男子高校生・長嶋によってYouTubeで公開されていました。
●秘密をバラす迂闊な和田垣の音声
盗聴の中身の一つに「ミステリーキッスのメンバーがもっと仲良くなるために秘密を共有しよう」というお遊びが入っていました。
3枚の紙に「大きい秘密」「小さい秘密」「嘘の秘密」を書き、シャッフルして誰が何を描いたかわからない状態にしてめくって行く。しかしそこには、「殺人」「死体遺棄」という信じられない秘密が…。
その後、市村と和田垣は2人だけで「あのとき吐いた嘘の秘密だけ教え合おう」と答え合わせをしますが、2人の吐いた嘘の秘密は「線香」「結婚してる」。残る嘘はあと一つ。じゃあ、「殺人」と「死体遺棄」は誰の秘密…?
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盗聴の内容がYou Tubeで晒されていることを、和田垣は母から連絡を受けて知ることとなります。
そして、和田垣は盗聴している犯人を突き止め、TVアニメ最終回で小戸川の快気祝いでお店を貸し切りにして宴会をしていたタエ子のところへ襲撃。そこでこのオーディオドラマは終わります。
「次はお前だよ。これ聞いてる奴。」
【映画の最終回考察】小戸川とタエ子は生きてる?殺される?
TVアニメのラストと、オーディオドラマのラストで不穏な空気を醸し出していましたが、生きています。小戸川も、タエ子も、長嶋も、無事でした。良かった。
小戸川はその後、白川といい雰囲気になって、動物園までドライブデートしていました。2人の仲がよろしくて、見ていてほっこり。
考察|和田垣の最後・小戸川はなぜ助かった?
映画版のエンディングで和田垣が「殺人未遂で逮捕」とニュースに出ており「止めに入った男性が負傷」テロップにありました。
一部ではこの「止めに入った男性」が柿花で、だからエンディングで柿花は警察に表彰されているのでは?と言われています。
では、具体的にあのとき何が起こったのか、妄想を膨らませていきましょう。
①運対決
そもそも、和田垣はドライブレコーダーのデータを回収しようとしても無駄足だったんですよね。ソレはもうドブが回収していましたし、たぶんデータはドブ逮捕と共に証拠品として押収されたと考えられます。残念ながら、既に彼女は詰んでいたのです。
ここまで彼女が物語において蚊帳の外だったことが災いしましたね。
彼女は、自分の起こした事件の裏で「反社組織の人間がドラレコを巡って争っていた」なんてこと知らなかったので、仕方ありません。ここで既に彼女の運は尽きていたということでしょう。
②オーディオドラマ込で分かること
小戸川はタエ子から「盗聴器仕掛けてたの、ごめんね」ということと「二階堂ルイって子、殺人はしてないと思うな~」という情報を既に与えられていました。
小戸川自身が経験したことも踏まえると、病気が治り見た目では「和田垣=以前事務所まで乗せた女の子」と分からなくても、ミステリーキッスの中の誰かが真犯人であったことは理解できていたのではないでしょうか。
●Point「小戸川が持ってる情報」
・二階堂ルイは殺人はしていない
・三矢(真)の写真を見て「乗せたことない」と確信
・事務所にはミステリーキッスしか所属していない
=若い女の子はミステリーキッスだけ
・タエ子が和田垣に襲撃される
=お見舞いに行ってたからタエ子の負傷は知ってた
・和田垣の声は長嶋の生配信で聞ける
=長嶋は小戸川の快気祝いにも参加していて面識がある
・警察は三矢殺害の犯人は二階堂の線で調べている
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様子を見るに、小戸川の襲撃はダエ子と長嶋の後だったと考えられます。
直接面識のある人が襲撃され、入院する大怪我を負ったのですから、なんやかんや本編を経て人情に目覚め、危機察知能力もある小戸川は「次に犯人が狙うのは自分とドラレコではないのか?」と思いつきそうです。
ついでに、映画版で「警察は和田垣を疑っていない」ということを知っており、大門兄のような例もあったため、警察に相談するより自分で対策した方がいいと判断した可能性も、無きにしも非ず…。
なので、もしかしたら、もしかしたらですが、あの場面で和田垣をタクシーに乗せたのは小戸川の罠だったのではないでしょうか?
じゃないと、柿花が都合よく駆けつけて助けた、なんて状況どうやって生まれるのか分からないですし。
③映画版エンディングの集合写真にて
エンディングでタエ子のお店にて、小戸川と何らかのつながりを持つメンバーが集まって、小戸川の描いた彼らの似顔絵(動物姿)を掲げている写真が出てきます。
これは和田垣襲撃後であり、和田垣が捕まりタエ子がお店を再開させたあとの場面になりますね。(小戸川快気祝いのメンバーとは異なるため)
そこには「幸せのボールペン(盗聴器)」を傍受していたキリンの長嶋もいます。
彼はそもそも小戸川にとって一回タクシーに乗っただけの客でしかありませんでした。いったい、小戸川とはどこの場面で仲良くなったのでしょうね…?
急速に仲を縮めたとするなら、それは何らかの共闘があったからかもしれません。全部わたしの妄想ですが。
解説|ドブと一発の銃弾「あれは誰が撃った?」
結論から言うと、港でドブの左足の腿を撃ち抜いたのは「大門弟」です。
最終話で本人がフツーに白状してますしね。
作中で答え合わせがされる前にも、犯人が大門弟であることは匂わされていました。
大門弟は小戸川から話を聞いていて、あの日、あの場所にドブが現れることを知っていた人物であり、拳銃を所持できる人物でもあります。
ついでに、ドブの撃たれたときのぼやき「クソッ!素人じゃねぇのかよ…!」から、狙撃手は目視できないほど遠くから標的に当てるほど、射撃の腕がある人物です。
大門弟がドブを狙撃したことを示唆する描写は、警察署内での警察官二人の会話でも描かれていました。
「大門弟、拳銃紛失して処罰が怖くて逃げてんだって」
「バカだなぁ」
しかしこの時、ドブはまだ自分を狙う人物が「ドクロ仮面」しかいないと思っていたので、12話でドクロ仮面が現れた時「あの拳銃にもう弾はない」と思ってしまいました。
解説|なぜ白川は埠頭の工事現場に駆けつけられたのか
小戸川は山本によって人気のない工事現場に誘導され、山本に首を絞められ殺されそうになります。
そんな絶体絶命の状況の中、助けに来てくれたのはなんと、白川。
TVアニメでは、白川が都合よくここに現れた理由が語られることはありませんでしたが、小説版と映画の入場者特典の「未公開証言」で答え合わせができます。
●GPSを仕込んでいた
白川はドブからの命令で小戸川にハニートラップを仕掛けます。
その時小戸川の行動が分かるように、タクシーにGPSを仕込んでいたようです。
おそらく、2話で白川が小戸川のタクシーに乗ったときでしょう。
小戸川がスマホの画面に視線を奪われているうちに、後部座席の隙間かどこかにGPSを仕込んだ。そんなところでしょう。
●あの工事現場は組織の死体遺棄場
映画の入場者特典「未公開証言」でシロクマの関口がそう語っていました。
あそこは組織が管理する工事現場で、後ろ暗いことをするときに活用していたようです。
「未公開証言」で白川もその存在を認知していたことがわかります。
小戸川のGPSがその工事現場に向かうのを見て、危機感を感じて駆けつけてくれたのかもしれません。
考察|大門兄弟二重人格説?
ないと思います。
【独占公開】『オッドタクシー』前日譚シナリオ『JUSTICE』
これ、上記の内容が「二重人格」だったら、小戸川と大門弟は同じ幻覚を見ていることになりますから、ちょっと無理がありますよね。
理由①:警察は原則二人一組で行動するはず
まず、オーディオドラマは「盗聴された内容をYou Tubeにアップしている」という内容になっています。
この時、大門兄弟がハロウィンの渋谷を巡回しているという場面が盗聴されているのですが…大門兄弟以外の声が聞こえません。
警察が行動する時、原則2人1組で行動することは刑事ドラマ物でよく見かけるので有名だと思います。
でも、この時声は大門兄弟のみしか聞こえません。本当に一人なら、もう一人警察官がいるはずでしょう。ましてや設定が「盗聴した内容」ですから、このオーディオドラマに大門兄弟の認知を挟む余地はありません。他の警察官の声が聞こえないのなら、それが現実でしょう。
理由②:動物姿は全て小戸川の視界
TVアニメのシーンでも同様です。
アニメでの描写は全て「小戸川から見える世界」ですが、検問中の大門兄弟の他に警察官がいません。
大門兄弟視点で描かれたのなら、他に警察官がいなくても違和感はありませんが、物語ラストで「この映像は小戸川が見たものである」とはっきり描写されてしまっているので、検問中の大門兄弟の隣に他の警察官がいないのはおかしいでしょう。
理由③:映画版のエンディングで警察を続けている弟
そして、決定的なのが映画版のエンディングです。
大門弟はまだ警察を続けていました。ドブに加担していたのが大門という一人の人物ならば、大門弟ももう警察官ではいられないでしょう。
なので、私は「大門兄弟二重人格説」はないと考えています。
考察|ピューマの田中、それ全て妄想かも?
小戸川のタクシーに轢かれそうになり、そのせいでスマホを水没させてしまった田中。
(田中曰く)そのせいで「引けたはずのレアキャラが消えた」と小戸川を恨み、執拗に狙ってきますが…これって本当なんですかね?
いえ、私はシステムについて詳しいわけではないので、それが正しいのか判断はできませんが、でも「ソシャゲってデータがサーバー(クラウド?)に保管されてるはずでは?スマホが壊れたせいでデータが消えるってあるの???」と思うわけです。
据え置きゲーム機でやるように、本体にセーブデータが保存されているわけじゃないので、本当にレアキャラが引けたのであればデータ復旧で回復したのでは…?
てことは…全て「誰かのせいにしたい田中の妄想」だった可能性も、あるかもしれませんね。彼、だいぶキてましたし…。『田中革命』の独白もちょっと私には理解できない思考回路でしたし…。
まとめ:映画とオーディオドラマで更においしい
TVアニメだけは少々謎が残る『オッドタクシー』。
映画版を見ると、本編でキャラクターたちが何を考えていたのか、何をしていたのか、というのが透けてくるので、大筋は本編をなぞるような形になっていても、新しい事実が知れて楽しい作品です。
また、「盗聴器を傍受した男子高校生がYou Tubeでその内容を晒している」という設定のオーディオドラマも、すごく良いですよね。これを当時リアルタイムで追っていた人は、ハラハラドキドキしたでしょう。すっごく不穏!
他にも、コミカライズでスピンオフが描かれたりと、別視点のお話がいくつかあるので、TVアニメを見て「面白かったけど気になる点がある」という人は、ぜひ別の作品も読んでみるのがオススメです。